2017年9月20日水曜日

桐生織や桐生絞って?

先日、群馬県の伝統工芸士さんのお話を聴く機会がありました。
お話のタイトルは「桐生の歴史と絞り こぼれ話」でした。
桐生といえば、社会科の時間でも「織物産業で有名」ということは習っていましたが、さて、実際には織物産業といってもどんなものが有名なのか、私には具体的なイメージが沸いてきませんでした。
そのような疑問を持ちつつ、「桐生織」や「桐生絞」のお話が聞ける、というので好奇心で参加してみました。


講師は、桐生の「泉織物」▼社長で伝統工芸士の泉太郎さん▼でした。
泉織物はひいおじいさまが創業されたそうで、4代目ということでした。

泉さんによれば、桐生の織物の歴史は古く、1300年ほど前の奈良時代からあったそうです。
かつて上野国は、朝廷に初めて絹織物を献上したとか。
時代は飛びますが、新田義貞や徳川家康の時代には陣旗として絹織物が使われたそうです。
その後、江戸時代になるとこの地域は幕府の天領となり、豪商たちが自由なモノづくりをできる環境となり、特に何かに特化したものではなく、養蚕産業が盛んな地の利を生かして、高級な美術織物も作っていたそうです。
近代になると、桐生の織物産業はますます広範囲に発展して、洋服の生地をはじめ、着物、帯、海外向けの製品、制服、家具の生地など、あらゆる分野での織物産業が盛んになったそうです。
ということで、桐生織物の特徴というのは、「特徴がないのが特徴」ということでした。
なるほど、それで桐生の織物のイメージが沸かなかったわけですね。

ただし、現在では洋服関係の織物産業が多く、着物の着尺を生産するところは、こちらの泉織物1軒となってしまったそうです。
時代の流れでしょうか。

桐生織の歴史のレクチャーが終わった後は、実物を拝見させていただきました。

こちらは桐生絞りの、絞ってある時の状態です。


生地は絹、絞ってある糸は木綿なので、染料で染めても、糸で絞ったところだけは染まりません。
細長いゴムのようなものから、ヒトデのようなもの、イガイガのものなど、これが布地だとは思えないような形のものばかりでした。
手前にあるヒトデのような形の部分を開くと、こんなきれいな絞り模様が現れました。


下の写真は、その桐生絞りを帯にしたものです。
とても可愛らしかったです。
色違いの焦げ茶や抹茶色もあり、締めたら素敵だろうなと思えるものばかりでした。


泉さんの着物づくりの方針は、現代の女性が冠婚葬祭の時だけに着用する着物ではなく、普段のちょっとオシャレな場面に着て歩けるような着物を創作することだそうです。
周りの洋服の人にも溶け込んで、それでいて美しい着物を作り出したいということでした。

こちらの右側にあるピンク色の着物は光沢があり、とても素敵でしたよ。
細かい説明は忘れましたが、かなり手の込んだ技法のものでした。
どれもとても軽くて、触り心地のよいものばかりでした。


桐生織や桐生絞の実物を見たり、触らせたりしていただき、楽しめました。
泉さんはお話もお上手で、なんとなくコロッケさんに似ていて、明るい方でしたよ。

他にもたくさん美しい織物を拝見させていただきましたが、今回は目の保養だけ。
チラリと値札を見ましたが、おいそれと簡単に手が出るものではありませんでした。
「現代の女性に気楽に着てもらいたい」とのことですが、値段を見ると、私のような年金生活者では、とても気楽には買えないだろうなと思い、残念でした。

今回の桐生織物のトークと展示販売は、日比谷にある「都粋」▼さんと、日本橋の問屋さんの企画によるものでした。
こちらの問屋さんは、普段は一般には解放していないそうで、初めて入らせていただきました。
お世話になりました。

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この日の装い。

8月に、清澄庭園の展示会で気に入ったピンクの大島紬▼が仕立てあがったので、着てみました。


ピンクの部分と、クリーム色の部分の柄合わせを細かくお願いしたので、衿のあたり、いい感じに仕上がりました。
春先にもよいかもしれません。

帯は明るい色にしようかと思いましたが、今回はちょっと渋めに焦げ茶の帯にしました。

着物も、帯も「ゆめこもん」さんにお世話になったものです。

今回は、いつもの千円着物ではなくて、ちょっと値の張るものでしたよ。