2017年7月10日月曜日

小説 「64」 上・下

横山秀夫さんの小説「64(ロクヨン)」上下巻を読み終えました。



これは佐藤浩市主演で映画化されたので、かなり有名になりましたね。

警察小説というジャンルの作品です。
警察という特殊な社会(彼らは警察のことを「うちのカイシャ」と呼んでいます)に働く男たちのやっかみや対立、中傷などがたんまりと書かれています。

昭和から平成に移るとき、昭和64年という日が7日間ありました。
その時にD警察署管内で、幼女誘拐事件がありました。
その事件は未解決ですが、平成になって14年後、事件のテコ入れのために警視庁の長官が視察に来るというその前日、署内で同じような誘拐事件が起きてしまいます。

それに立ち向かう、刑事たち。

主人公は自分の一人娘も行方不明で失踪中の元刑事で、今は人事異動で広報にいる警官です。

読み終わってすっきりしないのは、刑事の娘の行方がきちんと始末されていないことです。
長い小説を読んだのに、なんだか消化不良で、中途半端に思いました。

また刑事同士の対立、つまり人間関係のごたごたがあまりに多すぎて、うんざりするほどでした。キャリア対ノンキャリア、本庁対地方の警察署の対立。
実際のところ、刑事という人種は、こんなにドロドロした社会にいるのでしょうか?

私は横山さんの小説はかなり読みましたが、彼は短編は驚くほどうまいと思うのですが、長編(たとえばこの64とか、半落ちとか、クライマーズハイなど)は、それほど面白くないように思いました。

ただし、こういう人間関係のごたごたや、腹黒い人たちのことを描いた小説が好きな人には、ぞくぞくするほどたまらない内容だと思います。


2 件のコメント:

  1. マサ7/10/2017

    私は、小説は読んでいないけど、去年佐藤浩市主演の映画を観ました。
    女児誘拐殺人事件がベースにありますが、警察という組織の複雑な人間模様を描いたドラマですよね。
    職場は戦場。組織内の軋轢にもまれながら働く男たちのなんてカッコのいいことか、と私は感動!しました。浩市さんだし(笑)
    どんな職場にも確執や対立はあるでしょうね。
    本や映画は誇張があるだろうけど、組織とはこんなものだと共感しました。

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  2. マサさんが、昨年、この映画を見たことは覚えていますよ。
    佐藤浩市が主人公でしたが、私は本を読んでいて、彼ではかっこよすぎると思いました。
    主人公はすごくブサイクで、「鬼瓦」とあだ名されていた人です。
    そして主人公の娘は、父親似のブス顔を悲観して、失踪(あるいは自殺)してしまうほどなのです。
    そういうのを読んでいると、映画化されたものと、原作とは別物と考えた方がよいでしょうね。
    でもあれだけごちゃごちゃとした人間関係を、どのように描いたかは興味がありますね。
    私自身はあまり組織の中には埋没しない人生を送りましたが、
    そういうところで働いていた人には共感が生まれるかもしれませんね。

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