2016年2月6日土曜日

現実と非現実の一日

1週間前のことになりますが、その日は、現実と非現実が交差した日でした。

その日のもともとの予定では、プロカメラマンに着物姿を撮影をしていただき、ランチをするという一日になるはずでした。
着物の姿は、自分や友人が撮影したものはありますが、きちんとしたものがなくて、この際、遺影としても利用できるかしら、とほくそえんでいたのです。
ところが大雪の予報があり、その予定はキャンセルとなりました。

ということで、用事が重なっていた講演会に行くことができました。

ノンフィクションライターの中澤まゆみさんの「おひとりさまの終活 ~最期まで地域で安心して生きるために~」という福祉講演会でした。


中澤さんのことは、朝日新聞の記事で知り、ちょうど私と同じ年齢の方で、世田谷で介護のカフェをされているということに興味が湧いて、FBでお友達になっていただきました。

おひとりさまというと、いかにも仕事ができる30年代くらいのワーキングウーマンを指すようなイメージがありますが、この場合は、独身、既婚、離婚、死別に関わらず、高齢女性の「おひとりさま」が主役でした。

「おひとりさま」という用語は誰が使い始めたのか分かりませんが、前には上野千鶴子さんの講演会も聞いていました。

今回は中澤まゆみさんが、ご自身の友人や知人の実例をたくさん調査された結果のまとめ報告のようなものでした。

日本は超高齢社会だと言われますが、人口の25パーセント、つまり4人に一人が高齢者で、100歳以上の老人はなんと6万人(男1万人、女5万人)もいるという説明から入りました。

私の住んでいる市でも、人口約22万人のうち、高齢者数は48,000人以上いて、高齢化率は21パーセント以上だそうです。
そして100歳以上の方も87人(男10人、女77人)いらっしゃるのだとか。
街を歩けば、高齢者ばかりだという実感が数字になって指摘されると、まさにその通りだと思いますね。

そしてその高齢者のうち、65歳以上では女性の5人に一人がおひとりさま、80歳以上になれば、女性の7割がおひとりさまになるということでした。

老後に必要な4つの自立があり、経済的、精神的、生活的、身体的自立だそうです。
そして老後の3大不安はお金、健康、孤独、というお話でした。

中澤さんのお話は介護や病気のことなど、数字をあげて詳しく説明がありましたが、メインの主張は、「老後で大切なのは、立派な葬式を上げることやお墓を作ることではない、そこそこいい人生だったと思って旅立てるよう、たっぷりと生きること」というメッセージだと思いました。

そのためには、「自分力、人もち力、地域力」を持つこと。
つまり地域の中にいて、いろいろな人と接して、自分らしく生きるのが大切、ということではないかと共感しました。

講演後にご本を買ってきました。
中澤さんのサイン入りです。


講演会の会場には後期高齢者とおぼしき女性が多く、いかにみんなの関心が高いかが分かりました。

しかし私もあと10年すればそのような立場になるわけなので、身の回りの片づけや、書類の整理などは早ければ早いほどよいのではないかと思うようになりました。

とくにその前に93歳で亡くなった叔母の着物整理▼をしたばかりで、残されたものの始末の大変さが身に染みていたので、私もその仕事は娘にはさせたくないと思いました。

*****

そんな話を聞いて会場を後にして、電車に乗り、東池袋にあるサンシャインシティ近くの「あうるすぽっと」▼まで出かけました

「指輪ホテル」▼という集団の「ルーシーの庖丁」というお芝居を見るためでした。


ここで出会ったのは現実を乗り越えた非現実の世界でした。
「シュール」とでもいうのでしょうか。
私にはまるで理解不能な演劇の世界でした。

主役で演出も手掛けている羊屋白玉(ひつじや しろたま)さんという方は、ニューズウイーク日本誌において「世界が認めた日本人女性100人」の1人に選ばれた方だそうです。
日本だけでなく、世界各地で活躍されているそうで、そういう女性がいらっしゃるということも知りませんでした。

このお芝居を見ることになったきっかけは、川崎の古民家で開かれている「きもの倶楽部」▼でお会いするIさんが、劇の衣装担当をされる、というので、ちょっと興味があったのです。

着物愛好家のIさんだけあって、二人の人物は着物姿で登場しました。
登場人物は、白玉さんと、スカンクさんという男女のお二人。
白と黒の半身がわりの大胆なデザインの着物でした。
でも靴を履いていたり、男性の前身ごろにはレースがほどこされていたりと、普通の着物ではありませんでした。

ちなみにチラシでは洋服姿のお二人です。


舞台の上の二人は日本語を話していましたが、私にはほとんど理解できませんでした。
落語の話が出てきたと思ったら急にギターを弾いたり、アコーディオンを弾いたり、でんぐり返し(ヨガのポーズでの横転)を始めたり、三本足で歩いたり、でかいぬいぐるみがごろごろ置いてあったり・・・・。

周囲の座席の人たちは、お芝居を見ながらくすりと笑ったりしていましたが、私にとっては残念ながら、どこがおかしいのか分からず、ついていけなかったですね。

お芝居が終了した後、早稲田大学の演劇の教授が、中南米におけるアウトドアシアターのような話を始めましたが、それとこのお芝居の関係性もよく分かりませんでした。

世の中にはいろいろなことに興味を持つ人がいるのだな、と思うばかりでした。

しかしIさんと知り合うことがなければこのようなお芝居と出会うこともなかったでしょうし、これによって私の頭も少しは刺激を受けることとなり脳が活性化したともいえます。

面白い巡りあわせだと思いました。

「ルーシーの包丁」は3月には札幌公演があるそうですので、興味を持たれた方はどうぞ。

中澤さんの講演会も、「ルーシーの包丁」もfacebookのご縁でつながったものです。

facebookはいろいろな情報があふれている世界ですが、取捨選択をして、いろいろな世界が広がるのは面白いですね。

******

この日の装い。

雪か雨が降るという予報だったので、濡れても大丈夫なポリエステルの着物にしました。
着物を着るようになってすぐの時にリサイクル店で買ったものですが、寸法のことなどあまり分からなかったので、かなり大きな寸法です。


帯は昨年のボロ市でクリスマス用にと買った▼のに、締めるときを逸してしまった帯です。
トナカイのようなシカのような動物がお太鼓に織られています。


それほど寒くなかったので、叔母が着ていたモヘアの上っ張りにしました。
お袖が閉まっているので、暖かくて良いですね。
今風ではありませんが、私にはこれくらいの長さの方が着やすいのです。




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