その時のブログによると、以下のような覚え書きが残っていました。
美術館建築「都会の美術館」▼
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渋谷区松濤の住宅街の中にある区立の美術館です。
白井晟一という哲学者でもある建築家の設計。
若い時にヨーロッパに滞在して、左翼運動に関わりますが、帰国後は建築家として独自の建築を作り上げます。
美術館は1980年の作品です。
小さな出入り口が一つしかないため、大きなものは搬入できないという欠点があるそうです。
作品の展示だけではなく、区民が集まって雑談などをするようなスペースもあります。
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ずっと行ってみたいと思っていたのですが、なかなか機会がありませんでした。
先日、下北沢に出かける用事があったので、ついでに同じ沿線にある神泉(井の頭線で渋谷の隣の駅)まで行ってみました。
住宅街に建っている美術館は、レンガのような外観でした。
美術館らしくなくて、なかなか変わった建物でした。
区立の美術館としては、かなり思い切った試みだったのでしょね。
上の覚え書きにあるような、小さな入り口から入りました。
建物は全体的にゆったりとしたスペースで、中央は吹き抜けになっていて、噴水からは水が湧き上っていました。
また展示室には大きなソファが置かれていて、応接間のような感じでした。
さて、今回は月をテーマにした作品が展示されていました。
この展覧会は、一人の画家が描いたものを時系列に展示したものではなく、月に関連したいろいろなジャンルのものが集められていました。
絵画も室町時代のものから江戸時代、明治、大正のものまで色とりどり。
作風も水墨画や絵巻物や浮世絵、絵本のようなものまで各種取り揃えてあり、雑多な感じがして最初はちょっと戸惑いました。
でもだんだんと美しい世界に引き込まれていきました。
「月と名所」「月と文学」「月と信仰」「月と草花」などに分類されていました。
「月と物語」というコーナーもありました。
月というと思い出すのは、まずはかぐや姫のお話ですね。
竹取物語の美しい絵画がありましたが、「日本昔話」的な田舎の風景とは異なり、とても雅な世界でした。
また紫式部が源氏物語を書き始めたという石山寺に月がかかる光景の絵画もありました。
これは以前、見たことがあります。
月岡芳年という人の「月百姿」はドッキリとするような魅力がありました。
一番素敵だと思ったのはこちらの女性。
黒の着物に紫の帯、赤の襦袢がちらりと見えて、色っぽかったですね。
月といえば、兎がつきもののようですが、他にも鶴や雁などの鳥との組み合わせも多くありました。
こちらは歌川広重の「月に雁」という絵画ですが、大きな月をバックに、雁が頭を下げて飛んでいるところがダイナミックでした。
俵屋宗達が描いたという鹿と月との組み合わせた絵画もありましたが、素朴であどけない感じの鹿が可愛らしかったですね。
絵画だけでなく、月を題材にした屏風、蒔絵の箱、皿、そして刀装具や甲冑などまでありました。
日本人は月を身近に感じでいたのでしょう。
柴田勝家が賤ヶ岳の戦いで使用したという、月のマーク(?)の兜もあり、驚きました。
それと刀のいろいろな部品にも、月に関係する美しい模様が使われていて、まるでカフスボタンのようでした。
笄(こうがい)というのは、女性には簪のようなものですが、男性の笄は小刀や短刀の鞘に差して髪の乱れを整えるのに用いたそうです。片方は耳かきにも使用ような形をしていて、昔の人の知恵だと思いました。
この展覧会は11月20日まで開催されています。
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松涛美術館の近くには、「鍋島松涛公園」がありました。
ここは、かつては紀伊徳川家の下屋敷だったそうです。
その後、佐賀の鍋島家がその屋敷を払い下げて、茶園を開きました。
松涛美術館の「松涛」というのはそこで売られていたお茶の銘柄のようです。
その後、茶園は廃止されて、児童公園となりました。
ここには湧き水でできた池があり、水車が動いていました。
築山のような小高い丘があり、そこから水車小屋を眺めたところです。
ちょっぴり秋らしい風景も見られました。
こちらは枯れたあじさい。
写真で見ると風流な世界ですが、実際は蚊が多くて、痒くてたまりませんでした。
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この日の装い。
10月も中旬でしたが、気温は24度くらいあったのでしょうか。
ということで、まだ単衣着物です。
それでも暑く感じました。
表参道にある「オリエンタルバザール」で衝動的に買ったストライプの紬です。
私は肩幅が狭いので、肩の付け根のあたりにしわが出てしまいますね。
帯は靖国神社の境内で買った洒落帯。
ものすごく長くて柄出しに苦労します。
朱色の帯締めは叔母の遺品です。
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