2008年1月29日火曜日

アイロンの日々


このことを人に話すと、「えー!」と驚かれるか、あるいは小ばかにされるのかのどちらなのだが、私は洗濯物のすべてにアイロンかけをしないと気がすまない体質の人間。

そういう体質になったのは、ほぼ30年前のアフリカ生活体験から。

今はどうなっているか分からないが、私がアフリカの某国に住んでいた当時は、恐ろしいツェツェバエというのがいて、それがヒトに悪さをするのだという伝説があった。

現地に到着したばかりの日の浅い新人は、滞在年数が長い(といってもそんなに違いはないのだが)奥様や先輩たちからいろいろなレクチャーを受ける。

たとえば、現地の使用人はみんな悪いヤツという前提を話してから、どの部屋にも必ず部屋をかけなくてはいけないとか、冷蔵庫にある卵は使用人が盗むからサインペンで番号を書いておけ、とか、ジュースのビンには線を引いて、何CC減ったか分かるようにしておけとか・・・・。

私はそういう先輩マダムの言葉を好きになれなかったおかげで、「今度来た若い人ったら、私の言うことを全然聞かないんだから!」といういじめにあってしまった。

そんな先輩マダムの教えだったが、これは反抗してはマズイ、と思ったのが、ツェツェバエの怖さだ。
ツェツェバエは洗濯物をどんなによく干しても、洗濯物に卵を産み付けるというのだ。
そしてこれは本当にあった話よ、ということで、そのYシャツを着たある人が、ある日、自分の腕を見ていたら、そこには卵から孵化したハエが、皮膚の下でうごめいていたというのだ。

その伝説には尾ひれが付いて、どんどんと、ものすごく怖~い話となって、先輩には反抗的な態度をとる新人にも脅威となっていたのだ。

そして恐ろしいハエの卵を殺すには、すべての洗濯物に高温のアイロンかけをすること、という秘策が伝えられるのだ。

とはいえ、何も自分でアイロンかけをすることはない。
アイロンをかけるのはメイドさんだから、「これをアイロンかけしておいてね」といえば、それでOK。

ということで、くそ暑いアフリカ生活だったが、いつもタオルやシーツや洋服はパリッとアイロンかけをされていて、それだけは気持ちよく暮らせていた。

そんな生活が3年続いたおかげで、アイロンはすっかり私の生活の一部となってしまった。

帰国後も生活環境は何回か変化があったが、アフリカで身に付けたアイロンかけだけは、私の身体の一部となっている。

大きなシーツからYシャツ、Tシャツ、パンツにブラ、パンストに至るまで、温度調整をしながら、せっせとアイロンかけをしているのだ。

忙しい毎日の中で、アイロンかけの時間だけが、私の頭の自由空間となる。
手は動かさなければならないけれど、心は自由。

アイロンタイムは、その日にしなければならないこと、忘れそうになった出来事を思い出させてくれる貴重な時間なのだ。

6 件のコメント:

  1. 匿名1/29/2008

    ははは、アイロン人間です、私も!!ただし、かけなくては気持ちが悪いと言うことはないの・・かけるのがすき♪そしてなんと中学の時からかけ続け、妹なんか全く気がついていなくて、F校時代、制服もかけてあげていたのに・・・さすがに下着はかけないけれど、Tシャツなどはかける。タダこの45年以上のの長いアイロン人生に変化が起きた!ブログをはじめたら、この時間をとられ、かなりいい加減になった。(笑)
    これって理解されないよね(笑)私は神経質と思われるのが・・どうも!?!あまりに自分と違う理解のされ方なので、戸惑ってしまう。

    返信削除
  2. まあ、トントンも同じ仲間だったのね。
    それにしてもセーラー服にアイロンをかけてあげていただなんて、いいお姉さんだったのね。
    私は下着にもかけるのだけど、ときどき温度設定がまちがってしまい、クチュクチュになってあれ~と思うことがあります。
    そうね、別に神経質だからやっているというわけではなく、一種の習慣かな。私はほかはずぼらですもの。

    返信削除
  3. 匿名1/29/2008

    毎日楽しみに読ませていただいています~
    昨日の話も興味深く読みましたよ!
    是非知らない世界のお話聞かせてね。

    アイロン、私はずぼらです。
    冬はまだしも夏はいやなの・・・
    暑いアフリカでかけていたのですものね。
    試してみよう。
    自分の下着まではかけたことがありません(笑)

    返信削除
  4. さとさん、こんにちは! さとさんこそきちんとされているでしょ。
    アフリカにいたときは、自分ではアイロンかけはしていませんでしたよ。暑いですもの。

    夏の京都でアイロンかけはつらいかな~。

    返信削除
  5. 匿名1/29/2008

    私は、物干しからそのまま取って、そのまま着ているズボラもの。
    母は私と逆で、アイロンが大好きで、おかげで私の制服の襟にはバリバリに糊と
    アイロンがかかっていて、擦れて痛かったことを思い出しました。
    でも確かに気持ちいいですよね。
    しっかりアイロンがかかった服。
    やりたい・・・とは思いつつ、
    今日もアイロンは遠いのでした。

    返信削除
  6. 匿名さん、こんにちは。
    私はいままで制服って着たことがないんですけど、糊とアイロンの両方だったら、さぞばりっとしていたでしょうね。

    でもソックスにもアイロンをかけるというと、たいてい、変人扱いされてしまいます。

    返信削除

最近、匿名さんからのコメントが多くなってきました。確認の設定をいたしましたので、ご協力よろしくお願いいたします。
「私はロボットではありません」にチエックを入れてください。
また、スマホでご覧の方は、「ウェブバージョンに表示」とすると、コメントを入力できるような仕組みになっています。by としちゃん