世田谷文学館で開催されている「幸田文展」▼に行ってきました。
ご一緒したのは世田谷在住の真蘭さん。
ちょうどチケットを2枚お持ちだったので、ありがたく利用させていただきました。
幸田文さんといえば、かの明治の文豪・幸田露伴のお嬢さんですが、明治37年に向島でお生まれになりました。
その後、生活全般を父親に厳しく育てられ、酒屋さんと結婚しますが、長女(青木玉さん)を産んでからご主人とは離婚。その後、いろいろな人生経験を積み、40歳を過ぎてから文学の道を生きてきた方です。
私は幸田さんの小説は2・3冊しか読んだことがなく、どちらかというと小説よりも、「着物の幸田さん」というイメージが強かったですね。文さんご本人だけでなく、娘の玉さん、孫の奈緒さんと3代に渡り、着物を愛していらっしゃる家族のリーダーという印象が強い方でした。
展示会場には露伴の着物をはじめ、文さんの婚礼衣装など、幸田さん一家が愛した着物が展示してありました。
大正や昭和の着物でしょうが、どれもモダンで、また帯との組み合わせがなんともいえずかっこよかったですね。
地味な茶色の黄八条に、黒地に菊を刺繍した帯
雨のような細い深緑の縦じま模様に、紫色に蘭の花の帯
真っ黒な着物に、赤や青のカラフルな格子柄の帯
奇をてらうような組み合わせではなく、オーソドックスだけれども遊び心もあるような、どれもとても参考になる組み合わせでした。
亡くなる前にお買い求めになった反物(浴衣用が多かったです)が10反ほど残ったままになっているのが、なんとも残念に思いました。
展示品には直筆の原稿用紙もありました。
特に流麗な達筆という訳ではなく、さらさらと書かれた文字に見えました、ほとばしるような文章の流れを感じました。
また意外だったのは、幸田さんの中年以降の活動ぶりです。
一つは奈良の法輪寺という三重塔の再建に尽力したことでした。
またもう一つは、富士山の大沢崩れに注目をして、70歳を過ぎてから日本各地の地崩れの現場や植林地を取材したことです。すごいパワーの持ち主だったのですね。
芸術院会員になったときなどの映像も残っていて、お声も聞けるようになっていますが、可愛らしい喋り方をした方でした。
86歳でお亡くなりになるのですが、とても充実した人生を過ごされたということが、そのお顔からも読みとれました。
というのも若いころもそれなりにきれいな方でしたが、お年を召されてからのお顔はほんとうに美しく、「おばあさん」などと気軽に呼べないほど、凛としていましたね。
もう少し、幸田さんの本を読んでみようという気持ちになりました。
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1階では「旅についての断章」というコレクションもしていて、昭和の初めごろの文学者の旅スタイルが垣間見られ、好奇心が湧いてきました。寅さんが持っていたような革のトランクなども展示されていました。
昔の人の洋行は、必死の覚悟で出かけたのだろうと、現代の便利な世の中と比較してしまいました。
世田谷文学館は元はどなたかのお屋敷だったのでしょうか。とても素敵なお庭が眺められます。
堀には大きな鯉がたくさん泳いでいました。
幸田文展を見た後は、真蘭さんと館内のカフェでおしゃべり。
浅草満願堂▼の大きなどら焼きをいただきました。
私より少しお姉さまの人生談義は、とても参考になりますね。
入口で真蘭さんに写していただきました。目をつぶっているかな?
この日の装い。
幸田さんにはきっちりとした紬が合いそうだと勝手に判断して、藍色の紬にしました。
うたどんさんのお母様からのいただきものです。厚手の生地なので、着ていて暖かかったです。
でも幸田さんの着物を拝見していたら、柔らかものの縞の着物のほうが、合ったかもしれないと思い直しました。
帯は立川の五箇谷▼というリサイクル着物屋さんで買ったもの。店員さんに「どの着物にも合うように」とお願いしたら、これを選んでくれました。
裏がないざっくり系の帯なので、気軽に締められます。
総絞りの羽織は向ケ丘遊園近くのリサイクル着物屋さんで買った、500円という超安値。
ちょいと丈が短いのですが、でも暖かいですよ。
4 件のコメント:
幸田文さんの作品は読んだことがないのですが、凛とした気丈な女性というイメージです。
酒屋さんと結婚したというのは意外ですが、40歳を過ぎて文学の道を歩み始めたのは、やはり血筋でしょうか。
世田谷文学館というのは、どこにあるのでしょう。美術館とは違う場所ですよね。
マサさん、世田谷文学館は芦花公園駅から歩いて5分くらいですから、行きやすいところですよ。絶対に道に迷わないところよ。
私も幸田文の印象は凛としたイメージでしたが、この展覧会を見て少し変わりましたね。
酒屋さん(酒問屋)と結婚した後は重いビンなども運んでいたようです。
70歳を過ぎて全国の山崩れを取材したのは、ほんとにすごいと思いましたね。
としちゃん様 こんにちは
幸田文展に行かれたのですね。
私はまだなんです。
青木玉さんの講演会に申し込みをしてあるので、
その当落が判ってからと思っています。
幸田文と青木玉は着物を着始めた頃、夢中で読みました。
今でも私の着物バイブルです。
よーでるさんは、講演会に申し込んでいるんですね。当たるといいですね。
幸田文さんの「きもの」を読むと、昔の女性は誰でも針仕事ができていたことが分かりますね。それに裁縫箱の中をきちんと整理しておくのが、女性のたしなみだったようで、私にはちょいと苦手な分野です。
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