知人が間違って同じ本を2冊買ってしまったというので、「ダ・ヴィンチの謎 ニュートンの奇跡」という新書を譲ってもらいました。
自分では多分、買わないだろう分野の本でしょうね。
新書の帯には「宗教と科学の歴史がこの一冊でわかる!」と銘打ってあり、「聖書の世界観、黄金比、そして万有引力の法則・・・」というちょっと難しそうな内容が書いてありました。
ぱらぱらとめくってみると、ピタゴラスの定理やイエス・キリスト、ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」、ガリレオの発見、近代科学の礎となったニュートン、そしてビッグ・バンからアインシュタイン・・・・というように西洋史を科学の世界から見ていろいろと問題提起をしてありました。
ふーむ、なかなか大変そうな本だな、と思って著者を見ると、なんと驚いたことにこの本の著者は三田誠広さんだったのです。
勝手に三田さんと呼ばせてもらいますけれど、同年代に近いということもあり、親近感を感じていた方でした。
三田さんは「僕って何?」で芥川賞を受賞して華々しいデビューをして、その後は青年の恋や悩みや人生をつづった本をたくさん著し、「いちご同盟」の中学生の淡い恋と悲しい終末には何度読んでも感激したものです。
当時の学生運動とは一歩離れたところに位置しながら、若者たちの生き方についての小説を書いていた方です。
また彼は若くして学生結婚をしましたが、子供が生まれてからは「すずめ台つれづれ日記」で家族のことを書いたり、犬の眼を通した「吾輩はハスキーである」なども書き、また父親として「父親学入門」も書き、ニューファミリーの騎手のような立場で本を書いていました。
その後、早稲田で作文を教える授業をしたり、三田さんは中高年になった団塊の世代の代表のようにして活動していました。
そしてある時からは歴史上の人物についての小説が多くなり、釈迦や空海や西行などを扱った本を書くようになり、私はそのころからは三田さんの本とはちょっと距離を置くようになりました。だってどの本もものすごく分厚くて重たかったんですもの。
その三田さんがですよ、なんと宗教と科学の世界も扱う本を書いているというので、本当にびっくりしました。
この本の裏には三田さんの顔写真がついていましたが、まさしく「僕って何?」を書いたあの三田さんのお年をめした姿が映っていました。
この「ダ・ヴィンチの謎 ニュートンの奇跡」は数年前に話題となった映画「ダヴィンチ・コード」の神秘主義に対して異を唱える立場から書いているようですけれど、数学や宇宙の話題もふんだんに出てきて、あの青春小説を書いていた人の本だとはどうしても思えないのです。
でも事実です。
人間って30年、あるいは40年の間に、こんなに興味の対象が変わるなんてすごいものだと感心しながら読んでいます。三田さんはそれだけ興味の幅が広がり、たくさん勉強した成果でしょう。
まぁ、自分自身を振り返ってみても、若かった時には和服とか邦楽、日舞などという日本的なものなどまるで興味がなかったのに、今はそういう世界にどっぷりと浸かっているのですから、人様のことは言えませんけどね。
人間って変わるものなんだな、とこの本を手にして思いました。
8 件のコメント:
なつかしい名前ですね。
最近聞かないと思っていましたが・・
としちゃんは源氏はライフワークかと思いますが
最近は三味線、着物、日舞とぐっと日本趣味に傾いていますね。
私は代わり映えしないけど、こんなに鳥や花の名前覚えるとは思わなかった・・
核があってどんどん発展していくのは
いいですよね。
父は若い頃はカトリックを信じていましたが
晩年は仏教の本をずいぶん読んでいました。
これから私はどんな展開するのかな?変化を求めるのは老化と相対するみたいです。昔「8月の鯨」という映画を見て思いました。
直近で読んだ三田さんの本は、「犬との別れ」かな。直近といっても、何年も前だけど。
愛犬と著者の日常を綴った、特段どうってことのない話(失礼)でした。
だいぶ前に読売新聞の夕刊に連載された「恋する家族」は、けっこう熱心に読んでいましたね。どんな話だったかはよく覚えていないのだけど、「三田さんって、こんな小説も書くんだ」って思ったものです。
最近の本は、私にはちょっととっつきにくいです。
そういえば、文学座(?民芸?)の三田和代さんは、お姉さんですよね。
カンカンの写真はほんと鳥が多くなりましたね。もうずいぶんたくさんの鳥の名前を覚えたでしょう。鳥を追ってあちこちに出かけるのもいいわね。
そうか、変化を求めるのは老化と対応しているわけ? 自分の老化を認めたくないのかな。
マサさん、私も「恋する家族」を読んだ記憶はあるのだけど、今となってはタイトルしか覚えていないわ。どんなストーリーだったかしらね?
そうそう、三田和代さんは実のお姉さんですね。彼はコピーのMITAの社長の息子ですよ。
これからまたどんな本を書いていくのでしょうね。
三田和代は劇団四季にいて
松橋登が抜擢されたドストエフスキーの「白痴」
の相手役でした。
ミーハーな私は学生時代でしたが
当時は日生劇場でやっていて見に行きました。
コピーのmitaとは知りませんでした。
同世代人としては気になる存在ではあります。
そういえば、カンカンは松橋登が好きだったわね。彼は今でも俳優をしているの?
コピー会社の方は三田さんのお兄さんが継いでいるとかのようですよ。
それがね、今は俳優かどうか
知らないけれど・・
もう20年くらい前に私の亡くなった祖父の役をやったのよ。
雰囲気は似てる・・
田辺聖子のたしか「台所の神様」というのに杉田久女が憧れる役として・・
祖母が亡くなったとき久女がきていろいろなものを
棺に入れてあげたそう・・
のちに松本清張からも話を聞きたいと
言われたけれど断ったとか聞いたことがあります。
ふーむ、あの松橋登さんがカンカンのおじい様の役をやったの? へー、すごいな。
貴公子のような感じの人でしたよね。
おじい様はなかなかの方だったのね。
ハンサムな写真をみせていただきましたよね。
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