スポーツクラブに通うときは、いつもこの写真のでかいカバンに着替えなどをがばっと入れて、自転車の前かごに突っ込んで出かけているの。

だから形も崩れていて、あまり人さまに見せるようなものではありません。
おまけにこれ、去年の(!)お正月の福袋を買った時の袋で、ちょっときれいな絵柄だし、大きさがちょうどいいので使っていただけなの。
ところがですよ、先日、このかばんを提げて、パ○コの中にあるB・ショップに行った時のこと。
私はボディ・クリームが欲しくて行ったのだけど、どれにしようかな、と迷っていた時、店員さんが
「お客様、それ、クリムトですよね」と話しかけて来たのよ。
そういえば、クリムトという画家の名前は聞いたことがあるけれど、どんな絵を描く人かまるで知らなかったの。私は適当に、「あら、そうなの。」とかごまかしていたのだけれど、でもその店員さんはよほどこの絵が好きなのか、親しみをもっていろいろと話しかけてきたの。
私が探していたクリームもいろんな種類を見せてくれて、匂いをかがせてくれたり、どれがどう違うとか、説明をしてくれたのよ。
B・ショップはどこにでもあるお店だし、どこで買っても同じ値段なんだけど、ここの店員さんがとても感じが良かったので、私はつい、大きいサイズのクリームとおまけの小さいサイズの携帯用クリームまで買ってしまいました。

家に帰って、「クリムト」を検索したら、クリムトという人はウィーンの画家で、「愛とエロス」がテーマなんだそうよ。
そしてこの絵は、まさに彼の「接吻」という絵から取ったものだったのでした。

こちらは今まで愛用していたココナッツの香りのクリーム。

こちらはお花の香り。店員さんにすすめられて、初めて買ってみました。
その店員さんがクリムトのことを話さなかったら、私も2個もクリームを買わなかったと思うのよ。それだけ彼女の接客態度に満足したわけ。
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逆のこともありました。
前にも書いたように、韓国の化粧品会社の口紅が気に入って、そのお店が新宿三越にも入っているというので、先日、ついでがあったときにそのお店に寄ってみたの。
そして私の好きな色の口紅を差しだして、「これと同じようなのが欲しいのだけど、選んでいただけますか。」と聞いたのよ。
そうしたらその店員、「これは韓国仕様なので、日本では売っていないんです。」というの。
そんなこと、私は知っていますよ。でもこのメーカーが気に入っているのだから、同じような色のが欲しかったのよ。
店員は、「日本人と韓国人では口紅の好みの色が違うんですよ。だから日本ではこういう色はないんです。」と言い張るのよ。
おまけに「お客様が韓国に行って、そちらで買ってきたらどうですか。」と言うの。
そんなこと言われたって、そうそう韓国に何回も行くわけにもいかないし、だからわざわざ新宿まで来ているんじゃないの!
たとえば、「あいにくとこれと同じ色はありませんけれど、お客様にはこちらの色ならお似合いだと思いますよ。」とか言って他の色を差し出してくれれば、私なんて単純だから、「あらそう? それではそっちを買うわ。」ということになると思うのよ。
そういうことも言わないで、「ありません」の一点張り。
私はがっくりしてその場を去ったけれど、これでお客を一人取り逃がしたわよね。
接客業は難しいわよね。それにお客様あっての商売。
つまりちゃんとお客の気持ちになって相手をしてくれるお店なら、多少高くてもそこで買いたいわ。安いだけが勝負ではないはず。

クリムトのカバンを使うたびに、この二人の店員さんのことを思い出すのです。