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2024年5月14日火曜日

「越前和紙のぬくもりと平安の息吹」

福井県の魅力創造課主催のイベントに参加してきました。

「越前和紙のぬくもりと平安の息吹」です。

~福井に息づく「千年文化」を未来へ~というサブタイトルが付けられていました。

NHK大河ドラマ「光る君へ」の題字制作者で書道家の根本知さんのトークがあるというので、興味を持ったのです。

今後のドラマの中で、紫式部が福井に住むようになり、また北陸新幹線が福井まで延びたということで、福井県はとても頑張っているようでした。

パンフレットなど、たくさんいただきました。

こちらは、来年あたりに行ってみたいですね。ドラマ放映中の今年は、たぶん混雑していそう。

会場は大手町にある高層ビルの中の「3×3ラボ」というところでした。

皇居前のきれいなオフィス街にありました。(↓ここではありません)

根本さんは書道家のイメージ像とはまるで違い、すごくおしゃべりがお上手で、和の知識がいっぱいの博士さんでした。現在は大学で日本書道史を教えています。また茶道の掛軸の文字にも造詣が深いそうです。

40歳ということでしたが、とてもかっこよくて、カリスマ性がある方でした。


福井の和紙がテーマなので、「紙」の話をされていましたが、紙は、上とも神とも髪とも守とも関連があるという話が、とても興味深かったです。いろいろと美しい紙を紹介してくれました。

また大河ドラマの裏話などもいろいろ聞くことができて、ドラマの小道具作りは大変なのだなと感心しました。

その後は越前和紙の魅力に惹かれて、京都から移住してきた若い女性の伝統工芸士も登場しました。村田菜穂さんとおっしゃる方でした。越前和紙は、1500年の歴史があるそうです。すべて手作業で行い、とても楽しいと話していました。


そして千年未来工芸祭りプロデューサーさんも加わり、トークセッションがありました。
なんと越前の小学生は紙漉きの授業があり、自分で漉いた紙が卒業証書になるのだそうです。素晴らしいですね。

その後、交流会が開かれて、福井の食品やお酒がたくさん振る舞われました。


青山にある福井のアンテナショップ「福井291」からもいろいろと出品されていました。

私は焼き鯖寿司をちょっといただいただけで退出しましたが、鯖の身がとても分厚くておいしかったです。お酒も飲んでみたかったけど、混雑していました。

このイベントに参加した人たち(ほとんど女性でしたが)が、福井に興味を持ち、福井の歴史や伝統に触れるようになると、主催者としては嬉しいことでしょうね。

私もまた福井に行って、おいしいカツをいただきたいものです。

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この日の装い。

雨っぽいお天気でしたので、ポリの墨流しのようなデザインの着物にしました。

帯はピンクの細い縦縞模様。


参加者の中には、着物姿の方もかなりいらっしゃいました。

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「一日一句」

越前へ 千年前の 光る君

2024年3月18日月曜日

「源氏物語展」@東京富士美術館

八王子市にある「東京富士美術館」、一度行ってみたいと思っていたのですが、ようやく行くことができました。

八王子駅からバスで行くのですが、ひよどり山というところを越えていくので、どんな山奥にあるのだろうと思っていましたが、それほど時間もかからずに到着しました。ちなみにこの西東京バスはシルバーパスが使えるので、八王子からは無料で行けました。

東京富士美術館は開館40周年だそうですが、創価学会系列の美術館で、周辺には創価大学、創価女子短大など、いろいろな施設がありました。

美術館には創価学会の信者さんが訪問しているのか分かりませんが、とにかくすごい観客数で超満員でした。

いくら大河ドラマで紫式部が取り上げられているとはいえ、どちらかというとマニアックな「源氏物語」の展示会に、多くの人が来場していたのでびっくりしました。

それもほとんどが中年女性で、おまけにどういうわけか、着物着用率がすごく高くて驚きました。歌舞伎見物客の着物着用率よりずっと高いのでした。どこかの呉服屋さんの招待客なのかもしれません。団体バスもずらりと並んでいました。

この日は「姫君の空間~御簾の下からこぼれ出る女房装束」という講演があるので、早めに到着しました。


ところが会場に行くと超満員で、立ち席しかないとのこと。仕方なく入場しましたが、椅子が追加されて、ようやく席を見つけて一安心。

講師は大妻女子大の赤澤真理先生という方でした。

平安時代の建築が専門で、まずは寝殿造りについての説明がありました。

当時の建物は、ひとつの大きな空間であり、御簾や几帳などで区切るというのが特徴でした。


また女房の装束(袖が几帳などからのぞく打出)も、一つのインテリアになっている、という説明がありました。ただし、わざと袖を出すのは、よろしくないということでした。

この打出というスタイルは、南北朝時代まで続いたそうです。

とくに目新しい内容ではありませんでしたが、宮廷などで女房たちの座る位置と、装束の袖などがどのようにして記帳からはみ出すか、を図解入りで説明していただいたのが分かりやすかったです。

