このところ、続けてお芝居を見ました。
先週は、井田友和さん主演の「月花抄」
恵比寿にある「シアターアルファ東京」という劇場で鑑賞しました。
このお芝居は源氏物語を題材にしているので、「源氏物語を楽しむ会」メンバーの私は、見逃すわけにはいきませんよね。
能の「葵上」「野宮」「夕顔」を下地にしていて、うまくアレンジされていて、脚本が素晴らしいと思いました。
若き日の光源氏の愛と悩みを物語に仕立て上げていました。
主人公の井田さんの美しいお顔が、何よりも光の君にぴったりだと思いました。
頭中将や、惟光との会話はかなり現代的で砕けていた感じでしたが、若者同士の気楽な付き合いという軽い雰囲気が良かったかもしれません。桐壺帝は重厚で迫力がありました。
女性陣の中では、六条御息所を演じた女優さんの迫力と貫禄が良かったです。ただし紫の上が、まだ8歳くらいの少女時代を演じるのは、ちょっと無理があったかもしれません。
舞台は御簾を思わせるスクリーンだけというシンプルなものでしたが、その中で行われる男女の絡み合いがほどほどに濃厚でした。
また衣装も素晴らしかったですね。とてもカラフルで豪華でした。
このお芝居は、数年前にも演じられた再演だそうですが、できれば年をとってからの光源氏の物語もぜひ演じてもらいたいと思いました。
女三宮に裏切られ、柏木との間の子供を抱く光源氏を演じる井田さんの苦悩の表情も見てみたいと思いました。
終演後のみなさんのリラックスした表情です。
やり終えた、という雰囲気が伝わってきました。
この日はとても暖かだったので、袷の着物にショールを巻いただけで十分でした。
淡い紫に、銀がまぶされたような着物で、なかなか着る機会がありませんでした。「光源氏」なら良いかな、と思って着てみました。
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その翌週には、吉原にある「中江別館 金村」という料理屋さんの2階にある広間で、駒塚由衣さんの「龍見益高根の雲霧」という一人芝居を鑑賞しました。
たまたま駒塚さんの着物を放出するという会に参加したところ、お祖母様が着ていらっしゃった浴衣をいただいたというご縁から、このお芝居を見ることになりました。
このお芝居は「江戸人情噺シリーズ」として長く演じられているそうですが、私はこのような語りものを見るのも初めて、雲霧仁左衛門の物語もよく知らない、そして吉原に行ったこともない、というナイナイ尽くしでしたが、なかなか刺激的でした。
最初に会場のご主人が、吉原について初歩的な解説をしてくださいました。
吉原には、芸者と遊女の二種類の女性がいましたが、その違いは「芸者は芸は売るが、体は売らない」そして「遊女は体は売るが、心は売らない」ということだそうで、よく分かりました。
また吉原の名物芸者だったみな子姐さんについても教えていただきました。
こちらは江戸時代の吉原の風景を描いたものです。
そういう前置きがあって、いよいよ駒塚さんの一人語りが始まりました。
緋毛氈の上に座ったままの状態でしたが、大きな目を見開き、滑舌の良いセリフ、手先指先まで神経の行き届いた表現で、どんどんと江戸時代の世界に引き込んでくれました。
雲霧仁左衛門というのは大盗賊、そこに肥前の小猿というチンピラと、わけありの夫婦が登場しました。その4人を一人で演じでいました。
落語のような講談のような、そんな雰囲気を感じました。
モノクロのお着物と、明るいピンクの帯がステキでした。
このお話は、池波正太郎の原作だそうですが、原作を読んでみたくなりました。
一人芝居が終わった後は、近くにある吉原大門の跡を見てきました。となりには交番があったのが、なんともおかしかったですね。
地名の由来が書かれていました。
江戸の町は独身男性が多かったので、相手をする職業女性もいました。当初は日本橋に遊郭がありましたが、明暦の大火災により、その後はこちらの日本堤に移転することとなりました。
現代の吉原は、昼間に出かけたせいもありますが、それほど特殊な町には思えませんでした。
この日もとても暖かくて、長羽織を着ていると暑さを感じるほどでした。
地下鉄の三ノ輪駅から間違った方向へ歩きだしたので、ずいぶん遠回りをしてしまい、汗だくになりました。
ストライプの大島紬と、更紗風の帯です。
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「一日一句」
小春空 セリフの嵐 芝居小屋