2020年11月8日日曜日

「松林図屏風」

私は本を読む速度は、かなり早い方だと思っています。単行本でも文庫本でも、普通の長さのものなら2、3日あれば読み切ってしまいます。とりあえずどんどん読み、そして納得がいかなかったり、反対にすごく面白かった場合などは、2回読み返すことが多いのです。

こちらの本は、なかり分厚い単行本ですが、非常に面白くて、一日もかからず数時間で読み終えてしまったほどでした。

萩耿介(はぎこうすけ)さんの「松林図屏風」です。言わずと知れた長谷川等伯の絵画がタイトルの小説です。

この著者は、今まで全然読んだことことのない作家ですが、1962年生まれで早稲田を出た人のようです。

以前、安倍龍太郎の「等伯」▼を読みましたが、それ以上に面白かったな。

萩さんの小説は、主人公が等伯だけではなく、彼の奥さん、息子たちなど多くの家族が登場して、それぞれに焦点を当てて描かれています。みなが個性ある生き方をしています。

また冒頭から本能寺の変で信長の死があったり、秀吉の朝鮮征伐があったり、千利休の自殺があったりと、良く知られている歴史の事件があちこちに散りばめられていて、華やかさも増しています。

またキリシタンも登場して、小説に奥行きを与えています。

私は等伯と関係するところは、あちこち旅しました。

本法寺▼(京都の寺、境内に等伯の像がありました)

智積院▼(京都の寺、秀吉の息子の死を弔うために建てられた)

智積院にある等伯の息子が描いた障子

東京国立博物館▼(東京、屏風が保存されている博物館)

大徳寺▼(京都の寺、利休ゆかりの寺)

七尾(等伯の生まれ故郷)←半世紀以上前の学生時代に行ったので写真はありません。

等伯の足取りをたどるだけでも、ワクワクしてきますね。

私は実在していた人の物語が大好き。そしてその地を旅するのも大好き。

旅行と読書が好きな私ですが、コロナ禍の現在、なかなか自由に旅行に行けません。せめて、読書だけでも楽しみましょう。

「松林図屏風」が面白かったので、萩さんという方の小説を、しばらく読んでみたいと思います。

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「一日一句」

等伯の足取り辿る冬夜半



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