2010年1月23日土曜日

乱読

最近、去年の暮れ頃から新年にかけて読んだ本の感想を少し書いてみましょう。

橋本治さんの「源氏物語」は昨日のブログの通り。

現代ものでは、角田光代さんの直木賞受賞作品の「対岸の彼女」


たぶん30代後半くらいの女性(専業主婦だった人と、起業している女社長)のお話。
作品の構成はうまいと思うの。現代に生きる対象的な二人の様子と、そのひとりである女社長の高校生時代の話を交互に描いています。会話も自然だと思うし、状況説明も的確で、文章力もある作品だと思うの。
ただし私と年齢差があるのが理由だと思うだけど、どうしても実感が湧かない部分があるのよね。特に高校生時代の話(女子高生二人が伊豆の民宿でバイトして、その後二人で放浪の旅に出て、都心のホテルを泊まり歩くところなど)が、あまり現実的とは思えなくて、イマイチ、共感できなかったな。

この人の本は、以前、「空中庭園」というのを読んで、すごく面白かったのを覚えているのだけれど、今回のは世代差を感じてしまったわ。

時代小説では、「颯爽登場! 時代小説ヒーロー初見参」というのを読んだのだけど、ワクワクドキドキ、名調子の文章でどんどんページが進みました。


この本を読み始めた理由は、先日、雷蔵祭で「大菩薩峠」の映画を見たから。悪のヒーローや彼を取り巻く人物が凄く魅力的で面白かったので、原作を読んでみようと思ったのでした。でも日本一長い小説だそうで、全巻揃っていませんでした。それでこの「さわりだけ」の本を選んだのです。
この本には、大菩薩峠を初めとして、旗本退屈男、雪之丞変化、鞍馬天狗、国定忠治、丹下左膳、桃太郎侍という何となく名前は知っているヒーローたちの元の小説の初めの章だけが書かれているのです。ごく幼いころ、親から聞いたり、何となくテレビで見たことがあるようなヒーローたち。みなそれぞれ個性的です。最初の章だけでなく、続きを是非読みたいと思いました。

重厚なものでは山崎豊子さんの大河小説「不毛地帯」全5巻。


これは文句なしに面白かったですね。戦後のロシア抑留生活のこれでもか、これでもかというくらい悲惨で残酷な場面が続き、どうしようもないくらい暗いのですが、主人公が次第に商社の中で次第に出世していき、さまざまな場面で敵と戦いながら生きていくという大河小説です。
ただしテレビでは主人公を唐沢寿明が演じ、ヒロインの陶芸家を小雪が演じているというので、がっくりです。ちょっと無理があるんじゃないかな。

新書では東大の坂井克之さんという人の書いた「脳科学の真実」


これは世にはびこる似非脳科学者、タレント脳科学者などと、そうではない脳研究者の違いを書いている本です。一般の人に、「脳科学はこんなもんじゃないよ。そんなに単純なものではないよ」という警告を発していと同時に、脳科学に従事する人たちにも自己反省を求めている本だと思います。
私が仕事で接する人たちは、おもに脳神経科学という分野の人たちが多いのですが、その人たちはTVや書物で有名になった脳科学者には批判的な人が多いのですが、半分はやっかみがあるかもしれません。そういうことをきちんと冷静に分析して書いてある本だと思いました。

まったくジャンルの違う本たちですけれど、読書の時間が持てるというのは、本当に幸せ。

今読んでみたいのは、川端康成の「雪国」。なかなか図書館にも本屋さんでも見つからないの。最初の出だしがあまりに有名なんだけれど、実際はちゃんと読んだことがないのです。

それと少し読みだしているのが、谷崎潤一郎の「新々訳 源氏物語」。タイトルで分かるように谷崎潤一郎は3回、現代語訳をしているのです。すごいわね。
私も原作は無理だけれど、いつもそばに源氏物語を置いていたいのです。

2 件のコメント:

マサ さんのコメント...

「対岸の彼女」、大好きな小説です。女同士の友情というか、もっと熱く信じられるお互いの存在に泣けた。
川の向こう側に女生徒が小さく描かれている表紙が、印象的です。
わりと最近読んだ(最近でもないか)、「八日目の蝉」「森に眠る魚」もよかった。いずれも、内向的な作品かな。私向きだわ。

そういえば、角田さん、同業の伊藤たかみと幸せな結婚生活を送っているものとばかり思っていたら、いつの間にか若いロックミュージシャン(確か)と再婚していた!
やるじゃない、角田さん!

としちゃん さんのコメント...

ふふ、実は「対岸の彼女」を読みながら、これはマサさんなら絶対に読んでいる本だろうな、と思っていましたよ。
そうそう、あの方、離婚しちゃったのよね。同業だと難しいのかな。小池真理子と藤田宣永はうまくいっているようですけど。