でも実物を見ないことには、問題になりませんよね。
たまたまTBSラジオのトーク番組で、なんとか大夫さんが「今度、赤坂サカスで面白い文楽をします」とお話されているのをちらっと聞いて、それなら初心者にも良さそうと思って、チケットを予約しました。
最初から高い席を買ってしまって、もし居眠りをしたり、面白くなかったらもったいないと思い、一番安い2000円という席を予約しました。
そして出かけたのは、「赤坂。咲かす文楽。」▼というものでした。
赤坂にあるTBSの敷地内にあるシアターで開催されました。
会場に入ったところ、その席は3階でしたが、舞台の真正面でとてもよい席でした。
人形のお顔こそ鮮明には分かりませんが、大夫さんや三味線弾きの座る「床」と呼ばれるところもばっちりと見えて、これはお得な席でした。
開演前の風景です。
最初は「翁 日吉之式」というお能でした。
これは30分くらいのものでしたが、10分くらいは眠ってしまったと思います。
やはりお能は動きが遅いので、つい眠くなりますね。
初めは素顔で舞っていましたが、目を開けたらいつの間にかお面をつけていて、ちょいとびっくりしました。
その次は、本来は能で演じるという「二人三番叟」という演目を、人形が演じました。
とてもリズミカルな動きで、おまけに「舟底」と呼ばれる部分がないので、人形遣いの方の全身が見えるというものでした。
途中に、お人形が客席まで降りてきて、踊った時は、みんな手拍子を打って、とても楽しかったですよ。
その後の時間に、文楽の解説がありましたが、これが面白いのなんの、普段は無口な人形遣いさんや三味線弾きの方のおしゃべりが楽しくて、会場は爆笑やくすくす笑いが続いて、本当に楽しい解説でした。
おかげで、私のように初めて見る人間にとってもよく分かりました。
人形の顔や体のからくりもいろいろと実演して、説明していただきました。
印象的だったお話は、あのお人形の真っ白なお顔は、日本画で使う胡粉を30~40回も塗って、白さを出すということでした。
他にも、へー、と驚くことがいろいろありました。
三味線を習っている私としては、三味線弾きの方の見本演奏が良かったですね。
寂しい表情、嬉しい表情、びっくりしたとき、がっくりしたときなどをそれぞれ音で表していました。
また雨の音、波の音なども三味線で弾いていただきましたが、三味線というのはただ弾くものだけではない、ということがよく分かりました。
義太夫のお話や、人形の気持ちを表すものなのですね。
これは、私が長唄三味線を弾く時のよい参考となりました。
後半は「壺坂観音霊験記~沢市内より山の段~」という浄瑠璃でした。
盲目の沢市と、その妻の愛情を描いた世話物です。
最後の方の場面で、山の上から身投げをするシーンがあるのですが、人形遣いが、本当に人形を手から放して、パッと人形を下に捨てたのには驚きました。
赤坂サカスは、しだれ桜が満開で本当に良い時期に出かけられて、とても良かったですよ。
幕間には、みなさん、桜の鑑賞を楽しんでいました。
生まれて初めて見た文楽は、解説付きでしたので、とても満足できました。
文楽の面白さにはまってしまう、という人の気持ちも少しは分かったような気持ちになりました。
また機会があったら、是非、鑑賞してみたいと思いました。
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この日の装い。
ちょっと派手目なぼかしの無地着物です。
こういう時でないと、なかなか普段には着られないですね。
これは味の素スタジアムの骨董市で、2500円で買ったもの。
おくみの裏には、作家さんの名前入りというたいそうな着物ですが、サイズが小さいので安く買えました。
会場には着物着用のお客様が多くいらっしゃいました。
桜の花をイメージした着物や帯を、たくさん眺めて、眼の保養をしてきました。