先日、三田誠広さんの「西行 月に恋する」を読んだ後、同じく三田さんの「阿修羅の西行」を読み終えました。
「月に~」のほうは、西行さんの10代から30代くらいまでの青春時代のお話ですが、こちらはその後半人生のお話です。
阿修羅となって、鬼となって生きていく、という西行の強くて厳しい思いが伝わってきました。
今は嵐山光三郎さんの「清盛と西行」を読んでいます。
同じ年生まれの清盛と西行のお話です。
私は、この著者はコラムニストだとばかり思っていたので小説を書くというのが意外でしたが、西行については面白い発見がありました。
それは「いったいどうやって生活していたのだろう」という何とも下世話な疑問でした。
いくら貨幣の流通が少なかった時代とはいえ、旅ばかりしていて食べるものや寝るところのための費用はどうなっていたのでしょう? 経済的なことはどうなっていたのか、気になっていました。
それが嵐山さんの小説を読んで納得がいきました。
彼の収入の一つは、和歌の苦手な清盛に対して、和歌の添削をしたり代筆をしたりして、つまり今でいうゴーストライターのような仕事を請け負っていたようです。それもかなりの高額だったようです。
四季折々の句などをいくつか作ってそれを届けて代金を受取り、生活の糧としていたようでした。
また西行さんは東大寺などに寄進をするために、あちこちの貴族などのところに行って寄付をもらう役目をしていましたが、そのとき、1割程度は手数料として受取っていたということも書かれていました。
なるほどね、現実的な話になってしまいましたが、やはりそういうことだったのですね。生活の基盤が分かっていないと単なる絵空事になってしまい、歴史小説の面白さは半減しますね。
三田さんの小説では、西行さんは後白河法皇の命令によって、清盛の馬を借りて、そして鬼武者(頼朝のこと)を救いだしたり、牛若(義経のこと)を陸奥の国に送り出したりしています。
いったいおまえはどっちの味方なの? と言いたくなりますが、でも出家してしまえばどちらにつく、ということもなかったのでしょう。
あえていえば、「負けそうなほうにつく」というポリシーもあったように思えます。
それともうひとつ気になっていること、それは西行さんと女院との本当の関係です。
三田さんの小説を読むと、二人はプラトニックな関係だったように書かれていますが、嵐山さんの小説では「一夜の契りがあった」というように書かれていました。本当はどっちだったのかしら?
その後、彼は出家するのですが、出家した後もいつまでも女院のことを思い出して、めそめそ・ぐじぐじしているところがかえって人間らしくて、私は好きですね。
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西行ファンになって、あげくは元SKDのトップスター甲斐京子さんという方の一人芝居まで見てきてしまいました。
男役が板についていて、僧侶の役でもかっこいい!
甲斐京子さんの公式HP▼
舞台が始まる前の最初のシーンは、桜の映像だけでしたが、とても美しかったですね。
実はこのチケットは、たまたま新聞を見て応募したところ、招待券が届いたのでした。
西行さんのことを思っていたらチケットが当たったので、嬉しかったですね。
そうそう、この西行の舞台を見に行った時の装いは、やはり桜をテーマにしました。
表が梅で、裏が桜のシルバーの帯を二重太鼓にして締めました。
帯留も桜です。これはお正月の福袋に入っていたもの。
帯締めはFUNNY COCOさんの両面タイプの赤紫のほうを出してみました。
ちなみに着物は鎌倉のリサイクル着物屋さんで買った2000円の小紋。
多分、サイズが小さいので安くなっていたのだろうと思います。
小説も舞台も面白いですけれど、もう少し学術的な内容も知りたいと思って、白州正子さんの「西行」も借りてきました。
ちょっと堅そうな内容なので、ちゃんと読めるか自信がありませんが。
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西行さんが亡くなったのは73才だそうで、当時としては長生きの部類に入るでしょう。
60歳ごろの時に作った歌
「願はくは花のもとにて 春死なむ
その如月の望月のころ」
はあまりにも有名ですが、この歌にある如月満月のことというのはお釈迦さまが入滅した日だそうで、旧暦ですので、ちょうど今頃のことのようです。
こちらはうちの近くの公園の桜。
満開の桜が少しでも長く続いてほしいですね。
としちゃん様は最近平安時代に浸ってらっしゃるのですね^^
返信削除私は相変わらず江戸時代にドップリです。
白州正子さん、西国巡礼や古寺巡礼等も持っていますが、私とはインテリジェンスが違い過ぎて難しいんですよね^^;
何年も読破出来ずに置いてあります・・・
よーでるさん、私も江戸時代の小説も並行しながら読んでいます。山本一力のは、電車の中でも読みやすいですね。
返信削除白州さんのような方は私も苦手なんですが、いちおう読んでみようかと・・・。
メールしたのですが、雨っぽくてダメみたいですね。