このところ物忘れがひどいのです。
去年の11月に読んだ本のことを忘れてしまって、また図書館で借りてきてしまいました。
読みながら、どうも前にも読んだことがありそうだと思って、ブログをチェックしたら既読だと判明しました。
その時は単行本で、今回は文庫本という違いはありましたが、半年も経っていないのに、もう忘れてしまったなんて、情けないですね。
こちらは単行本の写真。荒涼とした雰囲気の松林です。
二度、読んだわけですが、二回目はじっくりと読んだせいか、面白さが倍増しました。
この小説は、安土桃山時代に「松林図屏風」を描いた長谷川等伯が主人公の物語ですが、実は本当の主人公は次男の久蔵ではないかと思いました。
彼は親の血筋をひいて、絵に才能のある人でしたが、それ以上にいつも何かを求めて生きている人でした。その彼がある人妻に恋心を抱き、そして一緒に住むうちに、彼自身の絵も変わって来て、ついに最高の絵画を作成しました。
それが現在、京都の智積院にある「桜図」ですが、その絵にかける意気込みは、自身の命を削るほどで、彼の健康は悪くなり、ついに29歳という若さで亡くなってしまいます。
2013年に行った時の写真です。後ろの障壁画はレプリカですが、桜の花びら一枚一枚が、特別な手法によって描かれているのです。
久蔵の心の内と、その人妻の元の夫との話がとてもうまく絡み合って、話が面白く構成されていました。
このあたりは作者の創作だと思いますが、本当にうまいものだと思いました。
また狩野派との対立や、あるバテレン(キリシタン)の存在もあり、話に幅が広がり、読む人をぐいぐいと引っ張っていました。
ということで、同じ本を2回読みましたが、それでも飽きずに最後まで楽しめました。
今は同じ作者の「炎帝 花山」を読み始めました。すごく分厚い本なので、持ち歩きすることができず、寝る前にベッドで読むだけですが、これも面白い。
この花山帝は、藤原道長の最盛期以前の時代の人ですが、「紫式部日記」や「枕草子」にも「昔、こういう人がいた」と書かれていたと思うのですが、とても気になっていた存在でした。
その人(色好みで、狂気の65代天皇)のことが描かれています。
昔の実在した人物の物語は、面白くてワクワクしてきます。
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「一日一句」
頁繰る 秋にあらねど 楽しけれ
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