さて、
本場のタンゴに度肝を抜かれた後は、
カヒミ・カリイさんという人が登場しました。
ハーフの方で、歌手の方だそうです。
「遊びが開く創造性の扉」という詩を朗読しましたが、とてもソフトなお声の持ち主で、ゆったりとした気分になりました。

(写真はカヒミ・カリイさんのブログから拝借しました)
そしてお次は場所を移して香水作りの時間です。
タンゴに香水、いったい、このイベント、何だと思います?

実は
「創造する脳 未来からの時空を遊ぶ」というフォーラムだったのです。
主催したのは、某眼鏡メーカーが母体となった、ある団体。脳科学の創造的な研究をする人のスポンサーというか、パトロンのような立場なの。ちなみに眼鏡(視覚)と脳科学というのは、かなり密接な関係にあるのです。
そこの社長さんはユニークな方で、ご自分がアルゼンチンに旅したとき、そこでタンゴに出会ってその素晴らしさに感激し、それを脳科学の研究者たちにも伝えたい、というのでこういうイベントを考え付いたようですよ。
ちなみに、昨年のフォーラムでは、能楽堂でお能の鑑賞があったらしいわ。
自由で創造的な研究をするためには「大人にも遊びが必要だ」ということで、いろんな遊びの要素を詰めたみたいですね。男女の愛の出会いをダンスという形に表現したタンゴを楽しんでもらい、またいろんなイベントがある科学技術館で、子供向けのワークショップに参加してもらい、大いに遊んでもらおうということで企画されたのではないかな、と勝手に思いました。
ということで、科学技術館に集まった脳科学者たちが、本来は小学生向きの「香水作り」や「ブーメラン作り」などの企画を実際に体験したり、プラネタリウムで星雲を眺めたりというイベントに参加したのです。
私は仕事柄、こういう脳科学関係のシンポジウムなどの情報が入ってくるので、それで参加したのですけれど、今回は難しい話はなかったので、楽しかったわ。
こちらは香水作りの様子。
白衣を着た理科の先生のような人が、香りのことをレクチャーしているところ。

私は昨年、アロマテラピーの教室に通っていたので、香水作りはお手のものよ。

ここでは、使う香料もアップル、レモン、ストロベリーという分かりやすい表示になっているし、ベースになる香料も「クラシックタイプ」「モダンタイプ」と2分してあるので、初心者でも作れます。それでもふだんは香水など手にしない脳科学研究者のおじさまたちは、四苦八苦していましたね。

私はムスクっぽい香りをベースにして、ミドル・ノートにはフローラルの香りを加え、最後にトップ・ノートに少しレモンを垂らして、なかなかいい香りになりました。それを小さな瓶に詰めて、お持ち帰り。お土産があるのって嬉しいですよね。
こちらはブーメラン作り。おちゃめな若い女性の先生でした。

細長い紙、3枚をこのように切り込みを入れて、重ねて挟み込み、そしてちょっとひねりを加えるのです。

教室でみんなで飛ばしっこをしているところ。名誉教授と呼ばれる方も、みなさん、童心に返っていましたね。

こういうワークショップ体験の楽しさというのは、いつまでも忘れないでしょうね。

その後は、プラネタリウムでは3D眼鏡をかけて星雲を見たのですが、宇宙の広大さにうっとりしました。
他にも子供の喜びそうな装置のあるところで、自由に遊んで過ごしました。
その後は脳科学の先生が「人間はホモ・ルーデンス(遊ぶ人)である」ということをご自身の研究からいろいろとお話しされて、遊ぶということが大切だと力説されていました。

そしてこのフォーラムのメインである、研究助成金の表彰式がありました。
授賞式の進行は、遊び大好きという楽しい先生で、「創造する脳」というテーマには最適の方でした。
そしてこの団体から一人100万円ずつの賞金をもらった人が、喜びの言葉を語ったのですが、みなさん、ユニークな研究ですよ。
どんな研究なのか、簡単に書いてみると、
「思いつく瞬間、シナプスで何が起こるのか」
「美しさを感じる、と美しく創るとの違いは何か」
「乳幼児からの創造性を探る」
「社会性の異なる人々の神経メカニズムを明らかにする」
「心の分子機構への計算理論的アプローチ」
うーん、何が何だかよく分からないのもありますけれど、人間が感動したりするとき、脳の中でどんな変化が起こるのかというのを追求してみたい、という素朴な疑問の解明のために、みなさんあれこれと考えているんですね。つまり、感動する心とはいったい何か、ということを突き詰めるための研究なのでしょうか。
自分にとって遊びとは何か、ということを知るのが大切なのかもしれませんね。

今の私にとっての遊びは、三味線や着物を中心とした江戸時代の文化かしら。
それに読書と映画。これさえあれば、当分ひとりで楽しく遊んでいられます。
写真は科学技術館の近くで咲いていたレンギョウと椿。
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科学技術館ではいろいろなイベントをしていますので、入館料さえ払えば、どなたでも参加できますよ。