2009年10月2日金曜日

東寺からの「贈り物」

「杜の都」はちょいと一休みして、今日は秋にふさわしい(か、どうかは分からないけれど)歴史のお話。

今、私の住んでいるC市では、「市内・近隣大学公開講座」というのをやっているの。

そこでミーハーな私は、駒沢女子大学の先生が講演する「東寺からの贈り物」というセミナーを聞きに行きました。もちろん「東寺」という単語に心ひかれたからよ。


私は、仕事で開演時間に少し遅れてしまったのだけれど、こういうマイナーなセミナーなら、あまり参加者が多くないだろうから、座席も余っているだろうと思っていたのだけれど、それは見事裏切られて、会場は高齢のおじいちゃまだらけで、ほとんど席がなくて、びっしりと詰まっていました。うーっ、となってしまったわ。

それでも何とか席を見つけ、講演を聞きました。

講師はその女子大の人文学部日本文化学科というところの講師で、京都出身の方。まだ30代のバリバリにお若い先生だったのよ。

この講座は連続講座で、シリーズのタイトルが「仏教と日本文化 ~知っておきたい日本人のこころ~」というので、なんとなく信仰に関係のあるお話かな、とも想像していたの。でも、そうではなくて、もろに歴史のお勉強。それも室町時代の後半の戦国時代における東寺の存在についての講義なので、私は大昔に学んだ日本史を頭の隅から引っ張り出しながら聞いてきました。

時は16世紀の中ごろ、足利家と細川家、それに三好家というのがくんずほぐれつしながら、戦国乱世に生きていたわけ。

そして時の将軍が、一方は京都から逃げ出し近江まで行ってしまい、もう一方は堺で勢力を奮っていたんですって。

へー、そんなこと、習ったかしら?南北朝のミニ版が、50年くらい続いたそうです。

それで、そのような時代に、地理的にちょうど近江と堺の真ん中に位置する東寺は、近江派と堺派の両方にいい顔をして、いろんな貢物をしながら、戦国時代を生き延びたというのが、今日のお話だったの。

かいつまんで言えばそんな感じなのだけれど、大学の若手研究者の話だから、結構学術的で、漢字だらけの古文書を見たり、家系図から話を聞いたりで、最近はそういう文系頭とは縁遠かったので、結構刺激的だったわ。

私は東寺と言えば弘法大師の教えとか、密教文化とか、どちらかというとロマンチックなものを想像していたんだけど、実際は東寺は、「権門寺院」といって、国家のため、権力者のために祈祷するところだということでした。

それに私は東寺と言うと、すぐにあの五重塔を思い浮かべるのだけれど、あれは江戸時代になって再建されたもので、東寺のメインは講堂や金堂というところなんだそうです。
ちなみに御影堂(みえいどう)は民間信仰なので、国家権力とは関係なく、民衆に愛されていたそうです。

とにかく、武力をもたないお寺さんは、将軍家やその反対勢力にいろいろな貢物(お経を読んだりするのもそれに当たる)をして、戦乱の世の中を生き抜いてきたというお話でした。

京都は歴史のある町だということは分かってはいたけれど、やはりそれなりに世の中を長く生き抜いてきたということは、知恵もあるし、パワーもあるのだろうとつくづく感じましたね。

今の世の中も自民党政権が民主党に交代したことにより、どっちについたほうが得か、とあれこれ作戦を練っているところも多いと思うけれど、そういうことって500年も前から脈々と続いてきたわけね。

今日のセミナーは文系のセミナーだったけれど、説明や図表や写真などふんだんに使っていて、文系とは言え、若手研究者というのはIT機器を使いこなしているのだなと思ったわ。


今日の率直な感想としては、

1.歴史ファンのおじいちゃまがあまりに多いので、びっくりしたこと。

2.東寺のしたたかさが分かって、びっくりしたこと。

3.講師の日本史の先生のパワポの使い方が上手なので、びっくりしたこと。

というのが三大びっくりでした。

いずれにせよ、今年中にもう一度京都に出かけて、東寺をじっくりとお参りしてきたいものだわ。

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東寺の公式ホームページはこちら
ただしホームページは、すごく重たいので、開くのに時間がかかります。

京都在住5年で、毎日、東寺近辺を撮影している日々是写真日和さんのホームページはこちら

2 件のコメント:

史aya子 さんのコメント...

へぇーへぇーへぇーです(゚Д゚;
世界史上唯一、戦争に関わらなかったのは仏教だと言うひともいますが、お坊さんは策士だったのですね。
大戦には関わらなくても、生臭坊主はいっぱいいたでしょうから、仏教とひと括りにするつもりはありませんけれど。
うちの父も、もうおじいちゃんと云う年ですが、歴史好きですよー
娘の名前につけるくらいですから。
そう云う講演、面白がるんじゃないかしら。
最後のパワポに吹きましたw
まーさんは便利だと言いますけれど、あたしは全然使えないー

おおしまとしこ さんのコメント...

そうか、史子さんは「歴史」の史子さんなのよね。(前に、歴子と間違えられた、という話を聞いて、笑っちゃいましたが)
そうねお坊さんも策士だったと思いましたね。でもそういう人たちがいて、いろんなものを守っていたから、現代人の私たちが今でもお寺さんに参詣できるわけですしね。
それは京都だけではないと思うけれど、やはり京都の地理的特徴というのは面白いとおもったわ。
パワポも映像や音声を入れていろいろ楽しめるけれど、あれもこれも詰め込みすぎると、そればかりに気が行って、意外と後には残らないものです。
古典文学の先生は「電気紙芝居」だと言っていましたよ。