ただしこの講演は15分で終了してしまい、もう少し深い話を聞きたかったですね。
その後の十二単の実演がメインだったようです。

この道40年という装束研究家の先生が、モデルさんを横に置いて、5枚重ねの打衣(うちぎぬ)と、唐衣(短い上着)、裳というスカートのようなものの着方を説明しました。

最初はこんな姿でした。


だんだん、重ねていきます。
着せる人は前と後ろの2名いました。


5枚ほど重ねました。
このようなかさねの取水は、なんと200種類くらいあったそうで、それがファッションセンスの見せ所だったのでしょうね。


こちらは模様が入っていて美しい。


こちらが一番上になりました。

裳というスカートのようなものを羽織っておしまいになりましたが、装束は全部で16キロ~20キロの重さになるのだそうです。それではまともに歩けませんね。

その後、扇を持って歩いたりしました。顔はほとんど誰だか分かりませんね。


男性も登場しました。


実演ショーは45分かかりました。

こちらは打出の場面を再現したものです。


御簾(みす)の蔭から袖だけが見えています。
色も美しいですが、刺繍やアクセサリーのようなものもあり、かなりおしゃれでした。
シルバーのような素材の花や鳥もありました。


几帳(きちょう)も、とてもきれいでした。


こんな感じで、女性は御簾のそばに座って袖を出していました。

その後は展示会場に行きましたが、ここも超満員で、法華経などほどんど見えませんでした。

絵画、工芸、染色(吉岡幸雄さん作)、数々の出版物などが展示されていました。円地文子、田辺聖子、橋本治、瀬戸内寂聴などの源氏物語も並べられていました。「あさきゆめみし」もありましたよ。

遙か昔の絵画や屏風も風格があり、素晴らしいとは思いましたが、私は現代の画家による源氏物語を題材としたガラス作品などに興味が湧きました。

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この日の装い。

とても暖かい日でしたので、淡い色の紬の着物にしました。


帯は叔母が使用していたもの。
両面帯(黄色と緑色)なので、これ一枚あれば、たいていの着物に合わせられて、便利です。


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「一日一句」

春深し ひよどり山の 源氏展


2024年3月4日月曜日

「女三宮と柏木」@紀尾井小ホール

 先月、紀尾井小ホールに三味線の会に出かけた際に、こちらのチラシが目に入りました。

「音楽でつづる文学 源氏物語 女三宮と柏木」

女優の紺野美沙子さんが出演されるというので、ミーハー気分で公演チケットを申し込みました。

当日は小雨交じりの寒い夜でしたが、紫式部に敬意を払って、淡い紫色の訪問着で出かけました。


「源氏物語を楽しむ会」でご一緒しているKさんと。


最初は野川美穂子さんという大学の先生による講演がありました。

源氏物語の構成など、登場人物の系図もあり、分かりやすい説明でした。

私が意外だと思ったのは、女三宮(光源氏の異母兄である朱雀院の第三皇女)の母親は、藤壺中宮(光源氏の義理の母親であり、憧れの人)の妹だったということ。つまり藤壺と女三宮とは伯母、姪の関係だったということでした。

また女三宮が飼っていた小猫の紐が御簾にひっかかり、そして御簾が巻き上げられて彼女の姿が丸見えになって、その場面を柏木(光源氏のライバルであった頭中将の息子)が蹴鞠をしていた折に見られてしまうというハプニングが起こりました。それがきっかけとなり、女三宮と柏木の間での密通事件が起こるのです。

その大事な場面ですが、この小猫は別の大きな猫に追いかけられていて逃げていた、ということは知りませんでした。

なかなか細かい部分まで教えていただきました。

こちらは土佐光則による「若菜上」の場面です。猫のような動物が描かれていますが、かなり大きそうですね。


そのような解説があった後で、紺野美沙子さんたちが登場して、宮城道雄作の「源氏物語」の箏の演奏と朗読がありました。「若菜」「柏木」「幻」の三部構成でした。

私は前から2列目という良い席でしたので、出演者の着物の柄や帯も手に取るようによく見えて、ラッキーでした。

そして紺野美沙子さんの小顔には驚きましたた。ほんとにちっちゃくて、まさに女優顔でしたね。お声も美しくて、そして堂々とされていました。

その次は八橋検校作による箏の演奏と歌でした。演奏の前に八橋流箏曲の演奏者による解説がありました。演奏法は普通の箏とはかなり違っているように思いました。ダイナミックで、そして繊細な技法のように感じました。

最後は三曲による地歌でした。三味線と箏の奏者はそれぞれ歌も歌っていました。三味線の方の着物がゴールドで、素晴らしく豪華で、そちらばかりに目が行ってしまいました。

今回の演奏は、光源氏の正妻となった女三宮と、柏木の不倫の話ですが、紫式部はこの話を通して、中年になった光源氏や、嫉妬により病になってしまう紫の上の姿を描きたかったのではないでしょうか。

私の母は、娘時代から琴を習っていて、家にも琴がありましたが、どんな風に演奏していたかは知りません。国立劇場で演奏したときの写真もありますが、聞いたことはありませんでした。いちど聞いておきたかったですね。

