宇江佐真理さんの小説はもうずいぶんと読んできました。
特に年末年始には2日に1冊くらいのペースで読んだかしら。
宇江佐さんの小説はすいすいと読めて、そして読んだ後味がとてもよいのです。
つまり「こういうふうになってほしいな」というような結末が用意されているのです。
離れ離れになってしまった恋人たちはちゃんと結ばれるし、お店の跡取りはちゃんとお店を継ぐし。
おまけに歴史の背景も分かるし、当たりはずれもほとんどないので、こんなに素敵な小説家はめったにいませんよ。
どんな小説を読んだか、覚えている限り、書き出してみましょう。
「髪結い伊三次捕り物余話シリーズ」数冊
「室の梅」
「雷桜」
「おちゃっぴ」
「深川恋物語」
「涙堂琴女癸酉日記」
「おぅねぇすてぃ」
「余寒の雪」
「ひょうたん」
「卵のふわふわ」
「玄冶店の女」
「あやめ横丁の人々」
「アラミスと呼ばれた女」
「無事これ名馬」
「たば風」
「夕映え」
「十日えびす」
「恋いちもんめ」
「聞き屋与平」
「おはぐろとんぼ」
「彼岸花」
「深川にゃんにゃん横丁」・・・。
さて最近読んだ「通りゃんせ」ですが、これは宇江佐さんの小説にしてはちょっと異色でした。
というのも出だしが現代の話なのですよ。
「オートバイは甲州街道を横にそれた道に入った」というニュアンスの文があるのです。
主人公も「連」という若い営業マンの男性なの。
その彼がひょっとした拍子で滝の裏側にあった穴に落ちてしまい、気づいたらそこは江戸時代だったという話です。
そう、去年、TBSテレビで人気のあったドラマ「仁」と似ていますが、こちらの小説のほうが先だと思いますよ。
それに「仁」は坂本竜馬が出てきたりと幕末が舞台でしたが、こちらの小説はそれより少し前の天保時代の農村が舞台なのです。
その田舎に突然現れた現代人、連(連吉と名前を変えますが)がいろいろ見聞きするお話ですが、当時の農村の飢饉というのはひどいもので、それにもまして年貢の取り立てが厳しく、今の比ではなかったという話が続くのです。
そして最後にはこの村にいた「さな」という女性が、現代社会に戻った連の前に「早苗」という人物になって再現したのですが、そういう結末はとてもすがすがしくて気持ちよいものでした。
今はまた「神田堀八つ下がり」という小説を借りて読み始めましたが、こちらはおなじみの町人や岡っ引きなどが登場していて、楽しく読める小説のようです。
0 件のコメント:
コメントを投稿