紫式部が描いた「源氏物語」を、原文でほそぼそと読み続けています。
このところ、ずっと「乙女」の巻につきあわされています。この巻はかなり長いので、延々と続いているのです。
今回の主人公は、内大臣です。
この人は、若い頃は「頭中将」と呼ばれていた方で、光源氏のライバルでした。それも色恋のライバルだけではなく、政治権力に関しても、音曲に関しても争います。かなりいい線まで行くのですが、やはりどうしても光源氏には勝てない人なのでした。
今や二人はお互いに中年の域に達していますが、やはりライバル関係は続いています。
内大臣には光源氏に対して、唯一、誇れる点があります。それは彼は子だくさんであるということです。あちこちの女性との間に生まれた子供は、男子も女子もたくさんいるのでした。
そして彼はその女子たちを自分の持ち駒として、大いに利用しています。
つまり自分の娘を帝のもとに嫁がせて、自分も権力を握ろうとしているのです。その娘が男の子を生んでくれれば、彼は次の帝の祖父となり、権力を握ることができるのです。
そういう野心に燃えている男にとっては、六位風情の若い男(夕霧)と付き合っている娘(雲居雁)のことは歯がゆくて仕方がありません。
また内大臣には、弘徽殿女御(こきでんにょうご)と呼ばれる娘がいるのですが、彼女を帝に嫁がせるところまではうまくいきましたが、帝には梅壺の女御(光源氏の後ろ盾がある女性・六条御息所の娘)という中宮がいて、どうも内大臣の娘には勝ち目がないのです。
それ彼は勝手に弘徽殿女御を宿下がりさせて、雲居雁と一緒に自分の手元に置くことにしたのでした。
(大和和紀「あさきゆめみし」での内大臣)
こんなふうに、自分の娘を勢力拡大のためのコマとして使おうとしている男ですが、そうそううまくことが運ぶわけではありません。
そんなちょっと哀れな中年男のことを、紫式部は実に冷静な目で描いています。
こういう場面を読んでいると、内館牧子や原田ひ香、垣谷美雨の現代小説を読んでいるようです。というか、現代の作家が紫式部と同じような手法をとってるのかもしれませんね。
いつの時代も、女性作家は中年男性を厳しい目で見つめているのですね。そこが面白いところです。
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この日の装い。
小雨が降り、寒さがぶり返して、気温が20度くらいしかありませんでした。それで慌ててまた袷の着物を出して来ました。
ポリ着物です。
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「一日一句」
梅雨寒や 男はつらいよ いつの世も
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