2009年9月13日日曜日

むくげの花

「芙蓉」と「むくげ」の違いがよく分からないのだけれど、茎がすくっとしていて、直線的なほうがむくげらしいの。それに対して、芙蓉はふんわりと横に広がっているそうです。


とすると、こんなにすくすくとしているのは、むくげでしょうか。


この花を見ると、私は源氏物語の中の玉蔓を思い出すの。

彼女はかつて、光源氏が若かりし頃、恋焦がれて、その挙句にはあっという間になくなってしまった「夕顔」の一人娘です。そして彼女の父親は、源氏のライバルでもあり、今は内大臣(かつての頭中将)です。

そんな玉蔓は、母親の乳母だった女性に連れられて九州で育ち、その後、不思議な縁で上京してからは、源氏に自分の娘として引き取られるわけ。ところが娘とはいえ、もともと本当の父子ではないので、源氏は夕顔の忘れ形見である美しく成長した玉蔓に恋心を抱き、親子とは思えないような微妙な関係になるの。

父親でもない中年男から舐めまわされるような視線を浴びたり、髪の毛を触られたりしたら気持ち悪いだろうけれど、でもそこをうまくかわしながら相手をするなんぞ、並みの女性じゃないけどね。
母親の夕顔はなよなよしくて、はかなげで、ちょっと田中裕子タイプだったけれど、玉蔓はもっと健康的で背も高くて、すっきりしたタイプのような気がするの。


その娘の玉蔓は、花にたとえれば、このむくげのような美しい人じゃないかしら。

彼女はその美貌と源氏が父親だという噂があるので、天皇(本当は源氏の息子)や、いろんな宮様(源氏の義理の兄弟)から求愛されてモテモテなのだけど、ある日、突然、髭黒というおっさん(とはいえ、まだ32歳ぐらいの無骨な大臣)にモノにされてしまうわけ。


玉蔓は初めはその夫のことを好きになれなかったのだけど、でも結婚してからは男の子を次々に生んで、しっかりものの美しい人妻に変身してしまうの。

そのあたり、結構現代的な女性なんだなと思われるところ。

彼女は亡くなった母親の顔も知らず、当然、父親のことも知らずに田舎で育ったのだけど、「鄙にもまれな」という表現がぴったりの美貌と、周りの環境に左右されないしっかりとした自己があるのよね。

美しくて聡明。そして性格もうじゃうじゃしなくて、山吹色の着物が似合う女性で、シンデレラのような運命の持ち主だと思うわ。彼女自身、「私のような運命の女性は、ものがたりの中にもいるのでしょうか」と言っているくらいです。


このむくげを眺めていたら、そんな数奇な運命にもめげず、しっかりと生きている玉蔓のことを思い出したのでした。

10 件のコメント:

トントン さんのコメント...

これはムクゲです。我が家の庭にもあって、綺麗に咲いています。
お隣のムクゲの種がポトリと落ちて、今は一人前。この強さは、としちゃんの言うように玉蔓のしっかり!と通じるものがあるかもしれません。
虫も寄せ付けません(笑)そこが気に入っています。

おおしまとしこ さんのコメント...

あー、よかった、むくげで当たりなのね。うれしいわ。
お隣に咲いていたむくげが今ではトントン家にもしっかりと花が咲いているのですか。もうけものね。虫が来ないというのは、それはいいわね。男嫌いというわけでもないでしょうけどね。いや、もちろん、トントンのことじゃないわよ。

マサ さんのコメント...

清楚で控えめで、和を感じさせる花ですね。
そうか。芯が強くてしっかりした人には、虫は寄って来ないのね?

田中裕子は、テレビで見た東京タワーの母親役のイメージが、最近はどうも強くて。おもろいオバハンというか。
田中裕子と古手川祐子と名取裕子。その昔、「3ユウコ」と言われてましたよね。美人揃い。

おおしまとしこ さんのコメント...

あー、マサさん、昔の女優さんの名前だとすぐに分かるわ。今は誰が誰だか・・・。
なんとか多恵とかいう人、泣き役が似合う女優さん好きなんですよ。
私は田中裕子というと、昔、高村薫の「照柿」を見て、ものすごくうまいなーと思ったの。けだるいようで色っぽくて。
東京タワーのおかんで、お面をつけて踊ったところ、よくやると思ったわ。

玉蔓には虫はたくさん寄ってきたけれど、その処理の仕方がうまかったわね。気を引くようなそぶりを見せながら、ぴしゃっとしていたの。ま、美人はそれだけでうらやましいわ。

真蘭 さんのコメント...

むくげは我が家にも咲いています。
周りは白で真ん中が赤い種類です。
写真のピンクの方が色っぽいわ。

むくげから玉蔓を想像するなんてさすが
源氏通。
そう言われてみれば、きれいで一日花で
はかない、其れで居て虫も付かない強さ。なるほど、納得です。

おおしまとしこ さんのコメント...

真蘭さん、一日花というのは、一日咲くと、あとはもうしぼんでしまう花なの?
その割にはたくさん咲いているんですね。
真蘭さんならちゃんと手入れしているだろうから、どんなお花でも虫がつかないんじゃないの?

さと さんのコメント...

このむくげの写真綺麗ですね。
源氏物語に結び付くのがさすがとしちゃん。
解説を読みながらイメージをふくらませています~
私もそう生きたいな(笑)

今朝ねジューンベリーの木の葉っぱがない?
あれっ!とよく見たらなんと毛虫がいっぱいついてるのです。
もうチリトリを持ってきて枝も葉も切り落としてゴミ袋に。
殺虫剤をまきました。
10匹以上虫がついてた。。。。(泣)

おおしまとしこ さんのコメント...

さとさん、このむくげは母のいる施設に行く途中に咲いていたの。とてもすくっとしているので写真にとりました。
ジューンべりーってどんなお花なのかしら。きれいな花には虫がつくのね。その虫は木の葉を食べて生きているわけ? せっかく育てていたのにね。お疲れさまでした~。

真蘭 さんのコメント...

むくげは一日しか持たない代わりに
沢山の花が長い間咲き続けるので、
忍耐強いとか言われて、韓国の国花と
なったとか。
周りが白くて中が赤いので我が家の種類は「日の丸」です。なぜ韓国の国花?

おおしまとしこ さんのコメント...

真蘭さん、むくげって韓国の花なんですか。
そういえば、韓国の国旗も白地に真中が赤ですよね。周りは黒い模様がついていますけど。それで国花にしたのかもしれませんね。

今日は花びらがピンクのむくげがきれいに咲いていましたよ。結構長い間、咲いているんですね。