先日まで、瀬戸内晴美と永井路子という私の大先輩二人が書いた、日野富子に関する本を読んでいました。
どちらも上下巻に分かれている長編小説です。
瀬戸内さんの方の本は、「幻花」です。1979年に発行されたそうです。
永井さんの方の本は、「銀の館」でこちらは1983年の発行。
二人ともそれまであった日野富子像(やりての女政治家)というイメージを覆すストーリーを展開していて、本当に面白い歴史小説でした。
私は日野富子と聞いても、単に足利将軍の奥さんであるということくらいしか認識がありませんでしたし、「応仁の乱」と聞いても、「1467年から勃発した細川勝元と山名宗全の戦い」というくらいしか知りませんでした。
でも二人の小説を読んで、(もちろん、それは小説なので、空想上の人物も登場しているし、作り物なのはわかっていましたが)室町時代と言うのがいかにいい加減な時代で、政治は腐敗していて、庶民は苦しんでいたのかが分かりました。
でもそんな時代にあっても、八代将軍というのは、あの銀閣寺を建てることに夢中になり、そして現代に生きる私たちは銀閣寺を見るたびに、「わびとさびの象徴」であるかのようにあがめたてまつっているんですよね。その陰でどれだけの庶民が苦しんでいたか、ということは分かりませんね。
この足利義政という人は、文化人かもしれませんけれど、何も自分では決断できない無気力な将軍だったようで、庭造りだけが趣味だったようです。こんなおぼっちゃま将軍、どうしようもないですよね。
おまけに青年時代は年上のお局様の愛欲に浸ってしまい、かなり淫乱な生活を送っていたようです。
そんなぼんくら将軍がいたころ、京の町は疫病や火災、盗賊、一揆などの発生が頻発していたそうで、町のあちこちには息絶えた死体がごろごろしていたそうです。
そういう室町時代において、日野富子という女性は権力側にありながら、一人の子どもを溺愛する母親として一心不乱になっていくようです。
二人の小説の面白いところは、瀬戸内さんの方は「実は日野富子は双子のうちの一人だった」という想定で、その双子の方割れを登場させています。
また永井さんの小説には、日野富子とはまるで逆の立場である河原に住むような庶民代表の女性を登場させています。
そしてこの女性と日野富子の話を交互に描きながら、ストーリーを展開させていますが、世阿弥なども登場して、とても面白い本でした。
それにね、京都の素敵なお寺である相国寺は、三代将軍義満が建てたお寺だったそうで、ふーん、そうだったのね。
でも応仁の乱のあたりはいろんな人が登場して、頭がこんがらがりました。
お家騒動が元とはいえ、いろんな人が敵味方に分かれ、ややこしくて仕方ありませんでした。
そういう分かりにくさがあるので、この時代はあまり人気がないのかもしれませんね。
それにしても歴史小説を書く人って、ほんとに上手ですよね。見て来たようなことを書き、聞いていたような台詞を書けるのですから、どれだけ想像力があるのでしょう。
本当に尊敬してしまいます。
2 件のコメント:
こんばんは。
歴史にお強いんですね。
ジイは単純だから 頭が痛くなりました^^。
痛くなりついでに 銀閣の由来を調べたら、
①銀を貼る予定が 当時の財政事情で出来なかった。
②建てる前に 義政が他界したから。
③外壁の漆が光の加減で銀色に輝いてみえたから。
等など 色々な説がありました。
これ 正解はどれやろうね。
ハッセルぶらっとさん、こんにちは。
ほんと、室町時代と言うのは分かりにくいですよね。親子や兄弟や夫婦の間でも争ったりしています。でもこれって現代に通じるものがあるかもね。
銀閣寺と言う名前は、江戸時代になって校正の人が勝手に付けたなまえのようで、ほんとは慈照寺というそうですよ。
義政と言う人、政治的には無力だったのですけれど、お庭作りだけには精力を傾けていたようですね。名前の由来はどれが正しいのかしら?
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