先日、三田誠広さんの「源頼朝」を読んだので、今回は「清盛」を読みました。
「源頼朝」の感想はこちら▼。
頼朝のほうはかなりドラマ仕立てになっていましたが、清盛のほうは三田さんが「あとがき」で書いているように、これは史実に基づいた「評伝」という感じでした。
ということで、お話し好きな私にとってはちょっと物足りない小説でした。
清盛の生まれる前から死までの生涯を描いているのですが、清盛の息遣いや感情といったものはあまり伝わってきませんでした。
一番印象に残ったのは、この時代の社会の仕組み。
教科書では「貴族から武士の台頭」というように習いますが、実際はそんなにシンプルなものではなかったということでしょうか。
その中で清盛は時代の流れを読んで、誰と親戚関係を結べばよいのか、誰を切ればよいのか、をしっかりと考えていたのでしょう。
当時の一番の存在は天皇、法皇、上皇という皇室関係者。もちろんそこには中宮や多くの女官もいて、その存在を見逃すわけにはいきません。
また摂政・関白を務めた藤原一族。
そして彼らの番犬であった平家や源氏の武士たち。
その人たちがくんずほぐれつ、入り乱れて敵味方になるのですから、頭が混乱してたまりません。
おまけに似たような名前の人がうじゃうじゃいるし、出家すればまた名前も変わるし・・・。
激動の時代だったのでしょう。
そんな中で生きてきた清盛ですが、この小説の中で清盛より目立ったのは後白河法皇でした。
女も大好き、美少年も大好き、歌舞音曲が大好き、権力大好き、というどうしようもないほど俗にまみれた天皇で、周りの人はみんな彼に振り回されていたように思えました。
私はNHKの大河ドラマ「平清盛」は見ていなかったので、比較できないのですが、テレビの中では後白河法皇は誰が演じていたのかしら。
私は三田さんのファンではあるけれど、清盛に関しては、やはり永井路子さんが描いた時子には負けましたね。
「清盛」が終わって、お次はやはり三田さんの「西行」を読みだしました。
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