グループホームで暮らしている母のところに行きました。
あいにくと母は入浴時間だったので、その間、私は母の部屋で待っていました。
部屋のベッドに、半紙のようなものが置いてありました。
くるくると巻いてある紙を広げてみると、鉛筆で文字が書いてありました。
一枚は「平家物語」よりとありました。
祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあわはす
おごれる人も久しからず
唯春の夜の夢のごとし
もう一枚は「釈迦の言葉」とありました。
まず、自分を正しく整えてから
他人に指摘しなさい。
そして他人に指摘したことは
自分も実行しなければなりません。
どちらも用紙には母の名前が書いてありました。
あまりにしっかりとした文字なのでびっくり!
私の下手な字よりも、よほど上手に書かれているので、感激しました。
お風呂から上がってきた母に、「これ、お母さんが書いたの?」と聞いても、「そうだったかな」と覚えていないような返事です。
ヘルパーさんに聞いたところ、ディケアーで教えてもらった時のものかもしれない、とのことでした。
さっき何を食べたかも忘れてしまっているような記憶喪失状態の人間でも、お習字の訓練をすれば、ちゃんと書けるということが分かりました。
認知症、と診断されていても、こんな難しい内容の文章を自分で書けるのは素晴らしいことだと思いました。海馬がまるでダメになっていても、難しい漢字の入った文章を書き写すことはできるのです。
「お母さん、上手ね」と言うと、まんざらでもなさそうに、笑っていました。
世間では認知症というと、暴力を振るったり、外出して行方不明になったりするような困った例がよく取り上げられますが、この施設にいる方は、母を含め、みなさんとても穏やかでにこやかに過ごしています。
あまり悪い印象ばかり植え付けるのは、良いことではありませんね。
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この日のホームのお昼ご飯です。
いつもおいしそうな手づくりです。
白身魚とオクラの煮つけ
レンコンの梅酢あえ
お味噌汁
マンゴー
ご飯
きちんと栄養を取って、お習字も練習して、体操もしっかりしていれば、長生きできるかもしれないわね。
ホームの方、ディケアのみなさん、ありがとうございます。
2 件のコメント:
まぁ、お母さま、素晴らしいではありませんか。私は、こんなに難しい漢字は書けないわ。
認知症の方は何もわからない、という発想は大間違いですよね。出来ることがいっぱいあるのだと、思います。
お昼ごはんも、ヘルシーで手が込んでいて美味しそうですね。家では、お昼ご飯は栄養価を考えて作ることは少ないもの。
マサさん、この文字は先生のお手本を見て写したものでしょうけれど、ディケアの先生もそういう教材を用意されるということは、素晴らしいわね。
他の方も毛筆のお習字などとてもお上手です。
私はパソコンばかりで、自筆の習慣がなくなり、ものすごく字が下手になりました。
昨夜の夕食は、こちらの献立からヒントをもらって、カレイとオクラの煮つけにしましたよ。
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