その間、見たい展覧会も、行きたいイベントも、読みたい本も、三味線も、スポーツクラブも、着物もすべて封印して、せっせと料理作りの毎日でした。
(前もって予定していた結城紬見学と、富士塚見学だけは強硬突破して行ってきましたが。)
日ごろのお気軽主婦から、この時ばかりは真面目な主婦へと変身して、生活していたのでした。
家にいることが多いので、おかげでいろいろと部屋の整理もでき、めったに手を付けなかった本箱や帯の片付けもできたので、災い転じて福となす、といった感じだったでしょうか。
とはいえ、ずっとそのような生活を送っているのもあまりに残念なので、夫の手術後1か月を契機として、この禁欲生活を解禁することにしました。
以前、市の文化講演会でもらった「バルテュス展」のチケット▼が手元にあったので、着物を着て、上野まで行ってみることにしました。
久しぶりの着物は、季節的に何を着て良いのか迷いましたが、会場の東京都美術館は上野駅から意外と歩くことを考えて、いただきものの夏物着物にしました。
織り方は絽なのですが、普通の絽のようにしんなりとしているのではなく、シャリっとした感じの生地で、適度に透けた着物です。
帯は立川の五箇谷さんで、お店の人に勧められて買ったもの。
かなり渋めの組合せになったので、半襟だけは紅若菜さんに教えていただいたお手製の紅型半襟をアクセントにしてみました。
上野はさすがに修学旅行の生徒さんが多いですね。
炎天下を、あちこち、ぞろぞろと歩いていました。
バルテュス展は会期末が近いので、多くの人が来ていました。
(東京での開催は6月22日で終了しました。)
私は彼の絵はそれほど好きではないのですが、彼の着物姿(奥さんが日本人)にはほれぼれとしました。
もともとカッコいい男性なのですが、きりっとした袴姿や、ざっくりとした普段着物を着こなしていたところは、日本男性も顔負けのほどでした。
ただし、肝心の絵画は、ちょいとロリコン気味で、エロいというか、ちょっと私の趣味とははずれていたようです。
少女の絵は、かなり若い時から描いていたようです。
こういう足の斜めの線が好きなようですね。
バルテュスという人は、うるう年の2月29日生まれで、そのためお誕生日も4年に1度しかしなかったそうですが、それが若さと生命力の秘訣だったのでしょうか。
「地中海の猫」というタイトルです。
この絵はパリのレストランに飾るために描いたそうですが、虹が魚になって乗って飛んで行くところが気に入りました。
それにしても彼は猫好きでしたね。笑った猫の顔がとてもいい感じでした。
もうひとつのお土産は、奥様の節子さんが書いた着物関係の本。
彼女は若いころは、それほど着物好きではなかったそうですが、バルテュスから「日本人なら着物を着なさい」と言われてから着るようになったそうです。
最初は帯がうまく結べずに、随分とバルテュスに手伝ってもらったこともあるのだとか。
お母様や伯母さまからいただいたという着物がとても素敵でした。
節子夫人も、今では画家として暮らしているそうですが、あの大きなスイスのお城のようなおうち、どうやって管理しているのか気になりますね。
久しぶりの着物だったので、なんだか半襟がうまく合わさらなくて、ちょっと気になっていたのですが、あちこちで出会うおばさまから「きれいに着ていますね」と言われて、ほっとしました。
(この項、続きます)
2 件のコメント:
としちゃん、解禁おめでとうございます。
ビールも解禁になるといいですね(もう解禁かしら?)
市の講演会、私も申し込んでいたのだけど、天気が悪かったので行くのをやめたのでした(汗)
ポスターとかをみる限り、確かにスキャンダラスな絵ですね。好き嫌いが分かれそう。
少し前に節子夫人のインタビュー記事をちらっと読んだのだけど、画家とはすごく歳が離れていたのね。とても素敵な方ですが、画家はやっぱり若い女が好きだったのかな。
マサさん、今はまだノンアルコールビールです。本物のビールは仕事に行き始めてからと、本人が申しております。
バルテュスの絵画はたしかに好き嫌いが分かれるでしょうね。少女のヌードとかは、あまり趣味が良くないんじゃないのと、思いましたけど。
節子夫人とは30歳くらい離れていたのではないかしら。何番目かの奥さんですね。
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