少し遅れた話題ですが、11月1日は「古典の日」と定められているそうです。
その日にちなみ、古典文学と邦楽のコラボ演奏会がありました。
会場は文京シビックホールというところで、ここは文京区役所の中にあります。区役所といってもものすごく立派で 最上階には展望室もあるという建物です。
(写真はウィキペディアより拝借しました)
小ホールはその2階にありました。
「邦楽へのいざない~古典文学の情景~」という演奏会でした。
日本の長い歴史の中で、古典文学にゆかりのある邦楽作品が、第一線で活躍している邦楽演奏家により演奏されました。
会場には、和楽器に触れてみるコーナーもありました。
琴、三味線、鼓が置かれていて、演奏会の前に、みなさんが熱心に体験をしていました。
こんな感じで、プロの方が鼓の持ち方や叩き方を教えていました。
こちらは外国人の方がお琴に挑戦していました。
演奏の前には、歌人の馬場あき子さんが「古典のひびき」というお話をされました。
とても気さくな感じの方で、内容豊富なお話で面白かったですね。
馬場さんは学校の先生を長く務められたそうですが、能にも造詣が深い方で、数々の受賞もされていらっしゃいます。
ちょうど戦争中に青春時代を過ごしたそうで、そういう日々に和楽器の音色に癒されたそうです。
今年は世阿弥の生誕650年に当たるそうで、彼の名言「秘すれば花」という言葉がお好きのようでした。
灰色の素敵な訪問着をお召になっていましたが、ずっとすくっと立ってお話をされていたので、せめて演台でもあればと思いましたね。
さて演奏会の曲目は、まずは「源氏物語」の初音の巻にちなみ、山田流による「初音曲」。
初音の巻というのは、光源氏が36歳(多分そうだったと記憶していますが)のお正月に、六条院という壮大で極楽浄土のようなお屋敷に、愛した女性たちを集めて、そこで女性だけの演奏会を開くというお話です。
紫の上はお琴、明石の君は琵琶・・・・というような素敵な演奏会だったのですが、若い女性の演奏家がその場面を歌いながら箏を演奏していました。
2曲目は常磐津の「大森彦七」。
これは「太平記」にあるちょっと怖いお話ですが、浄瑠璃の豪快かつ繊細な歌と演奏でした。このような常磐津を「活歴物」というそうです。これは三味線3丁、浄瑠璃3人の男性ばかりでした。立て三味線の人の迫力がすごかったですね。
休憩の後は筑前琵琶による「那須與市」。
私は薩摩琵琶は聞いたことがありますが、筑前琵琶はもっと優しい感じでしたね。
若く美しい女性の演奏でしたが、低く太いお声も出ていて、感激しました。
琵琶という楽器は棹の先が直角に折れている、ということも新発見でした。
誰でも知っている扇に弓矢を射るという那須與市のお話ですが、情景が浮かぶような演奏でした。
最後は私が期待していた長唄の「紀州道成寺」です。
道成寺という曲はいろいろ種類があるのですが、これは1860年に五世杵屋三郎助という人が作曲をして、南部藩主が作詞して、白金の南部藩のお屋敷で演奏されたのが初めだそうです。
これは30分くらいの長い演奏なのですが、ところどころに能の要素が含まれていて、格調が高い曲でした。女性の唄3人、三味線3丁に、お囃子という構成でした。
素晴らしい演奏でした。
とても満足できた演奏会でした。
この演奏会は「東京発・伝統WA感動」▼というプロジェクトの一環なので、東京都が主催しているために、とても料金が安いのです。
私は前から2列目という席でしたが、2000円でした。
こういうプログラムは大いに利用しないともったいないですね。
細かいことですが、文京シビックホールでは緞帳の下げ方をちゃんと理解しているようでした。
前に府中のふるさとホールで聞いた時は、最後の「チャン」という音が終わる前に緞帳が下がってきていて、ちょっと不満でした。やはりよい曲は最後まで聞きたいですものね。
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この日の装い。
私にしては珍しくぼかしの無地の着物です。
作家ものらしく、おくみに名前が入っているのですが、達筆すぎてどなたのか分かりません。
味の素スタジアムの骨董市で破格の安値で買いました。値段を間違えているのかと思ったくらい安かった着物です。
色が春向きなので、柿色の帯で少し秋向きにしました。
こういうときは、やはり末広がりがあるといいですね。
着物があまり派手すぎるので、外出時には菊の模様の羽織を着用。
800円の羽織です。
それに自作の羽織紐をつけてみました。紐というよりもチェーンですが、ちょっと長いですね。
さすがに邦楽演奏会なので、着物で来場している方もたくさんいらっしゃいました。
私もちゃんとした着物(とはいえリサイクル品ですが)を着ていって、良かったと思いました。
ときどき場違いの着物(あるいは浴衣とか)で、格調の高い演奏会やお芝居にいらっしゃっている人を見かけますが、やはりいちおうTPOは身につけておいたほうがよいでしょうね。
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