有吉佐和子さんの本はほとんど読んでいたと思っていたのですけれど、「和宮様御留」はまだ読んでいませんでした。それで図書館から借りてきて、毎日、通勤途中と寝る前に少しずつ読みましたが、すごい本でした。
歴史的事実である皇妹和宮の降嫁を元にした小説ですけれど、この小説では和宮は京都御所から江戸城にお嫁入りに行く途中に、なんと2回も人の入れ違いがあったというのです。
最初は本物の和宮が江戸に行くことになっていたのですけれど、彼女は足が不自由でそれを周りに知られたくないがためか、「おいやいやさん」という状況になり、フキという庶民の女の子が身代わりで行くことになりました。
ところが宮中のことも何も知らない粗野な女の子ですから、言葉も態度もすべて一から勉強させられます。そしてその我慢がたまってしまい、旅の途中に皇女であることに対して発狂して死んでしまうのです。
それで旅の途中の中山道の板橋あたりで、今度は武士階級のこざっぱりとした娘の宇多絵が身代わりになるのですが、彼女は礼儀作法や雰囲気は備わっていたのですけれど、実は左手首がなくて、それを見つからないようにするのに大変であったが、なんとか江戸城に着き、家茂将軍と結婚したというストーリーです。
ちなみに「御留」というのは、覚書というか、備忘録というかそんな意味です。
この小説には御所言葉を使う女官たちや、大奥の女性たちがたくさん登場してきて、足の引っ張り合いや、京と江戸のアクドイいじめなども、ねっちりと書かれています。
和宮にしてもフキにしても宇多絵にしても、歴史に翻弄された女たちですね。
現代の人間ならどうして「いや」と言えなかったのかと思いますけれど、女性なんて政争の道具だったのでしょう。
「和宮様御留」は有吉さんが47歳の時の作品だそうですけれど、彼女はこの後、53歳で亡くなっているのです。
たしか美空ひばりが亡くなったのは52歳だったと思いましたけれど、その頃の私にしてみれば、50歳すぎた人はもうおばあさんだと思っていたのに、自分がその年を越してみると、まだまだお若い時に亡くなったのですね。
才能のある人は若死にをするのでしょうか。
2 件のコメント:
かなり衝撃的な内容ですね。これって、もちろん、フィクションでしょ?
有吉さん、53歳で亡くなっているんですか。それほど若くして亡くなったとは思わなかったわ。きっと、当時の自分が、その歳よりはるかに若かったからでしょうね。
才媛という印象でしたが、テレビのバラエティー番組に出たり、ひょうきんな一面も持ち合わせていましたね。
美空ひばりや裕次郎の亡くなった歳を、私たちは越えてしまいました。
マサさん、この小説ね、フィクションとはいえ、かなり事実に近いところもあるらしいのよ。実際に和宮の写真を見ると左手はいつも袖の中に隠されていて見えないし・・・。
そういえば森瑤子さんも亡くなったのは52歳だったはずよ。
みんなもっと活躍してもらいたかったわね。
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