2019年2月10日日曜日

最近読んだ本から

最近読んだ本を、ちょっとまとめてみました。

「山崎豊子先生の素顔」


野上孝子著
着物友だちのFさんから教えていただいた文庫本です。
長年、山崎豊子を支えてきた秘書の、苦労話です。
一冊の小説を書くのに、どれだけたくさん下調べをして、苦悩したかが分かります。
外国の首脳クラスや、大企業の社長や幹部にも面談をして、話を聞くというスタンスがすごいです。
そのような努力を重ねたからこそ、「白い巨塔」とか「沈まぬ太陽」「二つの祖国」などの名著が世に出た、ということがよく分かります。

「約束の海」
 

山崎豊子著
上の本を読んで、もう一度山崎豊子の本を読みたいと思って、これにしました。
山崎さんの最後の小説で、第一部は終結していますが、未完の小説です。
1988年に起きた自衛隊の潜水艦「なだしお」が民間の船と衝突した事件を元に書かれたもの。
潜水艦の場面で難しい用語が多くて、読みづらかったのですが、頑張って2回読み返しました。
山崎さんが書いている途中にお亡くなりになったので、続きは編集部のあらすじが書かれています。

今はまた山崎さんの「運命の人」を読み出しましたが、これは政治の生々しい話で、沖縄返還という難しいできごとを扱っています。

「一身二生」


太田俊明著
伊能忠敬の生涯を描いた小説。
彼の測量にかける情熱は有名ですが、若い頃は佐倉の有力者でした。
その頃の話も興味深いものでした。
日本全国を回る時には、健康で身体の頑丈な若い男たちを連れて行きました。
一歩の長さをいつも同じにして、歩いて測量するという方法は見事です。
彼の恩師の高橋の息子が、シーボルト事件で捕まってしまった高橋景保人だというのは驚きました。
面白い内容でしたが、ただしサブタイトルの「吉宗の遺言」を結びつけるのは、ちょいと無理があるような気がしました。

「ひとり白虎」会津から長州へ


植松三十里著
白虎隊の生き残りの会津藩の男性が、敵方であった長州で生まれ変わって生きていくという話。
実話をもとに書かれています。
幕末には活躍した有名人たちのことは小説になりますが、この人のように傷心を抱いて生きていた人もいたのでした。
それでも彼は技術を身に付けて、誇り高く生きたのでした。
植松さんは、このようにあまり日の当たらない人、忘れられた人のことを取り上げるのが、とてもうまいですね。

「江戸方の女」


林えり子著
この人の小説は初めてでした。少し読みづらいとこともありました。
幕末期の女性、それも幕府寄りの女性を描いたもの。
福沢諭吉の妻、皇女和宮の身代わりと言われた女性、
この時代は男性だけではなく、女性も大変でしたね。
林さんご自身も江戸っ子で、慶応大学卒業の方です。
それで東京(江戸)の女性に興味を持たれているのではと、思いながら読みました。
私自身も東京の人間なので、共感するところはありますね。

それと、こちらは夫が買って来た本ですが、初めの数ページを読んだだけで放りだしました。
直木賞受賞作品だし、林真理子さんが絶賛していたので、さぞ面白い内容だと思いましたが、私には合いませんでした。


小説は好き好きですから、すべての人に合うわけではありませんね。

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