「おんなの戦(いくさ)」は、歴史小説・時代小説の大家であるそうそうたるメンバーがそれぞれの思いを込めて、お市の方、淀君、お江与さま、寧々さま、千姫などを主人公として書いた短編小説集です。
著者は、永井路子
南條範夫
新田次郎
井上友一郎
司馬遼太郎
澤田ふじ子 の皆さま。
帯には「歴史・時代アンソロジー」と書いてありましたが、アンソロジーというのは異なる作家による詩や小説をある基準に従って集めたもの、だそうです。
といういことでこの本は、安土桃山から江戸時代初期という日本史の激動の時代に生きた女性たちを主人公とした小説集ということになりますね。
登場するのはおなじみの女性たちばかりですが、みな、お家のためにお嫁に行かされたり、別離をしいられたりという体験をしています。
今の時代の女性にはちょっと考えられない立場なのですが、たとえ政略結婚をさせられても、それでも彼女たちは自分が置かれた立場の中では最大限に振る舞って、けなげに生きていました。
特に「結婚したら婚家を第一と考え、実家のことは忘れる」というのは見事な生き方だと思いました。
結婚してもなんでも実家に頼ってしまうことの多い今のお嫁さんには「えー、そんなの無理」といわれるようなことでも涙を飲んでいたことが多かったのでした。
婚家のため、というのは、つまりは「お家(いえ)のため」ということですね。
武士にとってはこれが一番大切であったのですから、女性も家のために、子供をどんどん産むことが一番の役目だったわけです。
その点でいえば、8人の子供をじゃんじゃんと生んだお江与さんというのは、当時では最高の賞賛を得ていたのではないでしょうか。
なにしろ、徳川家15代将軍のうち、正室の子供が次の将軍になったというのは、三代の家光だけなのですから。
とはいえ、この本を読んでいても、NHKテレビの影響か、どうも宮沢りえとか上野樹理の姿がちらついてしまうのは考えものですね。
私の記憶の中では、太地喜和子さんの淀君が一番いろっぽくてよかったと思っています。
あのころのお話は大好きなのですが、昨年は大河ドラマで三姉妹をやっていたので、本を手にするのはちょっと恥ずかしかったので、今頃になってせっせとあのころの時代小説を読み漁っています。
学校で習う歴史は男性ばかり登場しますが、影で歴史を動かしていた女性の存在も忘れてはなりませんね。
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