2019年5月の謡音読会は「忠度(ただのり)」でした。
世阿弥の作です。
忠度は平清盛の異母兄弟という武士ですが、優れた歌を詠む人でした。
ところが自分の歌が「千載集」という歌集に載ったのに、戦いに敗れて朝敵となったため、「よみびとしらず」と書かれてしまいました。
それが残念に思ったというお話です。
(千載集は、藤原俊成が後白河法王の命を受けて作られた勅選和歌集です)
話はそれだけですが、実はもう少し深い意味があるようです。
というのは、須磨の浦にある桜の木に、一人の老人が現れました。
老人は桜の枝を折り、祈りをささげていました。
そこに通りかかった僧に、その桜は忠度の墓であると言います。
そして、僧が眠っていると、夢の中に忠度が現れたのでした。
忠度の亡霊は、千載集の歌に作者名を入れるよう、俊成の子の藤原定家に伝えてほしい、と僧に頼みます。
その後、忠度は一の谷の合戦で討ち死にした様子を表し、僧に回向を頼み、桜の木の下へと帰っていったのでした。
というお話です。
この能のポイントは、「桜」でしょうか。
そして能を知るためには、やはり平家物語を知っていることが前提になるのだなと、感じました。
私は「女人平家」とか時子さんの物語は好きなのですが、どうも武将の話はあまりピンと来ません。
でも忠度さんのお話は、他の武将に比べて、ちょっと意外でした。
いつものように読み合わせをした後、先生は木下順二さんの絵本平家物語から「忠度」を読んで下さいました。
そして世阿弥のことばから「秘すれば花」を解説していただきました。
花は散るからこそ美しい、という意味を持っているとのことでした。
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この日の装い。
それほど暑い日ではなかったので、紬の単衣にしました。
骨董市で2500円で手に入れたものです。
深緑色が気に入っています。
帯はデパートの催事で千円。
お太鼓の柄をもう少し上に出せば良かったですね。
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