長唄三味線のお稽古を始めて、数年になります。
それまでは、三味線とはまるで無縁の私でした。
そんな私が三味線のお稽古をするようになったきっかけは、母を施設に入れる時、部屋を整理をしていたら、天井から三味線が出てきたからでした。
母は若い時からお琴は弾いていましたが、三味線を弾いていたとはまるで知らなかったので、驚きました。
皮が破れていたので、もう捨てるしかないと思ったのですが、地元の和楽器屋さんのことを思い出しました。
というのは、私は地元のFMラジオで市民による番組をボランティアで制作していたのですが、その時に和楽器屋さんもゲスト出演されていたのです。
ラジオ番組ではさまざまの方をインタビューさせていただき、それぞれの趣味や生き方も教えていただいていました。
その和楽器屋さんに、母が使っていたと思われる三味線を見ていただいたところ、
「15,000円で直せますよ」と言われたので修理していただきました。
そしてせっかく直していただいたのなら、私も弾いてみようかと思いました。
どんな曲を弾く三味線なのかも知らず、「これは長唄三味線」と言われて、長唄三味線を習うようになったのでした。
★FMラジオについては、「ラベル」の下方にある「ラジオ制作の裏側」をご覧ください。
和楽器屋さんとの出会いはこちら▼。
ということで、不思議なご縁で三味線を始めたのでした。
年を取ってから始めたので、なかなか上達しませんが、先生のご指導のおかげと、他のお弟子さんたちとの交流のおかげで、老化防止を兼ねて、三味線を楽しんでいるところです。
ところで、お稽古事というのは、もちろんその内容や、先生の魅力も重要なアイテムですが、お稽古の場所や日時というのも、かなり大切なポイントではないかと思います。
私は自分の生活パターンを考えると、家に近いところでお稽古できるのが一番だと思っているので、三味線を手にしてからも、少し市内で三味線のお稽古をしていました。
ところが仕事や家族の状況などの生活の変化によって、お稽古の時間帯が無理になることがありました。
それで今の先生のところに変わったのです。
先生のことは、若手長唄演奏者の会「長唄ひなの会」▼で存じ上げていたのですが、まさか私の地元でも教えていらっしゃるとは知らなかったので、とてもラッキーでした。
先生のお稽古は、弟子が、自分でお稽古の時間が選択できるシステムになっています。
先生が翌月のお稽古の日にち(だいたい月に数回あります)と時間帯(午前・午後・夜間)を表にして書いて下さり、そのマス目に自分の都合のよい時間を書きこむのです。
お稽古の時間は、1人30分が基本ですが、続けてお稽古をしたい場合は、2マス60分というのも可能です。
このシステムは私にはとても良いシステムで、気に入っています。
普通のお稽古事は「何曜日の何時から」と決まっているので、なかなか他の用事との都合がつかないことがあるのですが、このシステムですと自分の用事を考えて選べるので、とても便利です。
もちろん、時間の選択以上に、お稽古事は先生の魅力が一番です。
三味線のお稽古は1対1のマンツーマンで、先生の目の前、50センチくらいのところに座って弾くのですが、先生がお手本に弾いて下さる三味線音楽を独り占めして聞けるのは、すごい醍醐味だと感じています。
先生はさまざまな年齢層のお弟子さんがいますが、その人に合った教え方をされていますので、みなさん、楽しまれていると思います。
また先生ご自身がいろいろな舞台に出演されて活動されていらっしゃるので、それを鑑賞する楽しみもあります。
三味線だけの演奏会だけでなく、日本舞踊の地方さんとしても活躍されているので、踊りの舞台を鑑賞する楽しみも増えました。
また、私たち初心者にもいろいろな機会を与えていただき、地元のホールなどで、人さまの前で演奏することもあります。
今年の秋には、他のお弟子さんたちのご協力もあり、八王子の芸者さんの踊りに合わせて三味線を弾く、という体験もさせていただきました。
先日は、地元のホールで、ピアノと三味線とのコラボのクリスマス・チャリティコンサートが開かれ、そこにも参加させていただきました。
先生は黒のドレス、ピアニストさんはピンクのドレス、若いお嬢さんのお弟子さんたちは色とりどりのカクテルドレス、私たち中高年は赤い服のサンタさんルックで三味線の演奏をしました。
こちらの写真は、リハーサルのときの様子ですが、ドレス姿での三味線は、インパクトがあったと思います。
私は長唄の曲(「松の緑」)も弾きましたが、先生が三味線用に楽譜を作って下さった「きよしこの夜」や「赤鼻のトナカイ」などのクリスマスメドレーも、楽しく演奏できました。
会場に来てくれた友人たちは、
「若い人がたくさんいて良かった」
「知っている曲があったので楽しめた」
「三味線の音色がずっと響いている」という感想をいただきました。
来年の1月には、市の「伝統文化交流会」にも参加させていただきます。
家でお稽古しているときは、ノーミスで弾けても、舞台の上ではどうしてもミスしてしまいます。
そこをなんとか克服したいと思っているところです。
ひょんなことから始めた三味線のお稽古ですが、若い頃にはまるで知らなかった世界に触れることもできました。
天井に隠れていた三味線に感謝したいですね。
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