2015年7月12日日曜日

「美術館建築を楽しむ 7」

先日の「美術館建築を楽しむ 7」は、最後の座学となりました。

講義はいつもと違う教室で行われ、また雨降りのため洋服(ジーパン)で参加したのですが、教室の冷房がきつくて、大変でした。
おかげで午後の睡眠には陥らなくてすみましたが、洋服だと本当に寒く感じますね。

今回は都内にある美術館の紹介でした。
タイトルは「大規模化する美術館 重要文化財建物を利用した美術館」でした。


どこも私も行ったことのあるところでしたので、講師のお話がよく分かりました。

1.江戸東京博物館


菊竹 清訓 設計(1993年)
両国駅近くにある博物館です。

ここはばかばかしいほどの高さのある博物館ですが、それには理由があるそうです。
それは建物の高さ(約60m)は、江戸城の天守閣の高さと同じにしたということだそうです。
3階にある江戸東京広場は2500坪ほどあるそうで、それは防災のためにもそれだけの広さをとったのだとか。
5階は大きな日本橋を境にして、左側が江戸ゾーン、右側が東京ゾーンになっています。

この建物の建築家菊竹さんは、昔から太い柱を支えにして下から持ち上げるような形式の建物をいろいろと建てていた方でした。
また福岡にあるの巨大な九州国立博物館もこの方の作品だそうで、ドーンと大きなものを建てるのがお好きだったのでしょうね。


また沖縄海洋博のアクアポリスもこの方の設計だそうです。
他にも、銀座のテアトルビル、上野のホテルソフィアなどいろいろ手がけていらっしゃいましたが、どこも経年後の手入れが大変だったとか。
そういう建物は維持管理にお金がかかり、それは今、問題となっている国立競技場にも同じことが言えそうですね。

また菊竹さんはデザインの三段階という理論を建てたそうで、それは
「か」
「かた」
「かたち」
と変化する理論だったそうです。
この辺りのお話は、ちょっとよく分かりませんでしたが。

2.東京国立近代美術館工芸館



谷口 吉郎(陸軍技師) 設計。
この方は金沢出身。
1910(明治43年)年 竣工。

竹橋駅のすぐ近くに近代工芸館がありますが、ここはその分館です。
かつては陸軍の建物でしたが、それを内部からコンクリートで補強してあります。


この建物は、1972年に重要文化財として指定されました。
その後、保存活用工事が行われ、建物の外側はそのまま残し、内部に鉄筋コンクリートを張り合わせてあるそうです。

谷口さんという方は、大きな六角形の照明を天井に取り付けるのがお好きだったのか、ホテルオークラにも同じような照明があるそうです。

近くには丸の内公園もあり、お散歩にも最適です。
私は好きな美術館です。
ここんは和室もあるということは、知りませんでした。

3.東京ステーションギャラリー


辰野 金吾 設計 1914年(大正3年)竣工

ここは東京駅丸の内北口に直結しているギャラリーです。
当時のレンガが内部に使われています。


この建物を復元するにあたって、一番力を入れたのは、免震技術でした。
建物のあちこちに免震ゴムが入っているそうです。
使用しながら工事を進めるというので、とても大変だったそうです。

こちらは、丸の内改札から見た天井ですが、ギャラリーはこの周囲にあります。


ここのステーションカフェでは、創建当時のレンガが見られます。
またお土産コーナーでは、ここでしか買えないいろいろな鉄道グッズが売られています。

こうやって見てみると、昔の建物を再利用した美術館は素敵ですね。
ドーンと迫力のある大きな美術館は、その時は度肝を抜かす効果はあるとは思いますが、いつかは負の遺産になるでしょう。

建築物は、古いものと同じものは建てられないと思います。
大切に使っていきたいですね。

次回は、江戸東京博物館の実踏となります。


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