ブログを書くときは、誰の目に触れるか分からないので、一応はちゃんとした内容にするつもりにしています。
たとえば人名や地名を間違わないようにするとか、リンク先を明らかにするとか、その程度ですが。
読書感想については、勘違いを防ぐためにも、二度読んでから書くようにしています。
ところがこの小説は、二度読み返すまで待っていられない、という衝撃的なものなので、まだ全部読んでいないのですが、途中までの感想を述べさせてもらいます。
それは浅田次郎さんの「終わらざる夏」上です。
これは上中下の三巻に分かれているのですが、上を読んだだけでも、圧倒されました。
私は、これまで浅田さんの小説はほとんど読んでいますが、今までのものとはまるでタイプが異なります。
ワクワクする歴史小説ではないし、ほろりとする短編小説でもないし、ましてわははと笑ってしまうヤクザシリーズとはまるで違う種類の小説です。
物語は昭和20年です。
もう沖縄が制圧され、本土上陸がいつあってもおかしくない頃の話です。
私は、父が軍人として南方に行っていましたし、母も東京で空襲を体験しているし、親戚には戦死した人もいるので、今どきの若者よりは多少は戦争が身近に感じていると思っていました。
ところがこの小説を読むと、私の知っている戦争なんてほんのごく一部のことであり、どれだけ民衆が大変な体験をしてきたかが、手に取るように描かれているのです。
たとえば赤紙にしても、誰が選定して、どのように配布されるのか、そういうことが丁寧に描かれています。
そして戦争に行って戦った人だけが苦労したのではない、田舎の母親も、愛する妻も、子供も銃後の守りということで、みんなが戦争の犠牲者であったということが、きちんと描かれています。
おびただしい数の人物が登場するので、誰が主人公であるかは決められませんが、アメリカで生活することを夢見ていた45歳の翻訳の編集者、身体が小さい医者、あまりの悪たれのため軍隊でしか生活できない軍曹などが登場してきます。
これから先、彼らがどのような運命をたどるのか分かりませんが、戦争が終結することだけは歴史的事実です。
中、下を読み終わった時、また感想を述べたいと思います。
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