幸田露伴の娘である幸田文の自伝的小説ともいうべき「きもの」を読みました。
主人公のるつ子は明治末期に東京の下町に生まれた少女で、彼女の初潮が始まる12歳ころからお嫁に行く18歳ぐらいまでを描いています。
るつ子さんは二人の美人なお姉さんと、お兄さんがいる末っ子。
かなり多感な少女で、着物の着心地が悪いと、びりっと破いてしまうほど。かなり好みが偏っていて、一番のお気に入りは縞の木綿の着物。
そんな彼女の周りには病気がちのお母さんと、世間のことを良く知っているおばあさん、そして彼女の成長を見守っているお父さんがいます。
また学校の友達には、お金持ちのお嬢さんと貧乏な娘の二人がいて、この3人がいいコンビなのです。
そんな彼女でしたが、大正12年の関東大震災に被災にあって、厳しい生活を余儀なくさせられます。
この場面、今の東日本大震災のことがどうしても思い出されてしまって、すらすらと読めませんでした。
この小説にはその場面にぴったりのいろいろな種類の着物が登場してきて、その着物が目に浮かぶようです。
お姉さんたちの結婚式の衣装もとてもすてきに思えました。
それに明治・大正時代の下町の人たちの付き合い方や会話もいいですね。
私の祖母が下町生まれだったので、親近感が湧きました。
この小説の中で一番気になる人物は彼女のおばあさんです。
といっても多分50歳くらいなのでしょうけれど、とてもたしなみ深く、そして日常の暮らしのことをよく知っていて、知恵者なのです。
孫娘に人生の先輩として、いつもいろんなことを教えてあげるのです。
私もこんなおばあさんになれたらいいなと思いながら読んでいました。
でも幸田文の文章というのはかなりきっちりというかぎちぎちした感じで、なかなかすらすらと読めなくて、薄い文庫本なのに私にしてはかなり時間がかかってしまいました。
こちらは帯の前の柄を気にしていたら、後ろのお太鼓の柄が妙になってしまいました。
前はうまい具合に柄が出たのです。
ところが後ろは帯のたれのところとお太鼓の柄が重なってしまって、すっきりとしません。
着付けにも一言あった「きもの」のおばあさんなら、何と言ったかしら。
4 件のコメント:
垂れに印象的な柄があるのですね。
だとするとやはりもう少し小さめにお太鼓を作って柄が重ならないようにしたほうがすっきりするでしょうね。
すると前の柄は移動するけどしょうがないよね、どちらを取るとするとお太鼓かな?
昔の帯は短いのがあるので私など足らないのもよくあるわ(太りすぎ苦笑)
着物に関する本はもうずい分沢山読んだでしょう。
としちゃんに見習って先日も文庫本コーナーに行きましたが沢山ありすぎて探せなかったんだけど女性の生き方の本が読んでみたいわ。
幸田文って、着物姿のキリッとしたスキのない感じの人でしたよね。
といっても、本は読んだことがないのだけど。
としちゃんのブログを読むと、読んだことのない本が多くて、参考になります。自分の選ぶ本って、傾向が偏っちゃうんですよね。
帯、後ろ姿もステキですよ。
さとさん、そうなの、お太鼓が大きすぎたの。写真を写した後で、締めなおしました。柄の出し方は難しいですね。それでついつい全通柄の帯にしてしまいます。
この「きもの」は明治・大正の物語ですけれど、「アンネの日記」のような感じもします。着物の話も出ていて面白いですよ。
マサさん、そう、幸田文ってきりりとした印象がありますよね。私も初めて読みました。今は「流れる」というのを読んでいるのだけれど、こっちはあまりお奨めしないな。
私もマサさんの映画感想がとても役に立っていますよ。
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