今回の「楽しむ会」は「梅枝」(うめがえ)の巻でした。
(土佐光則「梅枝」 宇治市源氏物語ミュージアムより)平安時代の貴族にとって、香の調合は社交の場で必要な教養でもありました。そのため、王朝文学には香に関する記述が多く見られ、「源氏物語」や「枕草子」にも登場します。
今回の「梅枝」では、光源氏の娘である明石の姫君が裳着の祝いをするため、嫁入り道具のひとつとして薫物を作る場面が登場しました。
この時代は、様々な香を焚いて楽しんだり、衣服に香を移したりするのがメインだったようで、いわゆる「香道」(香を聞く)という楽しみは江戸時代になってからの事だそうです。
私も以前、一度か二度、「源氏香(の入門編)」を体験したことがありますが、簡単に言えば5種類の香を当てて、その組み合わせを源氏物語の巻名に割り当てる一種のゲームですが、非常に難しい遊びでした。
今回の「梅枝」の中では、美しいもの、珍しいもの、海外からの貢ぎ物などがたくさん登場します。香壺を入れる箱、香炉、中国からの渡来品、敷物、高麗人が献上した綾織物など、さぞ美しいものばかりだったと思われます。
また2月の庭に咲く花も、紅梅、白梅、荷葉(かよう 蓮の葉のこと)などが登場して、非常に美しい場面が続きました。
このように貴族の生活は美しいもの、異国からの珍しいものに囲まれて、とても優雅なものでしたが、さて、庶民たちの暮らしはどうだったのでしょう。路上で亡くなってしまう人も多かったという話も聞きます。源氏物語はそのようなことには一切触れませんが、時代背景を考えるのも必要であると思いました。

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