東福寺というのは、東大寺の「東」と興福寺の「福」をとった大きなお寺で、鎌倉時代に建てられた立派なお寺です。
源氏物語の宇治十帖の中で、薫や匂宮が宇治の姫君のところに通うとき、このあたりを通ったのだろうというので、とても興味がありました。

東福寺は、京都から奈良線というローカル電車に乗ってひと駅です。
それで、新幹線を降りる時から、私の頭の中では、「奈良線に乗らなきゃ!」というモードだったので、新幹線ホームのすぐ隣に奈良線の電車が見えた時には、「あっ、これだ」と思い、そのまま乗りこんでしまいました。ところが、それが間違いでした。
というのは、その時、私は着替えや新幹線の中で読むための分厚い本を入れた旅行鞄を持ったままだったのです。「あっ、まずい」と思ったのですが、東福寺駅なら観光客も多いので、ロッカーくらいあるだろう、と考えたのですが、東福寺の駅の周りには、どこを見渡してもロッカーがない!
仕方なく、これからの道のりを重い荷物とともに歩き始めたのでした。
あーあ、と思いつつ、知らない町を歩くのは楽しいもの。
こんな昔っぽいお酒屋さんもありました。
人通りのない道を、東福寺まで歩きました。
東福寺の中はいろいろな建物やお庭がありますが、私が一番に気に入ったところは、「通天橋」です。
ここは秋の紅葉の時には、京都一番の絶景と言われる場所だそうです。
まっすぐな通路は、天井も素敵です。
橋の両側にはほんの少し紅葉したモミジがありました。
でも、新緑のモミジもいいものです。
この柱の飾りは、仏教の何かの意味なのでしょうか?
秋には紅葉狩りの人で満員だそうですが、真夏の東福寺は、人気がなく、シーンとしていました。
こちらは、方丈という庭園です。
市松模様に作られた植木が素敵です。
これは重森三玲(しげもりみれい)という庭師によって明治時代に作れらたモダンなお庭。
実は昨年、京都大学の近くにある重森さんの作ったお庭を見学していたので、どうしても東福寺のお庭も見てみたかったのです。刈り込みが素敵です。
こちらのお庭は、石庭です。
東福寺のおまけです。
ここは東司。(とうす)
つまり昔のお坊さんたちのおトイレです。いちどに100人くらいが使用できるとかいう、大きな建物でした。ということで、またの名前を「百雪隠」というとか。
東福寺を後にする時、たまたま写真を撮ったら、一番上の入場券と同じアングルでした。
東福寺では、観光客にもほとんど会わず、ほんの少し雨に濡れましたが、ゆったりとした時間を過ごすことができました。
このあと、重い荷物を持ったまま、泉湧寺(せんにゅうじ)へと足を伸ばしたのでした。