「坐漁の人」は、清水を舞台にした諸田玲子さんの短編小説集です。
清水というと、サッカーの清水エスパルスの町として知られていると思います。
私にとっては、ちびまるこちゃんの故郷というほうが分かりやすいですね。
2003年に静岡市と合併されて、今は清水市という地名はなく、静岡市清水区という住居表示になっています。
私の好きな作家・諸田玲子さんはその清水出身の方なので、清水には思い入れが深いのでしょう。
この「坐漁の人」はその清水にゆかりのある人物を取り上げた、短編時代小説集です。
三代将軍家光の時代に、江戸幕府転覆を企てた由比正雪、
幕末から明治にかけての任侠・清水次郎長の奥方のお蝶さん、
そして清水に「坐漁荘」という別荘を持っていた元老・西園寺公望などが、それぞれの主人公として登場します。
つまり江戸、明治、昭和までという時代は変わっても、舞台は共通して清水周辺のものばかりです。
どれも文章が素敵。
切なくて、それでいてピリッとしていて、そして色っぽい。
そんな諸田さんの魅力が凝結したような短編集でした。
清水は、子供がまだ小さい頃、三保の松原や日本平観光のついでに行ったことがありますが、もう一度、出かけてみたいところです。
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