雪模様の先日、市の図書館の行事で林望さんの講演会に行ってきました。
林さんはご存知の方も多いと思いますが、慶応義塾大学の先生であり、そして多くのエッセイや古典の現代語訳をされている方です。今は源氏物語の現代語訳をされていらっしゃいます。
私は大昔、林さんの「イギリスはおいしい」を読んでからのファンです。
林さんはお姿も素敵でダンディな方ですが、声楽を学ばれたというお声もとてもソフトな方でした。
講演会のテーマは「日本の古典文学はこんなに面白い!」。
まずは万葉集や新古今集などの和歌を訳して、そして説明をしました。
林さんのお話の中で共感できたことは、四季のある日本の素晴らしさでした。
例えば日本人なら、誰でも「花」といえば「桜」を思い出して、そのはかなさを感じ取ることができるし、また「紅葉」と聞くだけで、山々が赤く燃える様子を想像することができるということでした。
これが砂漠の国や、熱帯の国の人だと、こういう細かい感情はいくら説明しても分からないでしょうね。
林さんはそういうことを「日本人として生まれた幸せ」とおっしゃっていましたが、私もそう思いました。
また奈良時代や平安時代の人々が感じた気持ちを、和歌を通して、現代に生きる私たちが共有できるのはこれも幸せなことですね。
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次は「枕草子」の訳と説明。
清少納言のこの随筆は多くの古典の教科書に載っていますが、教科書の枕草子は特に面白いものではありませんね。なんだか嫌味な女房の愚痴みたいで。
ところが林さんが説明したのは、すごく面白かったですね。
今回の段は、女性のところにやってきて、コトを済ましてその翌朝に退出していく男性の姿を描いたものでした。
こういう男があらまほしい姿・・・・と書いてありましたが、つまりさっさと帰ってしまうのではなく、余情を残しながら、いつまでもなごんでいる男が理想なんだとか。
こういう枕草子だったら面白いのですが、でも授業で取り上げるのはちょっと問題かもね。
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次は「源氏物語」でした。
実は林さんはラジオでディスクジョッキーをされているそうですが、AKB48がゲストに来た時、彼女たちはなんと源氏物語を知らなかったそうです。「歴史の時間に聞いたことはある・・・」という程度なんだとか。それってなんだか淋しいですね。
今回の説明は「夕顔」の巻の中で、明け方に帰って行く男のことを説明していましたが、枕草子と同様、こういう話は女性には、いろんな男のことを思い出したりすると、とくに面白いですね。
林さんに言わせると、日本の文学と言うのは、ほとんどが恋の文学なんだそうです。
日本人は昔から恋愛に対してはオープンで、高貴な人もそうでない人も、みんな楽しんでいたとのことでした。
林さんのお話、ほんとに面白かったですよ。
きっとカルチャーセンターなどで聴いたら受講料が数千円かかると思うのですが、市の主催だったので無料でラッキーでした。
私はこうやって高い市民税を取り戻しているのです。
この日は雨もしとしと降っていたので、さすがに着物は止めました。
2 件のコメント:
おぉ、行きましたか!
私も「イギリスはおいしい」以来のファンで、この講演会気になっていました。
でも、いかんせん、ばたばた生活で、今聞きに行っても寝てしまうと思って、あきらめました。
としちゃんのブログで内容が少しわかって、嬉しかったです。
紅蓮さん、お帰りなさい。
スキーを大いに楽しんできたようでよかったですね。
紅蓮さんもリンボウ先生のファンですか。
あの先生の授業を受けた学生は幸せだと思いますよ。
とても面白くて笑い転げていたので、眠る暇もありませんでした。
それにしても「愛とぴあ」は高年齢層ばかりで驚きました。
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