市民カレッジ「日本絵画名品くらべ」の受講2回目のレポートです。
講師は出光美術館の学芸部長の黒田泰三さん。
今回のテーマは「絵と画」の比較でもいうのでしょうか?
一口に「絵画」と呼ばれていますが、絵と画はもともと異なるものだったそうです。
つまり日本古来のやまと絵と、中国から輸入された水墨画に代表されるように、絵と画は違うのだそうです。
その特色として、「絵」のほうは、色を用いたもので、一目で「○○を描いたもの」と分かるものを指すそうです。そして当世風のものが描かれていました。
描いていた人は宮廷絵師と呼ばれる人たちでした。
これに対して、「画」というのはモノクロ(墨)の濃淡で描かれたもので、古典を題材にしたものが多かったそうで、精神性を重視していたそうです。そして武家が好み、禅宗の影響も多くあったそうです。
そういう違いがあるということ、全然知りませんでしたので、一つお勉強になりました。
やまと絵の代表としては「日月四季花鳥図屏風」が挙げられました。
これは1400年代の作品で、画面には太陽と月、桜や柳の植物、キジや鹿などの鳥や動物がたくさん描かれていました。
こちらはその屏風の右側の部分です。
こちrが左側の部分です。
水墨画の代表は雪舟の作品でした。
雪舟という人はそれまでの水墨画(絵の上のほうに漢詩が書かれていて、下に絵のある構成)とは大きく異なり、絵だけで勝負をしていました。また隅一色だけでなく、ほんのちょっぴりポイントに色を加えていたそうです。
またこの人は、絵に署名を入れた初めての画家なんだそうです。
でも、雪舟の署名は分かりやすいので、かえって真似をされることもあったそうです。
私は水墨画というのにはほとんど興味がなくて、これまで展覧会などでもいつも素通りしていましたが、雪舟の絵は素敵でした。
次回は長谷川等伯と狩野探幽の作品を比べるそうです。
実は、この先生は、専門のお話よりもどちらかというと、ひょうひょうとした口調の無駄話が面白いのです。
このときには初対面の20歳代の若者から、面と向かって「まじっすか?」と声をかけられて面食らった、というエピソードがすごく面白かったですね。
「まじ」を「真面目」という意味ではなく、「そうなのですか?」という質問のニュアンスで使う若者に呆れてしまったというお話でした。
美術館の中だけで生活していると、現代の若者言葉に接することも少ないのかもしれませんが、それでも「僕もいつか誰かに向って、まじっすか、と言ってみたい」とおっしゃるところがとてもユニークな方だと思いました。
奥の深い美術の講義ですが、スライドを見ながら、楽しく学ばせて頂いています。
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