先日も、朝からものすごい豪雨で、窓から外を眺めていても、景色が分からないほどでした。
その日は、夕方から狂言を見に行く予定にしていましたが、あまりにひどい雨なので、着物は諦めて、洋服で行こうかと考えていました。
ところが私は外出着になるような洋服の持ち合わせがなく、ジーンズではまずいだろうな、と雨を眺めながらため息をついていました。
テレビでは、千葉県の豪雨が放映されていて、川の氾濫やダムの放水予定が放映されていました。
ところが夕方になると、雨は小降りになり、なんとか着物でも外出できそうな様子になりました。
そして矢来能楽堂に着いた頃は、ほとんど雨は止んでいたのです。
こちらの能楽堂は、外見はごく普通の日本家屋です。
入り口には下のようなお知らせが出ていましたが、それがなければ、能楽堂とは思えないようなところです。
この日は、善竹大二郎さんの「善之会」▼でした。
大二郎さんのご挨拶によれば、今回の狂言は、どれも親子や兄弟、はとこなどで演じられているとのこと。
やはり狂言の世界は、血のつながりが強いのですね。
このお話は、父親と息子が登場するのですが、その親子を本物の親子が演じていたのです。
父親が、ダメ息子に袴を穿かせる場面は、何だかジーンときました。
袴の穿き方も分からない息子は、幼児のように、ただ茫然と立っているだけ。
父親は跪いて、袴の紐を息子のお腹から背中に回して括り付けて、ぐっと結びます。
それを何回も繰り返す場面がありました。
パンフレットによれば、大二郎さんの舞台デビューは、5才とのこと。
その頃は、きっとこの役のように、衣装を付けるときはただ立っていただけだったでしょうね。
私の勝手な想像では、お父上様も、「二人袴」の父親のようにして、幼い息子に衣装を付けてあげたことでしょう。
現在は息子さんも大きくなって、演技の上で穿かせられるだけですが、そこに親子の情を感じました。
「二人袴」以外は、兄弟同士で演じた「棒縛」も、「抜殻」もとても面白かったです。
ゲラゲラと笑えました。
「棒縛」は棒を突く場面は迫力があり、舞台が狭く感じられました。
「抜殻」では、鬼の面が使われましたが、能の鬼とは違って、ほのぼのした面構えでした。
3つとも、お酒をたっぷりと飲んで、酔っぱらうお話でした。
狂言は最近見るようになったのですが、役者さんの着物を見るのも楽しみですね。
蕪や筍などの絵が描かれている上着(?)や、蝶々の模様の袴は可愛らしかったです。
またお父上や舅さんが着ていらっしゃった地味な色合いの横縞の着物は、とても素敵でした。
私も、もうちょっとおばあちゃんになったら、あのような茶色の着物を着てみたいと思いました。
着物でいらっしゃった方も何人かいらっしゃり、私も雨の上がるのを待って着物にして良かったと思いました。
今回は一番安い席(自由席)を申し込んだのですが、それがかえって良い結果となりました。
高い席(指定席)は満席でしたが、安い席もそこの席とほとんど変わらない場所なのに空いていて、ゆうゆうと座って見ることができたのは、ラッキーでした。
狂言が終わった時には、外はすっかりと雨が上がり、気持ちよく駅まで歩きました。
そしてこの日も、大江戸線のシルバーパスを利用して出かけたのでした。
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この日の装い。
今シーズン初の袷着物です。
とはいえ、雨の日対策用のシルジェリー。
なでしこ柄が気に入っています。
帯は叔母の遺品。
緑と黄色の両面が使える便利な帯です。
これに薄手の羽織を着ましたが、電車の中では暑く感じました。
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