2017年12月21日木曜日

「私の帰る処」

「源氏物語を原文で読む会」▼を主宰されている、女優の真木野透子さんのお芝居を鑑賞しました。

今回は「劇団日々刻々」▼のメンバーとしての活動でした。


源氏物語の時は、明快な口調で分かりやすい解説をきびきびとしていただいていますが、今回の劇中では「妹」の役でしたので、どちらかというと甘えん坊、ちょっぴりわがままで可愛らしい演技をされていました。
そのように、普段のお顔とは違った、女優としてのお顔を拝見することができて、ちょっと得をしたような感じでした。

会場は西武新宿線の駅から川沿いに歩いて数分の、中野区に建つ古民家「asagoro」▼でした。


江戸時代の元禄年間、このあたりに初代当主が住みはじめ、第14代当主の「浅五郎」さんという人によって、1922年(大正11年)に現在の建物が建てられました。
築90年を越す落ち着いた日本家屋でした。
現在はさまざまなレンタルスペースとして、広く活用されているようです。

当時はこの辺りはきっとすごい田舎で、キツネや狸も出没したかもしれませんね。

源氏物語の会にご一緒している、着物友だちのKさんと一緒に出かけました。
「asagoro」の家の前に立つ、Kさんです。
寒いのは苦手だそうで、防寒対策をばっちりとされていました。


庭には、みかんや柚子の木があり、のどかなところでした。


お芝居が始まる前の舞台です。


といっても、10畳くらいの昔風の和室が舞台でした。
そして、手前にある10畳くらいのスペースが観客席でした。

お芝居は「私の帰る処」という題名の通り、実家に舞い戻ってきたアラフォーの女性と、実家を守ってきた彼女のお姉さん、という二人のお芝居だけで進められました。
途中、若い女性がちょっとだけ登場しましたが、その他は姉妹の会話だけで、物語は成り立っていました。

物語の中には、現代社会が抱えるさまざまな問題点が潜んでいました。
夫婦の問題、親子の問題、認知症、こども食堂、不妊治療、相続、原発事故・・・・。
それらが物語の中に自然に融合していて、見る人の胸にチクチクと突き刺さっていくような感じでした。

これらの問題はすぐに解決できる訳ではありませんが、この姉妹は最後は楽しそうに歌って、舞台から下がって行くのでした。

いろいろと考えることの多いお芝居でした。

この舞台は、周囲が廊下になっていて、それをうまく使っていました。
今どきの家には廊下などめったにありませんが、懐かしい作りのおうちでした。


お芝居の後に、真木野さんと一緒に写真を撮らせていただきました。
まずはKさんと。


二人が眺めているのは、お芝居の小道具であるアルバムです。
実はこのアルバムには、本物の写真が貼り付けてあって、とてもリアルな作りでした。

私はどこを眺めているのでしょう。


このお芝居は二人姉妹の話ですが、私自身も二人姉妹の姉の立場です。
お芝居のお姉さんのようにしっかり者ではありませんが、若い頃には自由に振る舞っていた妹を尻目に、一人で両親を見ることになった、ということでは共通しているかもしれませんね。

それにしてもお芝居の力というのはすごいものだと思いました。
観客をぐんぐんと、その世界に誘導していきました。

映画や歌舞伎などとは異なり、演出効果や音響に頼らず、台詞だけで観客を引き込むのは、いしざわみなさんの脚本のすばらしさ、役者さんたちの演技力によるものだと思いました。

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この日の装い。

会場は古い日本家屋なので、かなり寒いという情報があり、ちょっと厚手の紬にしました。
リサイクル着物の「ながもちや」さんで購入したものです。


写真では無地のように見えますが、ところどころに織りの模様があります。
私には、着物の胸の巾が広すぎて、肩にしわが寄ってしまうので、あまり気に入った着物ではありません。

帯は、ピンク、ブルー、白、金色などのバラが咲き乱れる派手な帯です。


普段はあまりこういう帯はしませんが、ちょっと明るい感じにしたくて、締めてみました。
それにしても長さが中途半端で、今回に限っては、3回も締め直してしまいました。

半襟にもバラの模様が刺繍してあり、黒で引き締めました。

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