2019年2月28日木曜日

「染の小道 2019」

先日、新宿区中井で開かれている「染の小道」▼に参加してきました。
かれこれ数回はお邪魔しています。

今年のポスター。


妙正寺側に架かる反物の「川のギャラリー」です。
いつみても美しい風景です。


毎年、多くの人でにぎわいます。


今回は、「着物de交流」▼というグループに参加して、みんな好きな着物姿で、中井の町を歩きました。

出発点は、新宿区立落合第五小学校。


ここに20~25人ほど集まったでしょうか。
参加者は男女半々くらいだったかしら。
意外と中年男性が多い日でした。

リーダーの挨拶を聞いて、みんなでゾロゾロと歩きました。
こんな感じ。


川のほとりに来ました。


私は、左端にちょっとだけ写っています。
右に立っている、地元の着物友だちを写しているところです。


私も写してもらいました。


まだ少し寒かったので、甘酒をいただきました。


この辺りで、数人のグループに別れて行動しました。
私たちは、「ギャラリーさくら」という着物を売るお店へ直行。
お安いものからお高いものまで、いろいろな着物や帯がありました。


今回は、こちらの端切れを購入。


帯揚げにしようと思っています。

その後はこちらのお店へ。


色々な和小物を販売していましたが、ここでも端切れを購入。
かなり分量がありましたが、さて、何にしようかな。


今回はユニークな装束を着た方もいました。
烏帽子に狩衣。
まさに平安貴族ですね。


これで笏でも持てば本物のようです。

この日はお天気も良く、ポカポカしていて歩くのも気持ちよかったです。
お付き合いしていただいた皆様、ありがとうございました。

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この日の装い。

「染の小道」ということで、紅型の染物の着物にしました。


ただ、帯や小物選びがうまくいかなくて、自分としては納得のいかない組み合わせでした。


ただし、この日はコートを羽織っていたから、それほど他の人は気づかなかったかもしれません。
そんなものです。

2019年2月27日水曜日

三味線の危機?

先日、朝日新聞に大きく取り上げられていたので、この記事を目にされた方も多いと思います。


「邦楽の音 守るには」という記事です。
昨今は、各方面で伝統文化を守れと声高に言われていますが、それに反して、邦楽器の製造数はものすごく減っている、という内容でした。

記事によると、三味線は1970年には1年間に18,000作られていたそうです。
今から約50年前のことですね。
それが2017年には、なんと3,400しか作られなかったとか。
激減ですね。
驚きました。

作り手さんがいなくなったこと、材料が手に入らなくなったこと、そもそも三味線を弾く人が少なくなったこと、などの理由が上げられると思います。

記事の中央にある三味線のイラストには、三味線の部分の名称と材料と生産地が書かれています。
たとえば皮(動物の皮)はタイ、胴(かりんなど)は東南アジア、棹(紅木、紫檀など)はインドやタイ、撥(象牙、べっこうなど)も海外からの輸入ということです。
いまや国産の材料では三味線は作られないのでしょうか。

うちには母や伯母が使っていた古い三味線が3丁あるのですが、それも貴重なものになるのかもしれませんね。

ところで私の三味線の先生が、こんど、珍しい三味線を使ってコンサートを開きます。
なんと透ける三味線だそうです。
世界にひとつしかない三味線で、いったいどういうものなのか、興味がありますね。
そしてどんな音がするのでしょうね。

コンサートのお知らせはこちら▼


私も新しい三味線が欲しいのですが、いやいや、年間3400しか作られないとなると、金銭的にも手に届かないでしょう。
今ある三味線を大切に使うのが良さそうです。

2019年2月26日火曜日

「十人十色 十年十色」

先日、「染の小道2019」▼のイベントがあり、「第57回きものDE交流」では、落合第五小学校に集合することになっていました。
中井駅すぐ近くに立つ小学校です。


少し時間があったので、その小学校の体育館で開かれている「染の王国・新宿展」▼を覗いてみました。


新宿内の工房の方や職人さんたちが、さまざまな染の作品を出展したり、実演をされていました。



その中で目についたのは、「十人十色 十年十色」という素敵な色の反物の展示でした。
これは新宿区落合・中井地域のテーマカラーを、その年ごとに決めるという企画でした。
10周年特別企画だそうです。
それぞれの色は、公募で選ばれたそうです。


