「江戸しぐさ」の講演会に行ってきました。
今のようなギスギスした世の中に、江戸時代の庶民の知恵を生かそう、ということがよく話題になっているでしょ。今回はNPO法人「江戸しぐさ」の講演会があったので、参加してきました。
まず最初はビデオを見ました。
「熙代勝覧」(きだいしょうらん)という江戸時代の絵巻ものですが、12メートルに渡る細長い紙に、日本橋界隈のなんと1690人もの町人が登場している日常風景を描いたものでした。
八百屋さん、魚屋さん、刃物やさん(木屋)、呉服屋さん(三越の前身)、花やさん(イケメンが売っていたそうです)、古着屋さんなどありとあらゆる商人の様子が描かれている貴重な資料でした。
江戸というのは、1700年代には100万人くらい人口があったそうですけれど、そのうち、武士が50万人、町人が50万人と、ほぼ同数くらいがいたそうです。ところが、その居住面積は4対1くらいの割合だったそうで、武士の住む地域のほうがずっと広くて、町人の住んでいるところはすごく人口密度が高かったそうです。
それで狭いところに住む町人たちには、「お互い様」や「思いやり」の精神が自然と身について、江戸しぐさというのが、生まれたそうです。
また江戸時代には日本の各地から商人がやってきて(特に伊勢、近江、小田原からの商人が多かったそうよ)、彼らが商売繁盛のためにいろいろな人間関係を生みだし、それも江戸しぐさとして広く伝わったそうです。
そんなふうに、江戸しぐさの講演はまずは歴史のお勉強から始まりました。
こちらは落語の「芝浜」の例にとってお話している講師の桐山勝さん。
徳川家康が幕府を開いたころは、江戸には3000人くらいの人しか住んでいなかったそうですけれど、1700年ころには大勢の人が住むようになり、川柳、浮世絵や狂歌、落語、落首(落書きみたいなもの)などの大衆文化も広まっていったそうです。
ちょうど今、「大江戸百華繚乱」という本を読んでいて、そこに当時のアイドルだったお仙さんやお藤さんの話が出てくるのですけれど、彼女たちは当時の浮世絵のモデルだったということが書いてあり、今回のお話もちょうど彼女たちの話がありました。
江戸がどんなふうに発展していったかというのも、興味がありましたね。
最初は中央区、千代田区あたりだけだったのが、だんだん拡張していき、今の山手線の内側や江東区のほうまで伸びていった様子は面白かったわ。
講演だけではなく、実演コーナーもありました。
こちらは「傘かしげ」といって、雨の降る日に狭い道ですれ違う時、傘をお互いに「ハ」の字の形にすると、滴がたれないで、嫌な気分にならないというしぐさ。
他にも江戸時代の知恵として
・肩引き・・・道をすれ違う時には、右肩を引くようにして通る
・こぶし腰浮かせ・・・座席に座るときはこぶしを腰の間に入れて座る
・うかつ謝り・・・悪いこと(足を踏んでしまったとか)したときには、被害者のほうから先に謝ること
などを教えていただきました。
江戸しぐさから見た「イキな人、野暮な人」という分け方もあって面白かったわ。
だめで元々、即実行する実践主義の人は、イキなんだそうです。
何でもかんでも細かく指示を出す人は野暮な人だそうです。
失敗しても次のステップにするのはイキな人、忙しがっているのは野暮な人だそうです。
こういう分類って、今の時代にも通用しますよね。
私も江戸しぐさを学んで、粋な人間になりたいな、と思いましたよ。
10 件のコメント:
なかなか素敵なお話ですね。本当に今でも通用するというか・・必要なものでもありますよね。
東京のすぱーパーの店員さんのカートをぶつけられて・・どいて下さいといわれてビックリしたあと、静岡に行ったら、私の方がぶつかったのに向こうの方が「すみません!」何度もありました。粋なのね。大事なことですよね。
トントン、静岡のスーパーの店員さん、なかなかイキじゃないですか。さすが家康の地元かな?
講師の先生もおっしゃっていたけれど、満員電車の中で足を踏まれたら、まず自分のほうから謝っちゃうといいんだって。だって自分だっていつ、他人の足を踏むか分からないものね。それこそ、お互い様、の精神ですよね。
昨夜、テレビで「江戸しぐさ」の話題が。
狭い江戸で仲良く暮らすには、お互いが譲り合わないと生活できない。この傘の八の字にするのも狭い道路で気持ちよく過ごす知恵だったとか。要は「思いやりの心」だと
解説していました。
としちゃんの記事のほうがわかりやすくて
その気にさせるわ。
粋に生きられるように等実践しなくちゃ。
としちゃんは十分粋に生きているわ。
この公演面白そうだね。
聞きに行きたかったですよ。
こういう公演は東京でなければ無いよね。
今、江戸下町が舞台の大衆時代小説に凝って読んでいます。
江戸言葉や人情、思いやりがなんとも新鮮なのです。
それに「江戸しぐさ」か・・・面白そう!
真蘭さん、あら、テレビでも江戸しぐさをやっていたんですか。気付かなかったわ。
講師の先生は元新聞記者をされていたそうで、お話がとても上手だったので、私はそのお話をまとめただけなのよ。
私が思うに、江戸って日本各地からいろんな人が集まってきたでしょ。それで習慣も違う人がうまくやっていくには、形から入っていくという方法が便利だったのではないか、と。
それにしてもラッシュアワーのときなど、ほんと、自分勝手な人が多くて、疲れますよね。
諏訪ッチさん、こんにちは。時代小説は面白いでしょ。いろんな地名が出てきたりして、その点、東京に住んでいると身近に感じるわね。
講師のお話では、山本一力さんの小説が江戸しぐさに関しては面白いそうですよ。
それとね、江戸というのは、ECOにも通じていて、リサイクルも進んでいたらしいわ。
江戸はほんと、面白いですよね。
そうそう、江戸は循環社会だったそうですね。ヘンな話、「肥え」もムダなく使ったそうです。究極のエコ社会。同時に、思いやりの社会でもあったわけね。
電車の中で、いきなり座席にドスンと座る人がとっても苦手。私のコートの裾をお尻の下に敷いても平気なんだもの(涙)江戸しぐさを学んで欲しいわ。
マサさん、そうなのよ、先生のお話にもあったけれど、昔は着物は古くなっても浴衣にしたり、おむつにしたり、焼いた後の灰は洗剤やあく取り、染料にも使っていたそうですよ。
電車の中のマナーは、ほんと最近はひどいわよね。私は隣に座った女性が眠ってしまい、長い髪がこちらにかかってくると、気持ち悪くて仕方ないの。なんとかしてほしいわ。
マナーなんだけど10日の夜の夜行バスの中、電気も消され就寝中だのに隣のやばそうなお姉さん二人がひそひそ話が2時まで。
もう何度注意しようかと思ったけど逆切れしそうなタイプだったから止めた。
昨日の新幹線、隣のおじさん、夢の中で何を勘違いしたのか私の肩にドーンと自分のひじを乗せたの!
ビックリしたわよ~
お陰で両方共に睡眠不足になっちゃった。
粋な江戸しぐさを学んでほしいわ(苦笑)
いやそれ以前の問題かな?
さとさん、スキーお疲れ様でした。深夜バスの中でおしゃべりするなんてひどいわね。寝不足になったでしょ。
新幹線のおじさんは、さとさんの肩になだれかけたかったんじゃないのかしら?
ほんと、相手のことを思いやらない人が多いですよね。私は電車の中で、隣に長い髪のお姉さんが座ると、ぞーっとするの。髪の毛が触れるといやなのよね。
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