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この日の装い。

茶屋辻模様の薄紫色の訪問着。めったに着ない着物です。

帯は川島織物の白と薄水色の名古屋帯。これもリサイクルですが、私にはかなり高かった帯です。

夜の外出は久しぶりでしたが、楽しめた夜でした。

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「一日一句

春の宵 淋しさ募る ものがたり


2023年12月13日水曜日

「源氏物語を楽しむ会 66回」スペシャルバージョン

今日の「源氏物語を楽しむ会」報告は、スペシャルバージョンです。 

いつもは午前中に下高井戸で読書会をしていますが、この日は午後しか会場が確保できませんでした。

午前中が空いてしまったので、その時間帯は竹橋にある丸紅ギャラリーで開催中の「源氏物語 よみがえった女房装束の美」を見に行くことにしました。


着物着用で入場すれば無料、という特典がありました。

会場の入口で。
ここから先は撮影禁止です。

こちらの会場は広くはないのですが、源氏物語に登場する女房の装束を再現したものが展示されていました。

この展示は、実践女子大学などの研究プロジェクトが、5年の歳月をかけて装束を再現したものです。

装束を着用した明石の君の姿もありました。

これは正月の女楽のとき、へりくだった明石の黄みの姿だそうですが、ちょっと数えただけでも5枚の衣装を重ねていました。そして唐衣を羽織り、裳を着けていました。

どれも美しい色と柄のものばかり。

これだけ重ねたら、さぞ重いのではないかと思いました。

当時の高貴な女性は立って歩くことはせず、這うようにして移動したと言われていますが、これだけ衣装を着けていたら、立ち上がるのも困難だったかもしれないと頷けました。

会場の展示品は写真撮影は不可でしたが、廊下にある解説は撮影OKでしたので、写してきました。ちょっと傾いていますが。

こちらは装束全身の説明です。しっかりと眺めているKさん。

打衣(うちぎぬ)

小袿(こうちぎ)


表着(うわぎ)

裳(も)

唐衣(からぎぬ)


裳には、美しい刺繍や絵がほどこされていました。それぞれに名前が付いていました。

こちらは、Kさんが購入した図録です。

見学の後は、同じフロアにあるイタリアンレストランで食事をしました。

源氏物語のコンセプトで作られたスパゲティがありました。


紫式部が好んだというイワシと、紫色の柴漬け、黄色の壺漬けが入っていました。ガーリックが効いていました。

サラダも盛りだくさん。

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食後はいつもの会場に向かい、「胡蝶」の巻の読書会を行いました。

六条院に住む女性たちが登場します。

見学してきた装束を身につけていたのでしょうか。

ランチをいただいた後でしたので、おしゃべりの時間のほうが多くなりましたが、たまには課外授業も楽しいものです。

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この日の装い。

レースのような刺繍のような、洋服生地から作ったポリ着物です。裏地は胴抜きに仕立ててもらいました。


帯はリサイクルの真っ白な帯。
柄がとても変な場所にあり、締めるのに苦労しました。


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「一日一句」

千年前 装束姿 雅の美


2023年11月8日水曜日

京都「風俗博物館」

「風俗」という単語には、あまり良いイメージがありませんが、京都の西本願寺近くにある風俗博物館は、とても優雅で清らかなところです。


ここは、源氏物語の世界を再現する博物館です。

ここを訪れるのは3回目ですが、その度に、「風俗」という名前はもったいないな、と思うのです。

開館は昭和49年。

入館料はひとり800円と格安です。

ここでは世間の雑踏を忘れ、平安の雅な時代に浸れます。

竜頭鷁首の船。


明石の姫君の成人のお祝いの準備。


右奥の女性が紫式部のようです。


左端の男性が藤原道長のようです。


それぞれの衣装もとても丁寧に作られていました。

こちらは女房たちの日常生活の一コマ。


重陽の節句の「菊の着せ綿」
菊の花の上に真綿を被せ、翌朝、その綿で体を拭うと菊の薬効により無病で過ごせるという習慣があります。


冊子づくり。これも女房たちの仕事でした。


「偏つぎ」という遊び。漢字の偏とつくりを合わせて完成させます。漢字の知識の競い合いですね。

私たちの「源氏物語を楽しむ会」ではちょうど六条院に暮らす女性たちの話の巻(「初音」)をしているところなので、当時の様子が少しは目に見えてきました。

また平安時代の服飾についても、展示されています。形だけでなく、色の組み合わせの素晴らしさも紹介されています。


こちらは打出(うちいで)と言われ、御簾の下から装束の袖だけをちら見せして、華やかさを演出するものです。

継紙。


継紙とは、異なる色や質の紙を継いだ料紙のことで、平安時代に成立後されたものです。金銀の箔や砂子を散らしたり、さまざまな趣向がこらされています。

博物館の展示品は、すべて四分の一の縮尺で作られているそうです。

平安時代の貴族は、全人口のほんの一握りだったと思います。ですからこの姿を見ただけでは当時のことを理解したとは言えませんが、参考にはなります。

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「一日一句」

千年の 時空を超えた みやびかな