今年2019年の色は、「川桜」という淡いピンク色でした。
神田川の桜が思い浮かぶ色ですね。

他にも「不二夫赤」という赤塚不二夫をイメージした赤とか、「徳川牡丹」という徳川家にふさわしい紫とか、「芙美子竹」という林芙美子が好きそうな淡いグリーンなど、10色が選ばれていました。

私が一番気に入ったのは、こちらの「おとめ山吹」です。


そう、新宿区にはおとめ山という山があり、私は昨年11月、そのおとめ山に登ってきた▼ので、とても親しみが沸きました。
「おとめ山吹」の説明によると、ある日、狩りに出かけた太田道灌が、雨に濡れてあばら家で蓑を借りようとしたところ、その家の少女が山吹を差し出しました。
道灌は訳が分からず怒りましたが、実は山吹は、「蓑のひとつさえ持てないかなしさを山吹の枝に託したもの」という意味もあった、という話です。
とてもきれいな山吹色でした。
ちなみに「おとめ山」の「おとめ」は「乙女」ではありません。
「お止め」から来ています。

こちらは今の季節にぴったりの、「大江戸紅梅」でした。
鮮やかな色ですね。


新宿区の素晴らしい企画に拍手を送りたいですね。

2019年2月25日月曜日

能舞台に立つ

先日、観世流シテ方能楽師で人間国宝である4世梅若実さんのご長女、梅若幸子さんから能についてのレクチャーを受ける機会がありました。


幸子さんは幼少の頃は能をされていたそうですが、現在はプロデューサーの立場で、能を世界に発信されるお仕事をされています。
ご家庭では10代の男の子の母親でいらっしゃいます。

650年、続いている能についての基礎的知識をお話していただきました。

初世・梅若実というのは江戸時代末期に生まれた方で、明治維新で多くの能楽師が、徳川家について静岡へ去って、能楽が衰退してしまった後も、東京で能の復興に力を入れた方です。

こちらは初代のお墓です。
会場である梅若能学院の玄関に立っています。


また文筆家の白洲正子さんと梅若家の交流についても、お話をされました。
白洲さんは2世梅若実から能を習い、女性で初めて能舞台で能を舞った方です。
すごいイケメン好きの方だったようで、ご主人の次郎さんに似た3世のファンだったそうです。

ところで、私はこちらの本を図書館から借りていました。
白洲正子さんの「お能の見方」です。


能の演目については読めばなんとなく分かりましたが、そのほかの随筆のようなところはまるで理解ができませんでした。

それでも今回の梅若幸子さんのお話を伺って、少しは能に近づけたような気がしました。
「能を見ていて、眠ってしまっても構いません。でもいびきはちょっと困りますけどね」とおっしゃられたので、安心しました。

お父上とはよく芸談議をされるそうですが、「よい能楽師は観客が育てるものだ」というお話をされるそうです。
それにしても、父親が人間国宝なんて、どんな気分なのでしょうね。

その後は、能楽師さんから、装束についての説明がありました。

若い女性用の装束。
これは江戸時代のものだそうです。
唐織というもので、草花が織り込まれて、とても美しいものでした。
ちょっとだけ羽織らせていただきましたが、見かけよりも軽い感じでした。


観客の方が着用されたところです。
若い女性の役の時は、このように衿の裏側の赤い部分を見せるのだそうです。


こちらはやはり若い女性の役が着るものですが、現代の技法で作られれたものです。
買うとなると、2000万円ほどするということでした。
とてもきれいな刺繍が施されていました。
これも羽織ってみましたが、裏地が違うせいで、江戸時代のものよりもずしりと重さを感じました。
これを着て舞うのは大変だろうと思います。


こちらのシックな装束は、中年女性用です。
とくに子供を亡くした母親などの役のときに、着用するようです。
生地そのものは男性用ですが、スズメやススキの刺繍がとても見事でした。


