また鳥越碧さんの本を読みました。
今回は「漱石の妻」。
悪妻と呼ばれた夏目漱石の妻、鏡子さんが主人公です。
漱石(本名は夏目金之助)とお見合いをして、一目で好きになって結婚してみたけれど、、実際は夫は精神不安定、友人や弟子たちには優しいけれど家族には暴力をふるう、そして高級官僚だった実家は没落してしまうという大変な目にあった鏡子さんの半生を綴ったものです。
鏡子さんと漱石には心の交流があったのかどうか、本人も分からないのかもしれませんが、それに反して次々に子供は生まれるんですよね。
谷崎潤一郎の奥さんの小説を読んだときにも、「大文豪の奥さんは大変だな~」と思いましたが、漱石の奥さんの場合は、近代文学の大文豪でもありそして精神的に不安定であり健康も不安で、経済感覚もおかしかった人の奥さんというのは、本当に辛いものがあったのだろうと思いました。
でもやはり「人の奥さん」だけであるのは、つまらない人生だったのかもしれません。
もっと自己主張して、自分なりの力で生きていくことを試みても良かったのでは、と思いました。
もう一冊は清水義範の「漱石先生 大いに悩む」。
私の大好きな清水さんの小説ですが、どこまでが本当でどこからが嘘の世界なのか、不思議な小説です。
清水さん本人とおぼしき小説家のところへ、知人からある女性にあてた差出人が夏目金之助の名となっていた未発見の手紙が持ち込まれます。
それが漱石の『猫』の執筆にヒントを与えたと思われる内容であることに小説家は興奮してしまいます。
そしてその女性は誰だろうという探偵もどきの仕事が始まります。
この小説には高浜虚子も登場するし、当然のことながら漱石の奥さんである鏡子さんも登場します。
この2冊を読み比べてみると、エピソードが満載で面白いですよ。
特に漱石さんと言う人は手紙マニアだったようで、生涯に1万通以上の手紙を書いたのではないかと言われています。
現代に生きていたら、きっとフェイスブックやブログやツィッターにも夢中になったのではなかろうか、と思われる人ですね。
それにしても漱石さんって50歳で亡くなってしまったんですよね。
あのお顔は今の年齢では70歳くらいですよね。
昔の人のお顔は立派でしたね。
2 件のコメント:
あら、読んでみたいわ。
鏡子さんという人に興味がありました。
トシちゃんの言うとおり、誰かのおくさん
だけの人生では詰まらないわね。
真蘭さん、この鏡子さんと言う方、すごくお嬢様だったんですよ。世間知らずというか家事なども全部お手伝いさんがやってくれていて、それが貧乏教師の漱石と結婚して、神経衰弱のようになって入水してしまうんですよね。
でもそれ以上に漱石のほうも精神不安定で、ずいぶん暴行も受けたみたいですね。
やはり自分なりの努力や勉強をしないで、楽しては人生は送れないという感想ですね。
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