2020年7月18日土曜日

山本淳子編 「紫式部日記」

また山本淳子さんの著書を手に取りました。
この方、平安文学の研究者ですが、とても平易で分かりやすい解説をされています。

今回読んだのは、ずばり「紫式部日記」です。


角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスというシリーズに入っている文庫本です。

この前、「紫式部日記解読」▼を読みましたが、2冊の雰囲気が違うのは、両方の著者の年齢の差かしら。
前者の著者は後期高齢者ですが、山本さんはほぼ私より10歳ほど年下の研究者です。

この「日記」は、宮廷に女房として勤めた紫式部の感想や、中宮彰子の出産の様子、彰子の実家である土御門邸での出来事などを記録したものです。

そしてまた同僚の女房たちの様子や、彼女たちの服装なども細かく記録されています。

とくにライバル(時代は違うけれども)として活躍した清少納言への批判や、和泉式部の行動などにも厳しい目で見ています。

とはいえ、紫式部も最初からバリバリの宮廷ウーマンだったわけではなく、同僚とうまくなじめず、自宅に戻って引きこもっていた時代もありました。
そこに藤原道長や中宮彰子・一条天皇のサポートがあり、次第に宮廷で重きを置かれる存在になって行ったわけです。

同僚たちのことを「センスが良い」とか「センスが悪い」と決めていますが、彰子の女房達はどちらかというと大人しくてあまりぱっとしない人の方が多かったようですね。
そして何かと言うと、華やかでウイットに満ちた女官たちがひしめいていた定子の時代を引き合いに出されて、比較されることも多かったので、紫式部ははっぱをかけたかったのかもしれませんね。

それにしても杉本苑子さんの「散華」▼は、「紫式部日記」を土台として書かれているのですけど、このような昔の文献から、あんな長い小説を生み出してしまうというのは、作家というのはすごい想像力があるものだと思いました。

普通なら古典を読むだけでヒーコラしてしまうのに、それを小説に仕立ててしまうというのは、さすがです。

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「一日一句」

梅雨空や読書のうちに日が過ぎる




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