立ち見で映画を見たなんて久しぶりでした。
このところ何回も通っている「雷蔵祭」の映画館は、新宿3丁目のユニクロの上にあるのだけれど、これまでは4階の300席くらいの大きなスクリーンで見ていたの。だから上映間際に行っても席はガラガラだし、ゆったりと見られたのよ。
それが急に5階の50人くらいしか入らない小さなところに変わったのだから、キャパシティ不足。
インターネット予約も電話予約もできないのに、どうして満席になったのかというと、1度見た人は雷蔵さんのファンになり、その場で次の映画を予約していくらしいのよ。でもそれも4日前までというのだから、しょっちゅう劇場に行かないと、予約はできないわけ。
今は消防法が厳しいので、昔みたいに劇場があふれるほど超満員ということはないけれど、定員+20人まではOKだそうで、私はその20人のうちに入れたわけ。でも遠方からわざわざ来てもお引き取りしていただいたお客さんも大勢いたわよ。
それで4階の大きな劇場のほうでは何をやっているかというと、板尾何とかという人の脱獄王とかいうもの。
こちらのほうが客を呼べるだろうと思って変更したのだろうけれど、なんだか納得がいかないわ。
それに、立ち見なら少し割引をするとかあればいいと思うんだけどな。
でも「大菩薩峠」は1時間30分立ち見をしていても、全然苦になりませんでした。
物語にぐいぐいと引き込まれるのよ。
時は幕末、新選組の近藤勇や土方さんも登場するし、剣術の達人も登場するし、けっこうストーリーがややこしいので真剣にみなくちゃならないし、舞台も江戸、京都、大菩薩峠とあれこれ変わるし、うまく作ってある映画です。
相手役は中村玉緒。これが可愛い町娘なんかの役ではなくて、ものすごく気が強くて、眼力のすごい役。
それに本郷功次郎とか、山本富士子とか懐かしい人たちが出演していました。
雷蔵さん演じる机竜之介という人は、何人も刀で殺傷してしまうし、女は手ごめにしてしまうし、本当は悪いやつなのよ。
狂気のヒーローなのです。
でもすてきなんです。
最後のシーンで白い着物姿で川の中に立ち、刀を構えるところなんぞ、妖しくて美しくて、ぞくぞくしまいました。
この当時(1960年)、女性はまだ今のように強くはなかったし、おまけに映画は江戸末期の話なので、女性蔑視というか、もてあそばれるというシーンが結構ありましたね。
百人一首をするにも、札が取れないと着物を一枚ずつ脱がされるとか、野球拳みたいなのをしたり、すぐに帯をくるくるとはがされたり・・・・。
ま、娯楽映画と言えばそれまでなんだけれど、なんだか今はそんなことしたら大変だわよね。
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対照的でおかしかったのが予告編(当時の)で、流れていた「ぼんち」。
船場のぼんぼんの役なんだけれど、これがふがいないというか、情けないというか、机竜之介をやった人とは思えないわ。ほんとにどうしようもない女たらしの役で、顔も発声法もまるで違って、「ぼんち」での雷蔵さんしか知らないとなると、それは大損です。
映画の後は新宿御苑にでも行こうと思っていたのだけれど、時代劇を見た後は、そんな気分になれなくて、靖国通りを渡って花園神社まで行ってきました。
今は中里介山の原作を読んでいます。とてもテンポのいい時代小説です。
6 件のコメント:
としちゃんさんのご説明を読んでいると、もんのすごく観たくなりますが、板尾もすごいひとなんですよ。
大好きな芸人さんのひとりです。
でもねぇ、やっぱり、何回もやってるなら、入り具合も想像つくでしょうし、そんなことじゃ板尾のイメージも悪くなるし、もうちょっと考えて欲しい物ですね。
玉緒さん、バラエティーでしか知らないので、迫真の演技が観てみたいです。
今売れてる俳優さんってまったく知らないのですが、同じような役ばかりやってるひとは詰まらないですね。
役者と云う仕事を出来る俳優さんの映画、観たいです。
史子さん、板尾何とかという人、お笑い芸人なんですか? ちっとも知りませんでしたが、でも凄みの効いた演技をしていましたよ。何回も予告編で見たので。
玉緒さんは私は勝新の奥さん、というイメージが強かったんですけれど、ものすごい人ですね。
返す返すも雷蔵さんが37歳という若さで亡くなってしまったのが惜しいわ。
雷蔵さんこうしてみても中々の男前ですね!
大きなスクリーンで見るとたまらないんでしょうね(笑)
としちゃんがこんなにハマってるんですものね。
昔の映画って今見たらどんなに思うのでしょう、見てみたいわ!
さとさん、そうそう、男前という言葉がありましたね~。雷蔵さんにぴったりよ。
大菩薩峠は大河内伝次郎、片岡千恵蔵、仲代達矢などが演じていたそうですよ。ニヒルで悪のヒーローなんだけど、続きでは盲目になってしまうそうです。
この映画はまだ序の口で完結編までいくつもあるそうですよ。あー、もっと見たいのに、映画館まで行く時間がないわ! とはいえ、DVDは数万円するらしいの。それは買えないわよね。
としちゃん、私、この間テレビ(BS)で、「ぼんち」を見ました。山崎豊子原作ですよね。
ホントに女たらしで情けない男の役。でも、こんな役でも違和感なくやっちゃうところが、すごいところ。
めかけ(愛人)の処し方にも、ルールというか、しきたりがあって、そんなところも面白かったわ。
マサさん、ぼんちのときの雷蔵さん、情けない顔しているわよね。あの映画には草笛光子なんかも出ていたでしょ。それにいつもの若尾文子、玉緒さん。船場のぼんぼんって、ほんとうにあんな感じだったのかしらね。
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