夏の京都旅行の2日目、7月29日は、早朝に東西の本願寺をお散歩をした後、さとさんの車で宇治まで出かけました。
宇治といえば、宇治十帖、それに宇治茶と平等院。
この宇治の3大スポットを一気に堪能できたのでした。
でも、今回の宇治編は、暑さのために写真はほとんどありません。
まずは宇治十帖の世界。「源氏物語ミュージアム」へ出かけました。
ミュージアムには、源氏物語のストーリーをCGで再現したり、当時の貴族の生活様式も展示してありました。ちょっとだけご紹介。
几帳。この奥にお姫様はいらっしゃるのですね。
ご存じかとも思いますが、ここは「源氏物語ミュージアム」とはいっても、光源氏とは縁がありません。
宇治という場所は、「宇治十帖」といって源氏物語の中で、光源氏が亡くなった後、数十年後の世界を描いた物語の舞台になるところなのです。そして、10のお話から成り立っているので、宇治十帖というのです。
ですから「宇治十帖」には、光源氏は登場しません。
登場するのは、光源氏の子供(といわれているが、本当は妻の女三宮が柏木と不倫の末に生まれた子供)の薫と、光源氏の孫(明石で出会った明石の方との間の娘、明石の上と帝との子供)の匂宮の二人です。
そして女性軍は、落ちぶれた皇族である八の宮という方の娘の大君、中の君、そして母違いの浮舟の三人姉妹です。
薫が大君・中の君が琴を弾く姿を覗き見しているところ。
これを「垣間見」と言って、当時の恋愛の第一歩なのです。
ちらっと見えただけ、楽器の音を聞いただけ、手紙をもらっただけで、当時はもう恋愛関係になっていたのです。
そして「顔を見た」となると、もう男女の関係に入った後という意味だったのです。それも薄暗い部屋の中のことなので、当時の人たちは、ほとんどお互いの顔など知らずに付き合っていたのですね。その分、香りの良さ、楽器の音色の良さ、文字の美しさというので相手を想像していたのでしょう。
「宇治十帖」は、そんな時代の恋愛物語なのですが、私が初めて読んだのは、大学生の時。読んだというのではなく、古典の授業で読まされたのでした。
このときの教授は源氏物語の世界では有名な先生だったらしいのですが、とにかく、厳しかった。もちろん原文でしたので、文法も難しかったし、先生の要求が高くて、ついていけませんでしたね。
それで私は源氏物語を嫌いになってしまったのです。
その後、いろいろな人の源氏物語訳を読みましたが、宇治十帖のところはいつも避けていました。
それが瀬戸内寂聴さんの訳で宇治十帖を初めてちゃんと読みだしてから、面白さが少しずつ分かってきました。それからは田辺聖子、与謝野晶子、村山リュウ、上野栄子さんなどの訳も読みましたが、宇治十帖というのは、ドラマを見ているような感じで、面白いと思うようになりました。
いわゆる源氏物語は恋愛物語と男の出世と出家の世界だと感じたのですが、宇治十帖には出世の世界はない。
男の話ではないと思います。恋愛と出家の間を行ったり来たりするようなお話です。当時の女性には恋愛を成就するか、あるいは出家してしまうかのチョイスしかなかったのでしょう。
面白いとはいえ、男性とくに薫のうじうじしたところ(宇治だから?)は、何回読んでも好きになれませんね。真面目そうというか誠実そうに見えますが、男ならもっと大胆なほうが私は好きですね。
「源氏物語ミュージアム」の庭にある柵には、源氏香の香りの図がアレンジしてありました。
この柵の形は54あり、形によってどのお話しか分かるのだけど、この形は存在しないみたいね。
香道についてはこちら。
◆◆◆◆◆◆
さて私は今、高校の先輩でもある橋本治さんの源氏物語を読んでいます。
今までの訳と完全に違うところは、橋本さんの訳は主人公である光源氏が一人称で話しているところです。つまり男の視点からのお話です。大胆な訳で非常に面白い。解説調のところもあり、かなり硬派です。
まだ途中までしか読んでいないのですが、光源氏が亡くなってしまったこの宇治十帖は、作家である紫式部が語るという展開になっているそうで、どんな解釈がされているのか、今から読むのが楽しみです。
宇治の源氏ミュージアムに訪れたのは2回目でしたが、ここは宇治市が運営しているというのは知りませんでした。宇治市も粋なことをするものですね。
宇治川の水は満々としていて、堂々と流れていました。
二人の男性からの求愛に悩み、この川へ身投げしようとした浮舟は、どんな気持ちだったのでしょうね。
10 件のコメント:
宇治には一昨年、修学旅行以来初めて行きました。
宇治川のほとりに紫式部の像がありましたね。
教養がないとか哀しい事です(涙)
お話の舞台になっているとは察しましたが、知らないもので、素通りしてしまいました。。。
宇治だけにウジウジ(笑)
そう云う男は苦手ですが、香りや楽器の音色で相手を記憶すると云うのは素敵ですね。
それがどうして今じゃ、お見合いの前に写真なんでしょう?
