だいぶ前から、いとこから「おばあちゃんの着物がうちにあるのよ。母が着なくなった着物もあるので、としちゃんに着てもらいたいので、いつか来てね」と言われていました。
あれこれと忙しくしていて、なかなか機会がなかったのですが、たまたま、先日、叔母の家に行くことができました。
といっても、93歳の叔母は施設に入っているので、いとこがわざわざ千葉から来て、家を開けて待っていてくれました。
広いおうちには、あちこちに桐の箪笥が置いてあり、その中には昔の着物がぎっしりと詰まっていました。
祖母は「深川小町」と言われたほどの可愛らしい人でした。
こちらはその祖母の母親の絵だそうで、大切に飾ってありました。
有名な画家さんが描いたものだとか。
いったいいつ頃でしょうね。戦前であることは確かです。
祖母は、昭和58年に亡くなりましたが、今生きていたら、120歳くらいでしょうか。
60歳で未亡人になりましたが、それからも歌舞伎を楽しんだり、謡を謡ったりして、私は子供心に、楽しそうに暮らしているおばあちゃんだと思っていました。
いつも着物屋さんが反物を背負って来ていたことを覚えています。
そして反物をぐるぐると回していたシーンをおぼろげながら覚えています。
着物を広げ、いとこと二人で、「そういえば、おばあちゃんがこの着物をよく着ていたわ」とか、「あら、この着物は母が着たのを見たことがあるわ」などと昔を懐かしみながら、あれこれ物色しました。
私が手を通してみると、ほんの少し、裄が短いのですが、ほとんど着られることが分かりました。
いとこも着物が好きな人なので、「この着物にはこの帯が合うわね」「この組み合わせだと粋だわ」と楽しそうでした。
着物も帯もあまりにたくさんあるので、一度に持ち帰ることはできないので、今の時期によさそうな着物と帯を選んでみました。
黒のお召に色鮮やかな黄緑の縮緬の帯。
お皿が割れてしまっている絵が面白いですね。
着物はとてもしっかりとした生地で、シックで素敵です。
超細かい市松模様の小紋に塩瀬の帯。
この着物は祖母が着ていたのをなんとなく覚えています。
どれも昭和の着物です。
こんな古い帯もありました。
刺繍がとても素敵でした。
これは大正時代のもののようです。
また豪華な黒留袖もあり、「三波春夫でも着るような」派手な裾模様が刺繍されていました。
驚いたことは、叔母が大正時代、七五三に着たという着物と被布を、先日、いとこの孫(つまり叔母にとってはひ孫)が着たというのです。
その写真も見せてもらいましたが、今の着物では見られないような美しい青緑色の着物と、赤い被布でした。
すごいな。
90年たっても、そのまま着られるとは。
どれが祖母が着たもので、どれが叔母が誂えたものかよく分からないのですが、しつけがついたままのものもありました。
いずれにせよ、昭和初期から中期のものです。
大事に持ち帰りました。
そのうちお披露目をして、私の着姿を写真にとって、叔母に見せてあげようと思っています。
まだまだ昭和の着物がたくさん箪笥に入っているので、そのうちにまた持ち帰ることになりそうです。