私の大好きな上江佐真理さんの最新作「糸車」。
集英社 2013年発行。
これまでの上江佐さんの小説とちょっと違うところは、主人公が36歳のお武家さまの未亡人だというところ。
いつもの小説では、主人公は岡っ引きとか町人なんだけれど、今回は、夫が藩の陰謀で殺されて、15歳の息子も行方不明になってしまう奥さま。その息子を追いかけるように江戸に来て、深川の裏店(長屋)に住んで小間物屋の行商をしながら、息子探しを第一として生きている中年女性のお話です。
そしてようやく探し当てた息子は、なんと陰間(女装した男の売春)になっていたのです。
この小説は、その息子探しのお話が縦糸となり、そして宇江佐さんの小説らしく、他にもお茶屋の女性やら、船宿の不良娘、質屋のドラ息子やらが横糸となって登場して、お話を紡いでいきます。
そして重要人物は、この中年女性のお絹さんを慕って、なにかと助けてくれる町奉行のお役人の持田さん。彼は奥さんを亡くして、今は年老いた母親と娘と暮らしています。
当時は36歳の女性といえば立派な中年でした。今のように、アラサーという時代とは違います。
そしてお相手のお役人も40歳くらいなのでしょうが、この二人の微妙な恋の行方はどうなるのでしょう・・・・。
二人で居酒屋でちろりを飲んでいるシーンは、とても素敵で、その映像が浮かんで見えるようでした。
かなり分厚い本でしたが、お絹さんや持田さん、息子の勇馬のことが気になって、一気に読んでしまいました。
セレブの匂いふんぷんの「わりなき恋」▼とは大違い。
(まだケチつけています・・・・)
宇江佐ワールド、いいですね~。
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