林芙美子記念館で戦前のおうちのムードを味わった後は、雨の中を歩いて、妙正寺川沿いにある
「二葉苑」という染めの工房に行きました。ここで江戸更紗の見学と実習をするのです。
門がまえが素敵ですよね。

この辺りは「落合」という住所なんですが、「落合」というのは、神田川と妙正寺川が落ち合ったところという意味で、落合という名前がついたそうです。
かつて江戸時代には神田のほうで染色が盛んだったそうですけれど、きれいな水を求めて、職人さんたちはこの落合の方に移動してきたそうです。
昔はこの川の水で染料を洗っていたそうですが、今は環境重視ということで洗うのはすべて会社の中でしていました。
このあたりには古くから染物関係の会社が300軒くらいあったそうですが、今ではずいぶん減ってしまったそうです。
江戸更紗というのは、いわゆる更紗(ジャワ更紗のようなもの)が洗練されて江戸時代に流行したものだそうで、何百何千とあるパターン(型)をもとにして、それを染めたものです。
こちらは工房の中の様子。長い反物の状態で吊るしてあります。

さて、今回の実習は江戸更紗のテーブルセンターでした。
こちらは図案を考案するお部屋だそうで、素敵な見本が飾ってありました。このお部屋で実習をしました。まぁ、こんなのが本当に作れるのかしら?
前に京都で友禅のバックつくりをしましたけれど、やり方はほとんど同じのようです。
ただ友禅と違っているところは、あちらは白紙の状態から少しずつ色を加えていって、最後に白色で境界線を作るのですが、江戸更紗はまず黒い枠があって、そこに色を加えていき、それでおしまい。
でも型の場所をしっかりと固定することや、色を塗るときは大きく手を動かして塗ることなどは同じでした。

こちらが最初の状態。

若い女性の技術者から指導を受けます。刷毛の持ち方を説明しているところ。

恐る恐る最初の色を塗ってみました。こんな感じです。

一緒に参加した方がやっているところ。袖がひらひらしていたので、割烹着を借りて着ています。私は家から自分の割烹着を持参しました。

紫と緑が入ったところ。同じ色でも二回に分けて塗るので、濃淡が出るように塗り方を工夫してみました。

次はピンクが入ります。

黄色が入ると、華やかさが増してきます。青も塗ります。
そして最後は茶色を塗りこみます。茶色は枝の部分です。
さぁてできあがり。

出来上がりは大満足でした。

でもね、色を塗る時の力の入れ方で、こんなに作品には違いがありました。
私のは右のほう。色が濃いでしょ。左の方は、うっすらとお上品な仕上がりだわ。

この様子、案内していただいた番頭さんがブログにアップしています。
いち利の番頭さんのブログ一生懸命にやっている姿が分かるでしょ。でも知らないうちに私が写ってしまっているわ。顔は出さないで、とお願いしたんですけれど・・・。
ここには
すてきな更紗製品のお土産も買えるお店もあるし、本当に素敵なところでした。

自分一人では行けないようなところまで見学できたし、おまけにアイスコーヒーまでご馳走になり、嬉しかったわ。

こちらは柘植の櫛がセットになっています。くまちゃんも更紗の着物を着ていて可愛い!
新宿区という現代的なところに、こんな情緒のある染め工房があるとはつゆ知らず。
よい体験になりました。
テーブルセンターは持ち帰り、アイロンを当てて出来上がり。でも使うのには惜しいので、額に入れて壁に飾りました。