この袖の長いのは、天女などが着用するものです。
絽の生地です。
透けていてとてもきれいでした。


説明の後には、私たち一般人も能の舞台に登り、装束をまとってみる、という貴重な体験をさせていただきました。

楽屋の方から恐る恐る入って行きました。
そこには初世から3世までの3人の梅若実さんの写真が掲げられてありました。

大きな鏡がありました。
ここで衣装を確認するのでしょうか。


橋懸りと呼ばれる廊下は、中央のところは避けて歩きます。
すり足で歩きました。


素敵な装束を間近に拝見しました。
舞台の上に広げられた装束です。


近寄ってみました。




私も着用させていただきました。
軽くて、天女になったような気分でした。


その後は、能面についての説明がありました。
こちらは若い女性ですが、口角のあたりが微妙に違いますね。


鬼と般若。
角が生えています。
怖いですね。


不思議なおじいさんの面。
ギリシャにも連れて行ったとか?


イケメンの面。


こんな感じで、みなさま、いつまでも装束や能面を眺めていました。


なかなかできない体験をさせていただきました。

これは余談ですが、舞台の上からは、客席がとてもよく見えるものです。
誰が寝ているとか、お見通しでした。
これから気をつけなくてはね。

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この日の装い。

能舞台に上るということでしたので、真面目に白襟、白足袋に、藍色の大島紬にしました。


帯は、ぽわるさんの福袋に入っていた、つづれ織り。


この日は、参加者には着物の方も何名かいらっしゃいました。
みなさん、きちんと素敵に着こなしていましたね。

2019年2月24日日曜日

スク☆ハジライブ@お江戸日本橋亭

三味線の弾き方に、「スクイ」と「ハジキ」という技法があります。
「スクイ」は、糸を撥で下からちょっとすくうもの、
「ハジキ」は、糸を弾かないで、指先ではじくものです。
これらは三味線の音色にリズム感や躍動感の効果をもたらすもので、うまくできるととてもかっこいいものなのです。

簡単そうに見えますが、やってみると、なかなか難しい技法です。
私などは、いつも先生から「スクイをもっときちんとすくって」と言われています。
つい、ちょこっと、すくってしまいがちになります。

ところで「スク☆ハジ」というお二人の三味線ユニットグループがいらっしゃいます。
以前から、ユーチューブでその演奏を見ていて、かっこいいなと思っていました。
お名前のとおり、スクイやハジキを多用する演奏をされていました。
いつかは生で聞いてみたいものだと思っていたところ、「お江戸日本橋亭」▼でのライブがあるということを知り、さっそくチケットを予約しました。


嬉しいことに、今回は「鷺娘」を演奏されるとのこと。
「鷺娘」は玉三郎などの舞踊曲としても有名ですが、華麗で素敵な曲です。
そして私も今度の夏のゆかた会に演奏することになっていたので、是非とも聞いてみたかったのでした。

会場に到着。
日本橋三越に近いところにあります。


ここは庶民的な演芸場という感じで、リラックスできるところです。
演奏する舞台の前にはゴザが敷かれていて、座布団が置いてありました。
いかにもかぶりつき、という感じでした。


まずはお二人の「君が代松竹梅」で始まりました。
その後は、「松の緑」や「梅の栄」など松竹梅にちなんだ曲の合方メドレーでした。
ちなみに「合方」というのは、唄がなくて、三味線の演奏だけのところです。
三味線の聞かせどころでもあります。
お二人の息がよく合っていて、本手と替え手のリズム溢れる演奏が小気味よかったです。

その後は、唄の杵屋勝彦さんが登場して、一緒に「鞍馬山」と「鷺娘」をご披露されました。
演奏はもちろん素敵でしたが、それ以上に勝彦さんのおしゃべりが楽しくて、歌舞伎役者さんの裏話など、大いに笑わせていただきました。
とくに曲の背景などをきちんと意識して、演奏したり踊ったりするのが大切ということをおっしゃっていたのが印象的でした。
この方は、古いものを集めるのが趣味だそうで、江戸時代や大正時代の教本で唄っていらっしゃいました。

長時間にわたる演奏とおしゃべりで、お客様は大満足されたことでしょう。
姐御のような雰囲気のお二人、生のほうがずっとかっこよかったですね。

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実は私の「鷺娘」は幻になりました。
諸事情により、浴衣会は「越後獅子」で参加することになりそうです。
「スク☆ハジ」のお二人の演奏も、5月には越後獅子をされるようなので、それも聞いてみたいですね。