風情がありませんねぇ。
源氏物語ミュージアムはおもしろいですよね。
昨年行ったばかりだからしばらくは行かないと思いますが、誰かが行くってなったら、くっついていきたいですもの。
平等院も歩いて行かれるし、宇治はコンパクトに素敵でいいなぁと思います。
私はマンガでしか読んでいませんが、確かに薫はウジウジかも。
浮船のウジウジも嫌ですけど…。
史子さん、宇治というのは「憂し」に繋がる言葉だそうですね。だからウジウジしているのかも?
修学旅行では平等院に行ったのでしょうね。
薫も匂宮も両方ともいい香りを漂わせていたそうですが、薫のはあまりに強烈で、わきがだったのじゃないかという説があります。かなり遠くからでも、あれは薫の臭いだと分かったそうですよ。
shiollyさん、あのミュージアムを写真撮影するのは難しかったでしょう? どこを映していいのか、あそこは苦しい設定ですよ。
浮舟もね、今の時代からみると、ふんぎりのつかない女だということになりそうですが、自分で出家してしまおうと決めるだけでもなかなか大変なことだったみたいですよ。
最後に薫の家来がやってきて、お会いしたいと行った時、「お人が違いじゃありませんか」とそっけない態度をしたのは、なかなかできないことでしょうね。
あそこで映画を見ましたが、ちょっと俳優さんに難がありましたね。
としちゃん、宇治十帖の解説ありがとう。源氏物語は、最初の部分しか読んでないのよね。
今、橋本治訳を読んでいるのね。訳者によって、趣はずいぶん違いますか?私も、元気なうちに完読しなくっちゃ。読むんだったら、瀬戸内源氏がいいかなぁ~って思っていますが、村山リュウ氏が正統派なのかしら。
としちゃんの解説を読むと分かりやすくて
楽しいわ。
勉強している方の解説はやはり違います。
村山リュウさんは確か岡山高女で教鞭ととっていたんですよね。講演を聴いた事が有りますがマサさんがおっしゃるように正しく正統派かしら?
瀬戸内さんのは読みやすいですね。
とは言っても全巻読み終わったわけでは
ありません。汗
マサさん、源氏物語は訳者によってまるで雰囲気が違ってくると思います。
やはり瀬戸内さんのが女ことばで書いてあるから読みやすいと思いますが、あまりすらすら読めてしまうので、それが難点かな。
村山さんは訳していると思うと、次にはご自分の解釈が書いてあったりして、訳本というよりも解説本です。でも分かりやすいですよ。カセットでも販売しているらしいわ。
何回も読むうちに、まるで気付かなかったところが次々に出てくるので、それが面白いわ。
えーと、匿名さんは真蘭さんかしら?
そう、村山リュウさんは学校の先生だったから、教え諭すような訳ですね。面白いけれど、最初に手にするにはどうかな、という感じ。でも私は好きですよ。
講演というの、聞いてみたかったですね。
橋本治が終わったら、今度は谷崎潤一郎の訳を読む予定なの。
今回初めて色んなことがわかりました(苦笑)としちゃんの解説や映画や展示内容でね。
前回は撮影のことばかりしか頭になくて今回訪ねて本当によかったわ。
ありがとう!
映画の俳優さんがもう少し古風なお顔だともっと良かったけどあまりに現代過ぎるね。
ミスキャストですよねぇ・・・
白石加代子さんしか印象に残ってないわ。
さとさん、写真教室で出かけたばかりのとろろへまたおつきあいしていただいてありがとうございました。見方が違ってよかったわね。あの場所は撮影には難しいですよね。
それにあの映画、私も白石加代子ばかりが印象に残りました。若手の俳優さん、平安時代の顔じゃありませんよね。
コメントを投稿