2018年5月3日木曜日

「葉々の会」

先日、京舞の井上流の舞台を初めて鑑賞しました。


というのも、私の三味線の先生が地方として出演されるので、これは良い機会だと思って行ってみたのです。
井上流といえば、家元の井上八千代さんのことは雑誌やテレビなどで見たことはありましたが、生の舞は見たことはありませんでした。

ただし私が存じ上げていたのは四代目の八千代さんで、現在の五代目の八千代さんは、私とほぼ同じ年代の方で、会場の入り口でご挨拶されていました。


(パンフレットから拝借しました)

今回舞ったのは、その娘さんの井上安寿子さんでした。
安寿子さんはとても堂々とされていて、それでいてしっとりと舞われるので、ちょっと年齢が分からなかったのですが、後で検索したら、なんとうちの娘よりも若い30歳、ということで驚きました。

会場は「銕仙会」▼という南青山の通りに面した能楽堂でした。
イッセイミヤケやプラダなどのファッションビルが並ぶところに建っていました。
外見からは、ここが能楽堂ということは分かりませんね。


着物姿の人が並んでいたので、ここかもしれないと思いましたが、ちょうど三味線のお弟子さんがいらっしゃったので、ほっとしました。

この日の演目は
義太夫「万歳」
長唄「新曲浦島」
仕舞「田村」
義太夫・上方唄「もさ順禮」でした。

1番目はお一人で舞いました。新春に舞うことのあるおめでたい曲だと思いますが、コミカルな部分もありました。
2番目はお二人で舞いましたが、息がとてもよく合っていて、さすがだと思いました。
3番目は安寿子さんの弟さんの観世敦夫さんの仕舞でしたが、この方はなんと平成生まれでした。後ろで謡のお父様がしっかりと見守っている様子が見えて、こちらまで緊張してしまいました。
最後は、浄瑠璃と長唄の掛け合いでしたが、歌い方や三味線の違いが分かって面白かったです。


地方は、浄瑠璃と長唄の両方の演奏がありましたが、女性が舞うときは、地方はお唄も三味線もお囃子も、全員が女性でした。こういうところでも女性の進出が盛んなのですね。

私の先生も黒留袖を着て、長い髪を美しく結い上げて、きりりとした表情で演奏されていました。特に「新曲浦島」の最後の部分は迫力のある演奏でした。
またおしまいの「船唄」の部分は、長唄のお声が素晴らしくて、引き込まれました。
この曲は、これまで長唄の演奏会でも何回か聞いていましたが、やはり踊りがあると印象がまるで変わってきました。


京舞というのは、もっとじっくりとした動きの少ない踊りだと思い込んでいましたが、飛んだり跳ねたり、寝そべったり、鶴のように片足で立ったりと、とても体力のいる踊りだと分かりました。
体幹がしっかりとしていないとできない踊りですね。
指先まで美しかったです。

先日、日舞の先生に教えていただいたところ(袖の扱いなど)はやはり気になりましたね。
ちょっと違っていたのは、扇の開き方。
私が習った流派では、まず1枚だけ開いて、その後に前後に開くというやり方でしたが、こちらの流派では、一気に開いていました。


京舞のことはあまりよく分からないので、つい踊りよりも、衣装に注目してしまいました。
最初は、黒の裾模様で、おめでたい宝尽くしでした。帯は豪華な朱色系の袋帯。
2番目は、鮮やかな藍色に、海を表す大胆な波の模様が描かれていました。地紋も美しかったですね。
3番目は、最初は旅装束の薄手の衣を羽織っていましたが、着物は淡いピンク系統の着物に、朱色の大胆な模様の帯でした。
この着替えをするだけでも大変なことだろうと思います。
どれも袷の着物で、重い帯を締めて、さぞ暑いだろうなと思ってしまいました。
首のあたり、汗が流れ出ているのが見えました。

着こなしもじっくりと見させていただきました。
衣紋はそれほど抜いてはいませんでしたが、褄の上げ方がシャープで、床から20センチ以上は上がっているように見えました。
そしておはしょりはほんの数センチでした。
ついつい気になって、見とれてしまいました。

初めての京舞鑑賞でしたが、正面の一番前列に座ることができて、ラッキーでした。
会場には意外と中年男性の姿も多く、京舞のファンも多いのだと思いました。
そしてこういう伝統的な演芸は、何よりも血のつながりが強いものなのだろう、と感じました。

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この日の装い。

夏日でしたので、薄手の単衣にしました。
色が飛んでいますが、淡い黄緑(うぐいす団子の色)です。


三重織といって、三種類の織り方で笹の葉の模様が浮かび上がらせています。

ちょっと前に仕立てた着物ですが、ここの呉服屋さんの仕立てはいつも身幅が広すぎて、脇の上(帯のところ)が余ってしまうのです。それで、もう頼むのはやめてしまいました。

帯は水色系の花柄帯。
「ゆめこもん」▼さんで求めたものです。

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